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娘がサンタに“渡した”クリスマス

冬になり、ちらほらと街がクリスマス模様になってきた。
今年、長女は 3 歳で迎えるクリスマス。

今年は 3 歳だから、そろそろなにか、欲しいものを言えるかな〜、と思って、長女に聞いてみた。



もうすぐ、クリスマスだね。サンタさんに、なに、もらうの?
(私の予想:なんだろう、トーマスかな?プリンセスかな?)

「サンタさんに  あげるの」

えっ、もらうんじゃなくて、あげるの……?
サンタさんに、〇〇 が、あげるの?

「うん  あげるの♡」

(…なんと。もらうんじゃなくて、自分があげるそうだ。なんてやさしい…)

そうなんだ…。何をあげるの?

「えーっとね〜♪おかあさんに あげる ぷれぜんと!♡」

えっ?
お母さんにあげたいプレゼントを、サンタさんにあげるの?

そう !♡ サンタさんに  おかあさんに わたす プレゼントを あげるの

なんとー!お母さんにクリスマスプレゼントをあげたくて、それをサンタさんに、届けるよう託すそうだ。

クリスマスに、贈り物を “もらう” のではなく、サンタさんに “あげる” と聞いただけで、すでに感動だったのに、さらにサンタさんに渡すものは、お母さん (私) へのプレゼントだなんて。

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半分涙目になりながら、さらに聞いた。

プレゼント、なにをあげるの?

「くまさんと、おび」

くまさんは、なにかよく分からないけれど、帯とは、七五三のときに締めた帯のことだ。

「おびをしてたとき、おかあさん すっごい うれしそうだったから」

だから、帯を、あげたいそうだ。

…なんだかもう、その発想そのものが、まさにクリスマスの “きらめき” だった。
それから、七五三がそんなに楽しかったのかぁと、今年をふりかえった過去までうれしくなった。

頭がくしゃくしゃになるほど、しあわせな気分。



あれから、何日たっても長女はずっと「サンタさんに、おかあさんの プレゼント あげるの」と言っている。

そうなのかぁ…。それじゃぁ、いっしょに、お買いものに行こうか。

娘といっしょに、サンタさんあげる贈りものを、買いに行くことにした。
…大人になっても、サンタさんからプレゼントって、もらえるんだ。

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長女と買い物した時間。
それは、まさにクリスマスだった。

自分の物を選んでいるようで、自分の物を選んでいないような感覚。
私は、娘の目線で、“サンタさんにあげるお母さんへのプレゼント” を選んでいる。

自分から自分へ、一周回ってくるようで、はるか空の上のサンタの世界を巡って、買い物をしている。ふわふわとした夢心地。

こんなにクリスマスが始まる前から、クリスマスが楽しいこと、あったかな。

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かわいくラッピングされた、サンタさんにあげる贈り物の、くまさん。

いっしょに選んだのに。中になにが入っているか分かっているのに。
サンタさんからもらえる日を、楽しみにしている。

“物としては買えないやさしい幸せ” が、こうして 「物」となったとき、
その “物” にはかけがえのない生命が吹き込まれたように見える。

自分がもらうより、人にあげたいこと。
お母さんが、うれしそうにしていたことが、すごく心に残っていること。

私は当たり前のように、「サンタさんに、なにもらうの?」と聞いてしまったけれど、昨年はまだ、たどたどしい言葉しか話せなかった 3 歳から、間髪入れず、すっとかえってきた答えは、大切な本質を含んだものだった。

人を喜ばせるうれしさ。
大好きなひとが、うれしそうにしている幸せ。

自分が手に入れたい物質ではなくて、もっと、さらに広い世界で、ほしいものを感じとっているんだ。

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12 月は私の誕生月でもある。
誕生日は祝ってもらえるもの、なんて、あたり前のように思っていたら、きっと娘に顔向けできないなと思った。

誕生日を祝ってくれる人が、今年もあたり前のように、自分を囲んでくれる幸せ。
またひとつ歳をとってしまった、ではなく、この一年を、楽しく明るく過ごしてこられた奇跡。ひとつひとつ、着実に年輪を重ねてこられた喜び。

そういったことに、感謝の思いを抱く日。

長女がクリスマスに、サンタさんにプレゼントを “あげる” のなら、誕生日は、私がかけがえのない人たちに、感謝の気持ちを “渡す” 日のように思う。

買い物の帰り道。いつものようにはしゃぐ娘の、小さくあたたかな手を握りながら、

サンタさんは、ほんとうに、いるんだなぁ…

と、空を見上げた。

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*贈り物のくまさんの中には、たくさんの飴玉が入っています。
「おかあさんと おとうさんが なかよくいっしょに ワキワキ♪ (=分け分け) できるように」。

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