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チャオプレッソ東限にて

「チャオプレッソ」は、近鉄リテーリング直営のカフェです。
名古屋駅にはチャオプレッソが2店舗あります。


数年前の晩秋、鈴鹿に住む友人を訪ねる過程で名駅バスターミナルに降り立ちました。

私は車社会で育って、公共交通機関に依存しない生活を送ってきました。
依存しないからか新鮮な気持ちになれるので、電車やバスに乗ることが自分の中ではちょっとしたイベントのようで、楽しみにしていました。
現在は時節柄、自家用車の良さもあらためてわかったつもりでいます。

電車といっても私の地元には名鉄しか通っていません。JRも乗る機会がありましたが、実家から最寄りの駅までは車で40分くらいかかるのでした。
ずっと名鉄の赤い短い(2両編成とかの)電車しか知りませんでしたし、名古屋から西側は未知の領域でした。

私は岐阜や北陸の文化には疎いのですが、大まかに言って、話し言葉とか食べものの「西」的な要素は、名古屋あたりで途切れるように観察されます。近鉄線も、チャオプレッソも、名古屋で堰き止められるのです。

名古屋を東に過ぎて、すぐに関東化するわけではありません。だいぶ薄まった気配もありつつ、愛知県には西的でも東的でもない独特の文化が存在するように見受けられます。

さて、乗る予定の普通列車が出るまで20分は間があったと思います。
遅い朝食をとりたいと目論みながら名駅を歩いていました。平日の10時近くで、辺りはほどよい空き具合というか混み具合でした。

案内板を見て、おそらく生まれて初めて近鉄の駅構内へ足を踏み入れると、改札のすぐそばにチャオプレッソがありました。
チャオプレッソ自体そのときが初めてで、いかにも
「へえ、こういうコーヒー屋さんもあるのね」
といった好奇の表情で、掲げられているメニューを読み、入店を決めました。
「この人、これだけ露骨に食らいついてるから絶対入るだろう」
と店員さんは思ったと思われます。

店内はちょっと暗くて、時間帯を一瞬錯覚する照明使いでした。設計上、窓がなくて駅構内から数段低くなっていたかと思います。
そこそこ賑わっていましたが、7割の席が埋まっている程度。

シンプルなモーニングサービスが2種類あり、コーヒーとブリオッシュのセットを選びました。
東海のモーニングというと、コメダ珈琲みたいな内容を想像しますが、チャオプレッソは近畿から来ています。ついでながら私から見るとコメダ珈琲のモーニングも簡素な部類に入ります。(愛知県の個人経営の喫茶店が毎朝ごく普通に行なう、常軌を逸した大盤振る舞いと比較した場合)

このコーヒーについて何も覚えていないので、当時の自分が今よりだいぶコーヒーに無関心だったのだと思います。
驚いたのが、ブリオッシュにシュガーグレーズがかかっていたことです。半透明のパリパリした砂糖のコーティングですが、それが薄く施されていて結構コーヒーを呼ぶ感じで、印象的でした。
私がそれをぽろぽろこぼすため、ふと見下ろすと、首に巻いているフワフワのスヌードが全部受け止めていたのも印象的でした。


信州に閉じこもって丸2年が過ぎていました。
来年は、県境から出る可能性もあります。けれど本気の観光とか、旅行という格好ではなくても、ほんの少しいつもと違うもの、ほんの少しの非日常を味わえたら、それで私は満足するだろうと思います。


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