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【韓国ドラマ感想】イカゲーム/오징어 게임

世間で流行っていると興味が失せる。
そんな天邪鬼がようやくイカゲームに辿り着いたので、個人的な感想を書き留めておく。


※以下ネタバレあり。



まず面白いか面白くないかで言えば、面白かった。

様々な事情で借金を抱えたりと「金に困った人間を集めて賞金を懸けたデスゲームを開催する」と言う分かりやすいストーリーがとても良かったし、自らの意思で参加しているので死んでも可哀想感がなくて良い。

前半はテンポ良く話が進むので一話の体感は一時間もない。
「ほうほう、次はどうなるんだ?」と続きも気になるように出来ている。
全体的にセットにチープさがなく、金持ちの道楽デスゲーム感がちゃんと出ていて良い。

ただ中盤、ビー玉ゲーム辺りからはテンポが悪く感じた。
最初の参加人数が456名だったのだから、かなり人数の減った中盤からはテンポが悪くなるのも致し方ない。
ただ前半のテンポ感が気に入っていた身としては、長いなと思って正直飛ばしたシーンはいくつかある。
あとテンポを悪くした大きな要因はVIPが出て来た事だろう。
橋渡りゲームでのVIPのリアクションシーンは正直に言うと、こんなにいらないなと感じた。
だって大体視聴者と同じリアクションだし。

ただこの橋渡りゲームが本作の中で一番好きなゲームでもあった。
ガラスの割れる音はやはり本能的に不快な気分にさせてくれるし、人間の醜さが一番出ていたゲームだと思う。
普通のガラスと強化ガラスを見極めて制限時間内に順番に渡っていかねばならない中で、「先に行け」だとか「行かないなら押すぞ」だとか、下手に動き回れないからこその醜さがよく出ていた。
好き。

特にドクスの胆の小さい小悪党感がよく出ていてとても好き。
ただ、ドクスは最終戦まで残ると予想していたのでここで脱落は良い意味で期待を裏切られた。
ミニョが「裏切ったら殺すって言ったでしょ」と言ってドクスを道連れにするのは美しかった。
好き。

しかし私が常に文句があったのは主人公のギフンだ。

ギャンブルをして金もなく、あるのは借金ばかり。
その上母親の金をくすねるわ、子供への養育費は払わないわ、子供の誕生日にプレゼントの用意も出来ないわで、正直本当にどうしようもないクズ男なのだが、謎の正義感があるのが私はダメだった。

橋渡りゲームでサンウが前にいる男を突き落とした事に関して、何故怒るのかが理解は出来るが共感が一切出来ない。
確かにサンウが突き落とさなければ無事に強化ガラスを選び助かったかもしれないが、あくまでそれはかもしれないの可能性の話であり、可能性の話をするならばサンウの「あいつが動かないって言ったらどうするつもりだったんだ」もその通りである。
制限時間も迫る中で、サンウが突き落とさなければ全員死んでいたかもしれないのにサンウを責めるその神経が共感出来ない。

そもそもこのデスゲームは「皆が納得の上で」開催されている。
命が懸かっている事を皆承知で参加しているのだ。
命と引き換えに現実の地獄を脱する金を手にする事を望んで参加しているのだ。
それを突き落としたくらいで責めるのはどうか思うし、ましてや人殺しと罵るなど論外である。
そしてそれを人殺し云々と言うのならば、ギフンが生き残っている事実も人殺しに値するのではないだろうか。
特にビー玉ゲームの時は「自分が勝てば相手は死ぬ」と分かっていて勝ちを選んだのだ、それは人殺しとは言わないのか?

最後のイカゲームの時も、ゲームの中断を選ぶギフンは本当に自分の事しか考えていないなと感じた。
「君はそれで満足だろうさ、ただサンウがそれで満足だと思うのか?」と。
多額の借金に逮捕状。
サンウにはこのゲームの賞金こそが本当に人生をやり直す最後のチャンスだっただろうに、それを無視するのは本当に優しさか?
だからこそサンウは最後、死ぬ事を選んだんだろう。
二人でここを出られたとしても地獄に変わりはないと。
だがギフンに戦う意思がないのであれば、最早こうするしかないと。

そう言う意味では個人的には「サンウがギフンを殺して賞金を手に入れたものの、大事なものは何も残っていないとひとり絶望し死ぬエンド」が見たかった。
ギフン勝利エンドは想定内過ぎたので、もう少し裏切ってほしかったところである。
ただシーズン2を制作予定らしいので、それを考えればギフン勝利エンドの方がシーズン2に繋げやすいかとは思う。

あと個人的に何でやねんと思う事が、セビョクの怪我である。
「ゲームは公平、チャンスは平等に与えられるべき」と言っているのに、運営側の落ち度で大怪我をしたセビョクに治療が与えられないのはおかしいのではないだろうか。
例えばゲーム内でセビョクが自分でバランスを崩したり、他のプレイヤーからの妨害で橋から落ちそうになった時に怪我をしたと言うのであれば、それはゲーム内で起きた事なので運営側はノータッチですも理解が出来る。
しかし橋を渡りきってゲームをクリアした後の、橋大爆発で飛んで来たガラス片が突き刺さっての怪我はゲーム外の怪我であり運営側の落ち度である。
これに対して治療が与えられずに最終戦にGOは些か制作側の「早く人数を削って話を進めたい」と言うメタ的なものを感じてしまう。
ここでせめてセビョクにある程度の治療が与えられて最終戦に進んでいれば、怪我と言うハンデを背負っていても文句はなかった。
うーん、ちょっとモヤっとしますね。


・総評
引っかかる部分はあるが、全体的に綺麗にまとまっていて面白い。
デスゲームものと言う性質上、グロ描写は多々ある為苦手な人は向いていない。

個人的にはドクス役の俳優の演技がとても良かったので、もし私のような天邪鬼でまだイカゲームを見ていない人はドクスが死ぬところまでは見てほしい。

シーズン2も楽しみに待っている。

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