53. 民藝の100年 【展覧会】
※前回の美術回で、引き続き「ピナコテーカ・トレヴィル ・シリーズ」から画集の出ている作家を紹介すると言ったのですが、こちらの展覧会の会期終了が迫っているため先にこちらの記事を書くことにしました。件の画家の話は次回に延期します。楽しみにしていた方(がもしいたら)すみません。
というわけで。
東京国立近代美術館で13日まで開催中の、柳宗悦没後60年記念展「民藝の100年」を見てきました。
出品数がかなり多くて時間がかかるとのことだったので、13時半くらいに到着、それでも最後の一部屋は駆け足で、閉館17時ジャストに出た、という感じでした。
しかしその前に東京ステーションギャラリーにハリーポッターと魔法の展示を観に行っていたので、それ以上早くは着けず……。
近くにあるパレスビルディング? みたいな名前のビルのレストラン街が、リーズナブルな価格で近隣の会社の人たちが通うランチスポットっぽかったので行きたかったのですが、時間短縮のため今回は諦めました。(皇居のお堀を眺めながらベンチでお昼を食べました。あったかい日でよかった。)
☆ハリー・ポッターと魔法の歴史展
東京ステーションギャラリーにて3月27日まで開催中。
完全予約制で土日はけっこうもう埋まっている模様。
平日でも10時半頃行ったら老若男女問わずかなりの人がいました。写真撮影禁止だったので、皆さん解説をしっかり読んでいた印象です。
内容は、ハリーポッターに絡めながら色々な魔法をさらっと入門的に紹介していく感じ。ハリーポッターまあ好きだけどそこまで深い思い入れがないわたしとしては、魔法学の解説目当てに行ったのでちょっと物足りない。内容から考えるとちょっとお高すぎるのでは。
内装はとても凝っていて、非日常感を味わえました。
本題の民芸展ですが、こちらもなかなかの人の入り。年齢層は高め。
空間自体が広いので、東京ステーションギャラリーよりはややゆったり観られました。
それから、こちらも柳宗悦の書斎を再現したスペース以外、写真撮影禁止の展示でした。
キャプションの説明もかなりの量で、じっくり読んでいると全然進めない。途中で集中力が切れたのと、足が疲れてしまって、休憩を挟んでの観覧になりました。
展示は時代順に6章に分かれています。
民藝運動の起こりと発展、その目的や思想など、多角的に民藝と柳宗悦を見ていく内容で、どの章でも焼き物や織物、家具などの民藝品が多く展示されていました。
民藝好きの方には見応えたっぷりの楽しい内容だったかと思います。
が、わたしはどうもコレ! というようなものには出会えませんでした。あ、ちょっといいかも〜くらいのものはあったのですが、強く印象に残るというほどではない。
”民藝”を見る目が備わっていない、というかわたし実は”民藝”そんなに好きではないのでは? と気付いてしまったのでした。民族とか民俗には興味津々なのに。
あるキャプションで、
民俗学はあるがままの歴史としてものごとを記録するが、
民藝は産業として成立させる必要がある。
というようなことが書いてありました。
多分これが答えです。
民藝は現代の感覚に合うように、伝統の良さを活かしつつ常にブラッシュアップされ続けています。
それに加え、柳宗悦は民藝を戦略的にブランディングして、人々が欲しくなるようにイメージをコントロールしました。
対してわたしは、自分の生活でそれを役立てようとか、暮らしを豊かにするためにそれが欲しい、と思って展示物を見ることはしません。(装飾がとても気に入ったりしてあれ欲しいなあ、着たいなあと思うものはあるんですが、それらは現代社会において全く実用的ではないものが多い。そしてそれらを生活に合わせて変えるんじゃなくて、そのまま手に入れたい)
同じ地域で使われているものとか、同じ目的に使用されるものなんかがずらーっと並べられているのを眺める方がわたしは楽しい。そこに気候や年齢などの差で生まれてくる意匠の違いを見つけて観察したりとか。単に技術の高さや造形に惚れ惚れしたりとか。
そういう楽しみ方を民藝品では全くできない、というわけではないのだけれど、紹介されているスタンスが違うから何だかうまく楽しめない。
今回の展示に今一つ身が入らなかった原因はこういう所にあるんじゃないかなあと思います。
あと、展示の後半で戦時中のナショナリズムと民藝運動の関連、植民地政策と民藝について触れられていたのですが、ちょっとこの辺り説明が物足りないように感じました。民藝の周辺の人々がどういう考えの元で活動していたのかが「ご想像にお任せ」的にぼんやり暗示するような形になっていて、もやもやしました。
そんな中で一番惹きつけられたのは4章「民藝は「編集」する」。
柳宗悦が手がけた、雑誌「工藝」を始めとする書籍が並んでいて、装丁の豪華さやレタリングの美しさにワクワクしました。
各地の織物を表紙に使用したり、独特なフォントを作ったり、楽しい本作りがなされていて、こだわりの詰まった本は見ているだけで楽しいものです。
ものを作る時は漫然と作るのではなく、細部まで神経を行き届かせなければならないと気も引き締まります。
全体としては消化不良に終わってしまった展示でしたが、自分の美意識について認識し直す機会になったように思います。
また、展示自体は民藝運動や柳宗悦について詳しく知ることのできる、圧倒的量の展示でしたので、民藝に興味がある、という方はお見逃しなく13日までに行かれることをお勧めします。
展示を観た後は神保町に回りました。
三省堂の本店が建て替えのため3月までで閉店してしまうので、その前に行っておかねばと。しかし皇居と神保町がこんなに近いとは全然知りませんでした。東京の土地勘のなさよ。
他にも古本屋を巡り、喫茶店でナポリタン食べて、最寄り駅まで帰ってくる。
駅近の本屋で元アイドルグループZOCのメンバーだったかてぃさんの本を見つけたのでぱらぱら読む。かてぃさんは本当に顔が好き。歌声もハスキーでいい。
今は、何だか無性にパンラズナのシーシャを吸いたい気持ち。明日早めに家を出られたら吸いに行こう。
今日はちょっと盛り沢山にしすぎました。
ではまた。
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