とびきりな世界のきょうの話。

夕暮れを歩きます。オレンジが目に染みて眩しいです。
カレーライスは甘口が好きです。福神漬けはとびきりに真っ赤だと嬉しいです。

空を飛びます。世界は目が回るほどに綺麗です。
みんなは意外と知らなくて、だから上を見る人も少ないです。
時々ふと空を見上げた人と目が合います。
にこっと笑うとにこっと笑い返してくれます。

真昼の月とキャッチボールをします。
月はコントロールが下手なので、すぐにあっちこっちにすっ飛ばします。
飛んでいったボールがそのまま空に張り付いて星が生まれます。
名もない星が沢山生まれました。
瞬きすると夜になります。
ビロードのカーテンに沢山のビジューが散りばめられたような景色は、いつまで経ってもも忘れそうにありません。

白線からはみ出ないように歩きます。
落ちたら下には、何があるでしょう。
想像するだに恐ろしくて、何だかとってもワクワクします。

ドーナツが好きです。
空いた真ん中の丸の中に詰まっているのはなんでしょうか。
知らない人からの親切のような気がします。

旅をします。ひとりです。
でもひとりじゃないです。多分。
朝焼けが眩しいのでサングラスをします。
海がキラキラと輝いて余計に眩しいです。
海は吸い込まれます。波に引き込まれます。
驚くように、踊るように、小さく跳ねる水飛沫と歌を歌います。

向かう先はどこでもいいです。ひとりだけどひとりじゃない事を、どこかで確信したいと思っています。
旅の終わりはありません。無い方がきっと楽しそうです。
ドーナツの真ん中にある知らない誰かの親切は、じつは僕が誰かにあげる親切なのかもしれません。

今日の夕飯は、カレーライスです。
とびきりに真っ赤な福神漬けと、マイルドにまみれた牛乳を飲みます。
世界は驚くほどに楽しいです。明日はとびきりに楽しみです。
夢すら忘れる深い眠りが、上瞼と下瞼をくっつけようと画策しています。
その企みに抗わないまま、今夜は眠りにつきたいです。

おやすみなさい、良い夢を。
どうか素敵なあしたのあさを。