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潮の夏

地球に迫りすぎた太陽が、海を沸騰させるくらいの温度で空を覗き込む。
アスファルトの照り返しと空からの熱気でぼんやりする頭を抱えて、街を歩く。
眩しいくらいに真っ青な空。
ビルの隙間から覗く雲が真っ白で、目が痛い。

やっと入った日陰で佇む。
煩いくらいに蝉の鳴き声、耳いっぱいに広がって、世界にひとり立たされた気分。
後ろから通り抜けた自転車で、すぐに現実に引き戻される。

あ、そうだ。冷蔵庫にスイカを冷やしてあったんだった。
きんきんに冷えたスイカ、甘くて冷たくて、とびきりに幸せ。
氷をいっぱいいれた麦茶と一緒に、縁側で風浴びながら食べたら。なんて、ステレオタイプな夏を想像する。

そういう、ザ・夏。みたいなの、ちょっとテンション上がって楽しいんだよね。

赤と緑のコントラストにワクワクしながら帰路に着く。
そういえばさっきより、心なしか涼しい気がする。

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