みる、みる、みる。

天気は快晴、予定は真っさら。
まごうことなき休日だ。
だけど、休日だけど、特別な充実した一日にすべきだろうけど、もーうだめだ。

定期的に、あるいはしょちゅう
だめになる。

やる気が出ない、立ち上がれない、がんばれない、たのしめない。
まあそんな感じだ。

そんな日は大抵何をしてもうまくいかない。
お気に入りのマグカップを割ったり、出かけた先で大切なものを忘れて戻ってこなかったり。
そんなようなことが重なったりする。

ので、

もーうだめだ！と思った時は何もしないで籠城するのだ。

幸い我が家には籠城に最適なシェルターがあるんだもの。
近頃気になっていた映画を見よう。
先日友人が勝手に取り付けていったスクリーンにプロジェクターで映像を流す。
バケツアイスと、ピザ、ポップコーン、カロリーを大量に用意しよう。
人がダメになるクッションだって、もうすでにだめになっているので関係ない。

テレビをつけると現実が顔を見せるので完全に電源を落とす。
リビングのテーブルにミルクを一杯おいておく。
シルキーの気分がよければこの荒れた部屋をなんとかしてくれるかもしれない。
まるなげしてしまおう。

地下シェルターに籠城して映画をみる。
みる、みる、みる。
とにかくみる。

一日中、ずっと。
垂れ流しだ。
情報の濁流に身を任せ、音楽と世界観にひたひたに浸る。
カラカラに渇いた心に染み込ませるように、馴染ませるように。

シェルターなので外がどうなっているのかわからない。

気がついたらクッションの上で寝落ちていた。
一階に上がると、しらんだ朝焼けの空だった。
かなりの時間を過ごしていたようだ。
リビングのミルクが空になっていることに気づく。
荒れ放題だった部屋が、見違えるように綺麗になっていた。
シルキーが気まぐれで掃除をしてくれたようだ。

だめだめに沈んでいたような心持ちが、ふわっと上昇したようか気分がした。