泡と思い出
最終電車に揺られながら、今日のことを振り返る。
ぼんやりと、ただ流れてゆく景色に身を任せて、ガタン、ゴトンと進んでゆく。
朝が早かったから眠たいな、とか。
明日も朝から予定があるや、とか。
寝ぼけた頭でぼんやり、じっくり思い出す。
世界が溶けてなくなるような、実感の湧かないふわふわとした心地なのは、さっきのんだビールのせい。
苦くて、しゅわしゅわ、お腹にたまる。
好きでもないのに背伸びして飲んだビール。
やっぱり美味しいとは思えないけど、あの時間楽しい気持ちでいつもより、本当に少しだけ、美味しいように感じた。
苦くて、しゅわしゅわ、心にのこる。
重たいまぶたをむりやり起こして、思い出に浸りながら電車に揺られる。
最寄駅まで、あともうちょっと。
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