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くるり「ばらの花」が教科書に掲載される件について思うこと。



今日何気なくTwitterを見ていたら
なんと「ばらの花」が高校の音楽の教科書に採用されたというニュースを目にした。

こちらが掲載される音楽の教科書

この教科書の表紙にも驚いた。中村佑介氏のデザインじゃないか!
エモさ全開である。本当に今の学生が羨ましい…。
ロバがくわえている楽譜、よく見ると「ばらの花」と書いてある。

「ばらの花」のリリース当時、私は高校生だった。
この曲に出会ったのは、忘れもしない夕方の歯医者。
待合室で流れるFMラジオから「ばらの花」が流れてきた。

当時、FM各局でこの曲がパワープレイになっていたのを覚えている。
優しいイントロのギターを聴いた瞬間、心を持っていかれた。

その後、TSUTAYAでたまたまレンタル落ちのシングルをゲットでき、CDが擦り切れるほど聴いた。

実は同じ頃に、BUMP OF CHICKENの「天体観測」もリリースされ、周りの友達はみんなバンプにくぎ付けになっていた。
そんな中で、クラスの中で目立たない私は、少人数のくるり派として親友とくるりの2ndアルバム「TEAM ROCK」の良さを語ったりもしていた。

とにかく、高校、大学と私の学生生活は「ばらの花」と共にあった。
好きな子にフラれた帰りの電車の中。
雨降りの日、何をすることもなく退屈に過ごす家の中。
バイトから帰る夜道。
いつの日だって、ウォークマンからは「ばらの花」が流れていた。
「あぁ、何故この曲はこんなにも私の心をせつなくさせるのだろう」と、子供ながら不思議だったのを思い出す。

そんな「ばらの花」が高校の教科書に掲載される。
嬉しい反面、正直少し悲しい気持ちもある。

「ばらの花」が名曲なのには違いないが、そんなにとりだたされるほどの大衆向けの名曲ではないと言いたい。
それは、ファンの嫉妬とはまた違う感覚。
上手く言えないが、「教科書に載ってる曲」になってしまったことで、色々とバイアスが生まれてくる気がするのだ。

私の当時の音楽の教科書でもJ-POPは何曲か掲載されていた。
SMAPの「夜空ノムコウ」や、kiroroの「未来へ」等がそうだった。
でも、「ばらの花」はやっぱり違う。
音楽の教科書というカタチづけられたものに掲載されてしまうことで、この曲が持つ不安定さやせつなさが、なんだか奪われる気がしてならないのだ。

表紙を描いた中村佑介氏のイラストも同じ。
彼のイラストは、アジカンのCDジャケットや小説のカバーだからこそ、あの華やかさやエモさを発揮できるのではないだろうか。

色々愚痴ったが、「ばらの花」がいつだってそっと心に寄り添ってくれる曲なのには違いない。
音楽の教科書からこの曲を初めて知った人は、この形容しがたい魅力に気づいてくれるだろうか。


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