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【気になる記事4】気候変動対策の切り札になるかもしれないCCS実証実験

東芝エネルギーシステムズは2020年10月31日、グループ会社のシグマパワー有明が所有するバイオマス発電所「三川発電所」(福岡県大牟田市)において、排出されるCO2を分離回収する大規模な実証設備(CCS)の運転を開始した。

CCSとはCarbon dioxide Capture and Storageの略で、排出された二酸化炭素を分離回収する装置である。この技術が普及すれば火力発電所から排出される二酸化炭素は大幅に削減され、火力発電所の復権と気候変動対策として大きな進歩となる。

CCSの原理は私もあまり詳しくないが、二酸化炭素をアルカリ溶液と反応させる化学吸収や、特殊な溶液に溶かす物理吸収などいくつかある。元々窒素酸化物(NOx)や硫化酸化物(SOx)の排出削減に使用されるような環境技術は日本企業の得意分野であり、今後も発展が期待できる。もしこの技術が世界標準となれば、極めて有望な製品となるだろう。

その他にも有名なCCSの実証実験施設として、大崎クールジェンプロジェクトがある。このプロジェクトでは第1段階として、究極の高効率発電技術である「石炭ガス化燃料電池複合発電(IGFC)」の基盤技術である「酸素吹石炭ガス化複合発電(酸素吹IGCC)」の実証実験がされている。第2段階では、酸素吹IGCCにCO2分離回収設備を付設した「CO2分離・回収型酸素吹IGCC」、第3段階ではさらに燃料電池を付設した「CO2分離・回収型IGFC」の実証を行う。2019年に第2段階のCO2分離・回収型IGFCの実証実験が開始された。

技術は常に進化している。特に環境問題対策は人類の大きな課題であり、国、研究所、企業が関心と熱意を持って取り組んでいる。従来火力発電所の熱効率は30~40%と言われていたが、三菱日立パワーシステムズ(現三菱パワー)のガスタービン・コンバインドサイクル発電プラントの熱効率は64%であり、従来の1.5〜2倍の効率を達成している。安直に石炭火力発電所だから環境に悪いというレッテルを貼らずに、技術の進化を少しは信じてほしいと切に願う。

日本製鐵などの国内鉄鋼会社3社は、鉄を生産する高炉でもCO2削減のために鉄鉱石の還元に使う水素の量を増やす試験を行なっている。こちらも排出量をゼロにはできないが、最大限の努力を行なっている。現実問題として現代社会に鉄などの鉱物の生産は停止できないことを考えれば、こういう取り組みは非常に大切である。

どっかの環境活動家の少女は大人は現実を見ない馬鹿ばっかりと言っていたが、大人も努力をしていることをちゃんと知ってほしい。

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