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【ライブレポ】deadman 2023 tour「Rabid dog walking a tightrope」2023.3.20

渋谷CLUB QUATTROからスタートしたdeadmanの「Rabid dog walking a tightrope」。
Vo.眞呼、Gt.aieに加えて、サポートメンバーにBa.kazu(the god and death stars、gibkiy gibkiy gibkiy)、Dr.晁直(lynch.)を迎えての体制で臨む東名阪ツアーとなり、2023年現在のdeadmanを見せつけるライブになるのは間違いなく、その呼び水として、4人でレコーディングされたリテイク・ニューアルバム「dead reminiscence」が先行販売されることに加え、新体制での新曲である8cmシングル「rapid dog」が配布されることも発表されている。
期末月の月曜日と、なかなか痺れる日程ではあったが、keinの復活ライブ当日、ライブの感想で盛り上がる仲間内のグループLINEを見ながら、この後悔を忘れまいと、その日のうちにチケットを予約したのだった。
keinの悔しさをdeadmanで晴らすというのはお門違いかもしれないけれど。

会場に入って、まず驚かされたのは、禍々しいセット。
シンプルなステージではあるのだけれど、中央に、電話ボックス型のビニールハウスが設置され、蛍光塗料の手形がベタベタと付着。
異質な存在感を放っていた。
SEが鳴ると、その中にスタンバイする眞呼。
広いステージの上における閉鎖的な空間を演出すると、「rapid dog」を皮切りに、攻撃的なナンバーが立て続けに披露されていく。
ガラスやプラスティックではなく、ビニールラップのような素材で出来ているのも効いていて、今にも飛び出してくるのでは、という大迫力。
実際、「quo vadis」に至るころには、フロアと眞呼を隔てる透明な壁はすべて破られていて、いよいよ、神様、あるいは悪魔が世に解き放たれる、と思わず鳥肌が立っていた。

「盲目の羽根と星を手に」からは、歌モノを多く配置した印象。
照明演出も連動していて、「follow the night light」では、逆光によってシルエットになるメンバーが神々しい。
アレンジが変わった「銀のパラソル」で、ムード歌謡感を際立たせるような演出が加わっていたのも良かったな、と。
眞呼が大きくパフォーマンスをするだけに、aie、kazuは淡々と持ち場を動かずに演奏するスタイル。
渋谷CLUB QUATTROの設計上、下手の柱が邪魔なのは相変わらず。
kazuについては、ほとんどベースの先しか見えない状態だったものの、音には感情が乗ってくるもので、狭間に投入された「in media」には、原曲のお洒落さ以上に、アグレッシブなパッションを感じずにはいられなかったし、「体温」が感動的だったのは、歌唱による表現の良し悪しだけが理由ではないのである。
ちなみに、晁直もビニールハウスが君臨していた序盤はほとんど視認できず。
見逃しているポイントがあれば唇を噛むしかないのだが、眞呼とaie、純粋なdeadmanのステージに集中できたということで良しとしよう。

「溺れる魚」以降は、定番曲を中心にフロアをカオスの海に誘っていく。
別人が憑依しているかのようにシアトリカルなパフォーマンスは、まさに眞呼の真骨頂。
MCでは、意外にもくだけた一面を見せていただけに、その極端なメリハリが、余計に狂気性を連れてくるかのよう。
安易に真似すると、コミカルにしか見えない動きも、彼にかかれば、カリスマによる煽動になってしまうのはズルいところだ。
圧巻の「re:make」で、本編はクロージング。
眞呼が先にステージからいなくなり、演奏が鳴りやんでから楽器隊がステージを後にしていったのだが、この唐突感も何らかの布石なのだろう。

なんて思っていたら、アンコールにて問題が発覚。
「additional cause for sorrow」、「色別の亡い空虚」と、ここに持ってくるとは思わなかったサプライズ2曲が終わった後、眞呼により、本当はここまでが本編だったことが告げられたのである。
あまりに楽しく、気持ち良くなりすぎて、「re:make」で終わったと勘違い。
aie&kazuも、帰るべきか待つべきか迷った末、最後まで戻ってくることを信じた晁直を残し、ステージを捌けたのだとか。
笑いをとるアプローチを一切持たないバンドであるにも関わらず、天然で場を掴んでしまうのが、なんとも眞呼らしいというか。
今後、「re:make」の後に普通に「additional cause for sorrow」を演奏したら笑ってしまうだろうから、オーディエンスの中に、他の会場にも来るファンもいるであろうことを踏まえ、ツアーのセットリストを一部変更するとaieが明言。
コアなファンには楽しみが増えた形で、なかなか得難い経験ができたな、とポジティブに捉えておこうか。

正真正銘のアンコールは、「鐘は鳴る」と「聖者の行進」。
なんだかアットホームになりつつあった場の空気も作用して、多幸感に包まれての終演。
スタッフが退場を促す時間になっても、アンコールの声が止まなかったのが、この日の充実感を物語っていた。
振り返ってみると、ベスト盤のようなセットリスト。
時期的に「桜と雨」が聴きたかったのは僕だけではないだろうが、それを差し引いても余りある濃密さと言って良いはずだ。

なお、発表内容の大きさに比して、あっさりとした告知になってはいたが、deadman vs keinのライブ開催が決定したとのこと。
こちらも間違いなく注目のライブになるだろうな。


1. rapid dog
2. lunch box:2.0
3. quo vadis
4. family:2.0
5. 盲目の羽根と星を手に
6. follow the night light
7. in media:2.0
8. monster tree
9. 銀のパラソル:2.0
10. ドリスからの手紙
11. 体温
12. this day. this rain.
13. 溺れる魚
14. blood
15. kafka
16. 受刑者の日記
17. through the looking glass:2.0
18. re:make

en1. additional cause for sorrow
en2. 色別の亡い空虚
en3. 鐘は鳴る
en4. 聖者の行進:2.0

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