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好きな小説オブザイヤー 2023年

みなさんおはこんにちばんは! 富井サカナです。
基本的にネットでの活動としては趣味でゲームを制作している者です。
読書・映画鑑賞・ゲーム・ランニングなんかも割と趣味でして、
色々関連記事を公開していますので是非マガジンからご確認ください!

注:「目次」の「すべて表示」を押し、「ランキングの結果を一気に見る」を選ぶと結果だけ一気に参照できます。


はじめに

3年くらい前から読書記録も付け始めているので、昨年に続きせっかくだから振り返って年間ランキング形式で備忘録的にまとめることにしました。
なお、読んだタイミングで受けた印象の強さも確実に加味されています。例えば、『殺戮にいたる病』なんて読んだ当時の衝撃は半端なかったですが、今読んだら「ああ、このパターンね」なんて思う可能性があります。
縛りとしてバリエーションを出すために1作者1作品とします。
読者としてはかなりミーハーなので読む本は話題作が多め、エンタメ系作品、ジャンルではミステリが好きという感じです。また、読書はほぼ「文庫本を購入して読む」スタイルなので新作発表からはそれなりの時間差が生まれるので最新作はありません。

と、相変わらず前置きが長いですが、早速いってみます!

ちなみに2023年に読んだ書籍の数を集計したところ、ビジネス書除きで83冊でした。理想は3桁ですが、まあゲ制して映画も観つつフルタイム共働き2子持ちリーマンの限界値がこのあたりと思われます。


好きな小説 2023年年間ランキング

10位

なめらかな世界と、その敵 伴名 練
ジャンルとしてはミステリの次にSFが好きだという自己認識ではいるものの、ミステリと違ってSFは海外の名作をちょこちょこ読むに留まっていたため、評判の高い本作を見つけたので読んでみた。SFの本格長編は割と読むのにエネルギーを使いがちだが本作は短編集なので手に取りやすく、かついずれも本格的な作品群となっており非常に読後満足度が高かった。SF初心者がのめり込む最初の一歩になりうる一冊と感じた。


9位

ぼくのおじさん 北 杜夫
もはや歴史上の偉人である北杜夫の子ども向けエンタメ小説。小学校の頃に自宅にあったのを読んで非常に面白かったのを思い出し、図書館で借りて四半世紀以上ぶりに再読してみたが今読んでも全く古くなく面白い。1ドル360円時代のお話だから古いに決まってはいるが、小5の長男にも大ウケ。役立たずで口が減らないけどなんだか憎めないおじさんのキャラが秀逸。


8位

六人の嘘つきな大学生 浅倉 秋成
若手の書き手の中でグイグイと売れてきている著者の文庫最新作。個人的には特殊設定ミステリ「教室が、ひとりになるまで」の方が好みではあるが、本作も間口の広いエンタメ系ミステリで非常に楽しめた。現行の就活のシステムに対する風刺的なテーマも含んでおり、元就活戦士&元新卒担当の身としてはあるある的な面白さもあった。やや爆発力には欠けるものの、結末の意外性もあり。


7位

スター 朝井 リョウ
この1、2年で一気に大好きになった著者の作品。今年も複数作を読み、「正欲」や「世にも不思議な君物語」なども面白かったが、1作者1作品のマイルールに照らして一番熱中して読めた本作を選出してみた。時代の最先端を行く若者からすればそうでもないかもしれないが、自分のような普通のおっさんからすると著者の「時代を描く力」は素晴らしいといつも感じる。ラストに到達してもこの作品の続きが読みたいと強く感じた。


6位

■恋に至る病 斜線堂 有紀
そこまで好きな作風ということでもないはずだが、かなり刺さった作品。ラノベ的という評もありそう(というかレーベルからしてラノベですが)だが、自分としてはノベルゲーのような雰囲気だと感じた。本作の満足度が高かったのはひとえにヒロインの人物造形と、主人公とヒロインの関係性の描き方が良かったから。ヒロインの本心はどこにあったのか、ということをあれこれ考えるのも面白かった。


5位

凶鳥の如き忌むもの 三津田 信三
ホラー×ミステリの刀城言耶シリーズの2作目。去年まで全くのノーマークだったが、シリーズ2作目の本作で早くも絶妙なバランスを実現。シリーズ1作目の「厭魅の如き憑くもの」はいくらなんでも前置きが長すぎて辛かったが、本作は前作に比べて大いに改善されたうえ、因習設定で雰囲気と状況を複雑かつ効果的に固めておいて、中盤以降は怒涛のロジック展開でラストに大爆発。読後しばらく放心状態になった傑作。


4位

流浪の月 凪良 ゆう
やはり本屋対象受賞は伊達じゃなかった。文章が綺麗で美しいので一文一文が染みわたり、先が読めないシナリオ展開にも惹き込まれた。登場人物の心情描写や周囲の人物の人物造形が非常にリアルだったせいもあり、序盤から終盤まで感情がもう揺さぶられる揺さぶられる。夢中になって寝るのを忘れて一気読みしたせいもあってか、読後はジェットコースターに乗った後のように疲れた。たまたま文庫サイン本入手できて良かった。


3位

体育館の殺人 青崎 有吾
読みやすくて登場人物やセリフは一部ラノベっぽいところもあるが、非常に正統派で綺麗にまとまったミステリ作。事件現場が体育館の話を読んだのは初めてかも。誰もが舞台現場のイメージが沸くし、トリックも真新しく感じられた。話の展開にはほぼ無駄がなく、特に探偵が事件を解いていく流れが自然で秀逸だった。読みやすいわりに王道ど真ん中のミステリ作なので、初心者から上級者まで楽しめるはず。


2位

世界でいちばん透きとおった物語 杉井 光
全く評判を知らずに書店で平積されているのを見て何となく読んだ一冊。これはもうなんていうかワンアイデア×努力の結晶のような作品だなぁ、と。全く好みじゃないという人もそれなりの割合でいそうではあるが、一読の価値はあるんじゃないかと。「この恋が壊れるまで夏が終わらない」もよくある設定ながら落としどころが新しく楽しめた。もうちょい著者の作品は追ってみたい。


1位

首無の如き祟るもの 三津田 信三
というわけで今年読んだ中で1番の小説は三津田信三氏の「首無の如き祟るもの」でした!
終盤にメインを張れるような大ネタが立て続けに大爆発し、読みながら脈拍が速くなるのを感じた。最後の最後まで驚かされ続けて読後は完全に放心状態に。2023年は名作映画も多数鑑賞したが全エンタメで衝撃と感動はNo.1。このレベルの衝撃は人生でもそう何度も味わえるものではないので嬉しい。読了直後は着想に驚愕し、その後は技巧に畏敬の念すら覚えた。何とかこねくり回して本作の設定を思い付いたとしても、詳細にプロットを練りつつ慎重に書き進めないと少し塩梅を間違えたら破綻しそうなバランス。ミステリ好きの方には非常にお勧め。読後は「クオリティに知名度が追い付いていない!」という気持ちが分かるはず。なお、刀城言耶シリーズの他の作品を読んでからの方が作風が理解できたうえで楽しめる気はする。


ランキングの結果を一気に見る

10位 ■なめらかな世界と、その敵 伴名 練
9位 ■ぼくのおじさん 北 杜夫
8位 ■六人の嘘つきな大学生 浅倉 秋成
7位 ■スター 朝井 リョウ
6位 ■恋に至る病 斜線堂 有紀
5位 ■凶鳥の如き忌むもの 三津田 信三
4位 ■流浪の月 凪良 ゆう
3位 ■体育館の殺人 青崎 有吾
2位 ■世界でいちばん透きとおった物語 杉井 光
1位 ■首無の如き祟るもの 三津田 信三

去年と違って総評めいたことをしてみます。

ハッキリ言って自分の中で1位はぶっちぎってました。ここまで完成度が高いミステリ作品がなんでしばらくノーマークだったんだろうと自分のアンテナの低さに辟易としたくらい。また、ミステリ初級者ではもしかしたら楽しみきれないかもなので、ミステリ好きで良かったとも心底思えた一作。影響を受けて、地味にミステリゲーを作る企画を進めています。同じ作者の凶鳥を5位にしましたが、首無を読んでなかったら1位にした可能性もあります。こちらも剛腕筆致がうなる良作。それにしてもかつては「すべてがFになる」「殺戮に至る病」「白夜行」などで強烈な読書体験をしましたが、この歳になってここまで衝撃を受けるミステリに出会えるとは思わなんだ。

2位は個人的に凄く好きなタイプですが、人によっては評価に値しないと感じる人もいそう。3位は超正当派ミステリなので未読のミステリ好きは是非。4位、6位、10位の作者は他の作品を未読なので今年それぞれ1冊以上は必ず読むようにします!


おわりに

過去に何度か小説・小説家についてはまとめ記事を上げております。
何か小説を読みたいけど何読もうかな~。という方がいたら是非ご一読ください。読む本のジャンルに非常に偏りはありますが。

👆こちらは昨年度版になります

👆こちらはだいぶ前にまとめたもの。こなれてないですが紹介冊数は多め

👆こちらも有名作家ばかりではありますが

👆映画も年に50本強くらいのペースで見てまっす!


最近は他の方の読書ツイートやnote記事から読む本を選ぶことも増えてきているので、その一助になればという感覚もあります。
以上、富井サカナでした。


👇得た養分を元に趣味でゲームを作っているので是非どうぞ!

👆こちらは昨年10月から公開したてノベルゲームです!

👆こちらが制作したゲームの一覧です!

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