初めに食べる派?最後に食べる派?
どうぞ、ゆっくりと食べてくださいね。
手のなかに、目の前に、いくつもの料理がある。
こぼさないように慎重に運ぶ。
今日はいくつのお皿があるだろうか。
いち、にい、さん、しい…。
まぁ、いくつでもいいのだけれど。
さあ難関がやってきた。
どれから食べようか。
好きなものからと言っても分からない。
好きでないものからと言っても分からない。
子供の頃、確かケーキのイチゴは最後に食べていたっけな。
しっとりとしたスポンジと、案外綺麗な断面を見せてくれる、するっとしたクリーム。
子供ながらに上手いこと配分を考え、イチゴに合う量を残して、最後にまとめて口に運ぶ。
丸いケーキの場合、端からせめて最後に中心にたどり着くように食べていく。
変な食べ方を覚えたものだ。
だが、見事にずっと端をせめていることになるこの食べ方は、何だか綺麗なものだと感じていた。
私は兄弟のうち、ほぼ真ん中に生まれた。
おっと、そんなことを考えている場合ではなかった。
この料理達の順番を決めなければ。
誰かの決めた順番が、私の順番となった。
初めに食べるか、最後に食べるか、自分で決められなくなった。
毎日毎日、朝、昼、晩、どの料理も塩味が先に勝っているし、何色なのかさえ見にくくなってくる。
だが腹は減るのだ。
食べるしかない。
食べるだけで褒めてくれるヒトがいるなんて、ここはなんて世界なんだ。
次のご飯は好きなもの、あるかな。
まずは好きなものを思い出すことから始めてみないと。
いただきます。
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