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目に見えるものだけが全て

こちらのら文章は、今までよりもくっきりと、その時に近い感覚で表現しております。
苦手だと感じる方がいらっしゃるのは当然のことです。
無理せず、戻ってくださいね。
他にも綺麗な色を載せておりますので、そちらを観て頂ければ幸いです。


ダメだ、ダメだ、ダメだ、、、。
嫌な予感がする。
ここから動くと、この先にいくと、もうダメな気がする。

名前を呼ばれて扉が近づく。
私の足で歩くのだけれど、なんだか扉がこちらに来ているように感じた。
あと3歩程だろうか。
目的地にたどり着く、そんなときだった。

足が動かなくなる。
目の前には強力な磁石が付いてるような、私を引っ張ろうとする扉があった。

ここを通れと言うのか?!
そんなこと誰にできるんだ?!

せっかくここまで来たのに、一歩二歩と足が後ろに動く。
数歩遠のいたとて、その扉は普通でないまま。

あんたも、あんたも、そんなところにいては危ない!

優しさと不自然さを足した眼差しで、みなが私を導こうとする。

だが、私は一向に進めず、壁にそっと助けを求めた。
その壁はクリーム色まで甘くはないが、灰色ほど苦味はない。
すーっと私を受け入れた壁は、ひんやり冷たくて、そっと目をつむりたくなるような爽やかさがあった。

ここは安全だ。もうその扉に近づくものか。

確信が生まれた途端、段々苛立ちさえも覚えてきた。

なぜ、みなにはわからないんだ?!
その扉は私を吸い込もうとしているのに!!
大丈夫大丈夫ってなんだ!!
どこか大丈夫なんだ!!
ダメだ、ダメだ、ダメだ!!!

味方はこの冷たい壁しかいない。
気づけばあっちの扉も、こっちの扉も、わたしを吸い込もうとしていた。

あー、どの扉もすごい重力がかかっていそうだな。
ジェットコースターだとどのくらいだろう。
壁にもたれながらそんなことも考えていたっけ。

私だけが戦っていると、何人かヒトがやってきた。


気がつくと見晴らしのいい部屋で、私は一眠りしていたようだ。
田んぼが一面に広がり、すぐ近くに電車も走っている。
いろんな車が走っているのも見える。
あの人は、お散歩をしているのかな。

もーこんな時間か。
瞼が重い。
もう一度寝ようか。
ふんわり、真っ白な布団に身を委ねて、私は目を閉じた。

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