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ゲームモデルの作り方:13の行動(基礎編)〜プロローグ 高校教員時代のゲームモデル〜Vol.2

プロローグ


高校教員時代のゲームモデル(1999〜2012)

高校教員生活13年間で、ゲームモデル(昔はプレーモデルと言っていた)を少しづつ様々な文献や講習会などから学び、研究し、試行錯誤して作り、毎年少しづつバージョンアップしてチームの始動日に、冊子にして選手一人一人に配っていた。それをミーティングで選手に説明していた思い出がある。それが、上手くいったか、どうかはわからない。

多くの文献を読み、講習会にも参加したが、人々の前で公開することを考えていなかったので、もう誰の考えをどこで引用しているのかがわからなくなってしまったことはご了承願いたい。

私が記憶している文献や講習会で学んだ方々の名前だけを上げると、村松尚登氏、フィル・ジャクソン(元NBA監督)、月刊サッカークリック、そして月刊フットボリスタから引用したことは確かである。


個々のポジションの役割:

ゲームモデルは選手一人一人が、チームの原則となる攻撃と守備のフィロソフィーを理解し、その上で、個人に与えた各ポジションのタスク5つ(攻撃5、守備5)を試合中に実行するようにトレーニングで何回も実践していた。選手が自分のポジションに与えられたタスクをしっかりと理解し、実践することで、ただ、単に選手一人一人の自由な発想でプレーをするのではなく、選手がチームの約束事の中でチームプレーをして欲しいという目的で作った。

攻守5つのタスクは、その年の選手の能力と私が考えるゲームモデルができるだけ適応するようにしていた。私が理想とするフットボールだけを追っても、チーム、選手の能力次第だと言うことは、13年間の高校教員時代に学んだことの1つだ。理想を追いながらもチーム、選手の現実に即したゲームモデルを構築したつもりである。

今、見ると恥ずかしいところもあるが、スペインに行く前の私が知っていたゲームモデルである。



HGSサッカー部プレーモデル2011

熱狂を巻き起こし全国へ


一本の指では、小石一つでも持ちあげられない(ホピ族のことわざ)

指導者の役割:
才能の質に関係なく選手が持っている才能を最大限まで引き出してあげることであり、指導者は高い要求を選手に課さなければならない。
試合では:
「チーム」のテーマ「選手個々」のテーマを分けて設定する。
個々のテーマは1試合につき3つ
結果的に選手個々が自分の役割を果たせばチームは勝つ。


サッカーというゲーム、コンテクスト(文脈)のなかで技術(実践的な技術)を向上させる。
さて、これがジャングルの掟だ
空と同じくらい昔からある、そして、空と同じくらい真実の。
そして、この掟を守る狼は、栄え、
この掟を破る狼は、滅びる、
木の幹のまわりを取り巻く昆虫のように、
この掟は、行きつ戻りつする
何故なら、群の強さは、狼であり、
狼の強さは、群であるから。

「第二のジャングルブック」からの一節
ルディアード・キプリング


夢目標:全国制覇
最大の目標:全国出場
最低限度の目標:全道大会出場


「本当に勝ちたいならば、勝ち負けにこだわるのをやめて、一瞬一瞬の出来事に注意を集中させることである。そうすれば、物事は得てしてうまく運ぶものだ。
ほとんどのチームには勝ちたいと思っている者がいるが、そのためにすべきことを喜んでやろうとはしない。勝つために必要なことは、チームのために自我を捨てて、自分の役割を果たすことだ。
必ずしも楽しいことばかりではないが、やらなくてはならない。
何故なら、そうすれば、勝てるから。
 心を広くして、チームとしてすべきことが、個人の栄光に優先し、成功は、目覚め、意識し、他者と協力してはじめて達成されるものだという考えを持たなくてはならない」
集中とは、自由を意味する
「円陣を組み、我々は心を呼吸に集中させる。自分のことを忘れて、自分の呼吸を感じる。
もし、自分の呼吸に集中しているなら、自分のことを忘れるだろう。また、もし、自分のことを忘れるなら、自分の呼吸に集中しているだろう」
サッカーに取り組む姿勢
「うまくなりたい、勝ちたいと思うなら、100パーセントの状態で練習する必要がある」
勝者のマインド(無私の精神)                    1. チームと共にあれ(チームが一つになること)
1. 敬意を払う(全てのことに、全ての人に)
1. 対面して話す(率直なコミュニケーション)
HGSサッカー部:グラウンドルール
善く生きる。良いプレーをする。
「本当に些細なことが、チームのパフォーマンスに大きく影響する」   モウリーニョ(元チェルシー監督)
心得
1. 今、準備する。
2. グラウンドでは、試合の状況を想定する。
3. 自分で認識する(自分で考える)。
システム:4−2−3−1
コンセプトA:                            全員でパスをつなぐ攻撃的サッカー
サブコンセプト:                          ①ボールポゼッション(できるだけたくさんボールを回す)
サブ2コンセプト:
・定位置に必ず選手が1人いる(ボールポゼッションを可能にする)
・DFラインでボールを奪ったら、GKにバックパス(攻撃できる状況にない場合)
・全員でスペースを作り、深く広くグランドを使う
・攻撃のトライアングルを作る(ボール保持者に対して常に3角形を作る)
・ボールポゼッションを高く維持したいが、相手のレベルや状況に応じて臨機応変に対応する
サブコンセプト:                          ②積極的なサイド攻撃
サブ2コンセプト:

・両サイドバックが常に高いポジションを取る
・両ウイングが高いポジションを取る
・サイドでつまったら、逆のスペースにサイドチェンジし、数的優位を活かす
・ショートパスを多用するがサイドチェンジの際はロングパスも積極的に使う
・サイドバックは攻撃参加を積極的に心がける
・サイド攻撃を重視するが、FWを活かしての中央突破も大切にする
サブコンセプト:
③テンポの良い素早いパス交換を意識する
サブ2コンセプト:

・可能であればダイレクトパスも多用する
・縦パスを入れた際には、パス&ゴーを意識し、ワンツーを狙う
・スピーディな攻撃的サッカーを目指すが、相手のレベルや状況に応じて臨機応変に対応する
・チームのフィジカルコンディションを考慮し、試合のリズムをコントロールする
サブコンセプト:
④相手の隙をつくセットプレー(アウトオブプレー)
サブ2コンセプト:

・相手のディフェンスラインが出来る前に素早くリスタートする
・必ず、ボールに対して2人たち意図を隠す(FKの場合)
・多くのバリエーションを持つ
・9.15m壁を離してもらい、落ち着いて蹴る
サブコンセプト:
⑤ポジションチェンジ(マークをしぼらせない)
サブ2コンセプト:

・前線の4人はポジションを流動的に替える
・ポジションは替わっても、定位置に必ず1人いる
・ポジションチェンジのスタートはトップである
・トップが空けた真ん中のスペースを活かす
コンセプトB:
最終ラインを高く保つ(相手のレベルに応じつつも、なるべく高く維持する)
サブコンセプト:
①勝っている時のディフェンスライン
サブ2コンセプト:

・1点入れたら、休まず2点目を狙いにいく
・1点差、2点差で前半残り10分はできるだけラインを高く保ちたいが、裏のスペースに注意する(カウンターアタックのケア)
・1点差、2点差で後半始まり10分はハーフラインから自陣10メートルにラインを引き、全力でハイプレスを掛ける
・1点差、2点差で残り10分のラインはハーフラインから自陣へ20メートルにラインを引き、裏のスペースを消すことを考える。
・1点差で残り5分は20メートルラインを保ち、全員でプレスを掛け、ロングボールを蹴らせないような対応も心がける。
サブコンセプト:
②負けている時のディフェンスライン
サブ2コンセプト:

・前半開始15分以内での失点はハーフラインから自陣10メートルにラインを保ち、プレスを掛け続ける
・前半2点差で、前半残り5分はハーフラインから自陣10メートルにラインを保ちプレスを掛け、得点を目指す
・後半開始15分以内での2点差はできるだけラインを高く保ちつつ、闇雲に、攻撃を急がない
・後半残り15分での2点差は出来るだけ、ラインを高く保つ。出来たら、ハーフラインかハーフラインから自陣10メートルにラインを保ち、オールコートプレスを掛ける
サブコンセプト:
③同点になった時のディフェンスライン
サブ2コンセプト:

・後半残り15分で同点にされた、もしくは同点にした場合は、ハーフラインから自陣20メートルにラインを引いてチームを落ち着かせ、相手の隙を狙い攻撃に転じる
・後半残り5分で同点になった場合、ハーフラインから自陣20メートルにラインを引いて、決して焦ってバランスを崩すことなく、相手のミスをうかがう。PK戦、延長も視野に入れる。
コンセプトC:
ゾーンにプレス!
サブコンセプト:
①自分のゾーンに入った選手にプレッシャーを掛ける(基本的にゾーンディフェンス)
サブ2コンセプト:

・誰か個人を集中してマークしない
・ボールにつられず、自分のゾーンに入ってきた相手にプレッシャーを掛ける
・ボールの位置に則してDF4人体制で上下に動いてディフェンスする
サブコンセプト:
②前を向いた状態でボールを奪う
サブ2コンセプト:

・前を向いてボールを奪うことにより、攻撃に移りやすい。
・DFラインの裏にボールを入れさせないように前線の4人でハイプレスを掛ける
・縦を切って中へ追い込むことにより、グランドを広く使わせない
・縦を突破されて、アタッキングエリアに侵入されたら、外側へ追い込む
・サイドバックがアタッキングエリアを突破されたら、ボランチがカバーに入る
・原則2ストッパーとサイドバック1人はゴールエリア付近にポジションを取りゴールを守る
サブコンセプト
③相手にスペースを与えない
サブ2コンセプト:

・コンパクトにする。またし過ぎない
・ボールより下がる
・2列を作る(守備ブロック)
・守備の数的優位を常に作る
・守備のトライアングルを作る(ボールチャレンジしている人を頂点として三角形を作る)
・相手の視野が悪い場合は2人で挟み込む
・相手の縦パス、オーバーラップにはリカバリーランで対応する。
※リカバリーラン:ペルムタ(カバーリング入った選手のカバーリング。例:SBの後ろにWGがカバーに入る)
コンセプトD
攻守の切り替えを早くする
サブコンセプト:
①攻撃から守備への素早い切り替え
サブ2コンセプト:

・シュート直後に守備に意識を切り替える
・ドリブル、パスミス直後に守備に意識を切り替える(特に横パスのカットはカウンターを受けやすい)
・相手のセットプレー、スローインになった直後に守備に意識を切り替える
・ボールを奪われた瞬間にボールを奪い返すことを心がけるが、無理な場合は臨機応変に対応する
サブコンセプト
②守備から攻撃への素早い切り替え
サブ2コンセプト:

・シュート直後のリバウンドを拾う
・相手ボールを奪う、シュート、パス、ドリブル、ポゼッションへの切り替え
・セットプレー、コーナー、直接・関節FK、スローインなどの自チームのセットプレーは、相手の守備が整う前に素早く始める
・ポジションに関係なく、こぼれ球は必ず拾うという意識を持つ
コンセプトE:
あらゆる状況への対応
サブコンセプト:
①勝っている時、負けている時の戦い方
サブ2コンセプト:

・残り5分、10分、1点差で勝っている状況の戦い方
・残り5分、10分、1点差で負けている状況の戦い方
・残り10分、2点差で勝っている状況の戦い方
・残り10分、2点差で負けている状況の戦い方
・負けている時は4−4−2へのシステム変更の可能性もある
・負けている時は相手のシステム等に応じてシステム変更する可能性もある
・時には、一度も練習したことのないシステムを採用することもある
サブコンセプト:
②疲れている時の対応
サブ2コンセプト:

・相手が疲れている時の対応(敵陣でのドリブル)
・自チームが疲れている時の対応(ボールポゼッション・GKにボールを戻す)
サブコンセプト:
③数的有利、不利の状況の対応(臨機応変)
サブ2コンセプト:

・システムの変更
・戦術の変更
サブコンセプト:
④雨の日の対応(雨の日に練習して臨機応変に対応する)
サブ2コンセプト:

・雨の日の攻撃(グランドが悪い時)
・雨の日のボールポゼッション
・雨の日のディフェンスライン
各ポジションの役割 4−2−3−1(攻撃)
攻撃においてはスペースを作り出し活かす!

長所:
①攻撃時、幅と深さが取れる
②サイドチェンジが有効
③中盤でのプレスが機能する
④2ボランチで守備に厚み
GK
1. GKがボールをキャッチした時の第一選択は前線(FW)にロングフィード
2. カウンターを狙えない場合の第二選択はショートパス
3. 第三選択はラインを押し上げさせ、FWを狙ったロングパス
4. ゴールキックはなるべくショートパスでディフェンスにつなぐ
5. 絶えずディフェンスラインをサポートし、パス交換に加わる。
ストッパー
1. 動き過ぎず、全体を見渡せるポジショニングを取る
2. 安全なパスを心がける
3. 攻撃が得意なストッパーは中央からの攻撃参加を心がける
4. サイドバックと2ボランチのサポート
5. ロングパス(トップ、ウイング)
サイドバック
1. ストッパーと2ボランチとウイングをサポート
2. 積極的なオーバーラップ(状況に応じて中にオーバーラップも良い)
3. サイドでつまったらサイドチェンジ
4. トップへのくさびのボールを入れる
5. GKからのパスは開いて上がって受ける
2ボランチ
1. 2ボランチは1人は攻撃参加し、もう1人は残り、スペースをカバーする
2. ディフェンスとトップ下をサポートする
3. サイドチェンジを心がける(ロングパスが得意な場合は特に意識する)
4. 360度どこにでもパスが出せるように心がける
5. グラウンダーのパスを出す
トップ下
1. 自分がボールを受けるスペースを作り、相手DFとMFの間でボールを受ける
2. ボールの影になってプレーし、両ウイングとトップをサポートする。
3. 両ウイングと3人でポジションチェンジをして、相手を混乱させる。
4. トップにボールが入ったら、すぐに落としに入るか、裏に抜ける
5. センターリングにはペナルティエリアに飛び込む(ペナルティスポット)
ウイング
1. ポジションをワイドになるべく高い位置に取り、中にスペースを作る
2. アタッキングサードでの1対1はドリブルで仕掛け、センターリング
3. 第一に裏のスペースでボールを受ける
4. サイドバックのオーバーラップを絶えず意識し、そのスペースを作る
5. 逆サイドのセンターリングには必ず、フォアポストに飛び込む
トップ
1. DFの後ろにポジションを取り、スペース(深さ)を作る
2. 中盤をフォローして、中盤に数的優位を作る
3. ポストプレーで味方の押し上げを待つ
4. アーリークロスには必ずニアポストに飛び込む
5. 時折、裏に抜ける動きを入れ、ストッパーを混乱させる
各ポジションの役割 4−2−3−1(守備)
守備の局面ではスペースをいかに消すかが問題となる!
短所:

①中盤の3人(両ウイングとトップ下)の背後が狙われる
②2ボランチの両サイドにスペース
③攻撃と守備に別れてしまう
④オーバーラップがないと攻撃が淡白になる
⑤サイドバックの背後がカバーしきれない
GK
1. 相手ボールになったら、的確なポジションを取る
2. マークの指示をする
3. ディフェンスラインとカバーリングの距離を保ち、DFと協力して守る
4. 1対1は安易に飛び込まず遅らせてディフェンスの戻りを待つ
5. GKボールの時は大きな声を出す(キーパー!)
ストッパー
1. DFラインの押し上げの統率を取る
2. ストッパーとサイドバックのカバーリング
3. カウンターを受けたら、安易に飛び込ます、一度後退して、GKと協力してゴールを守る(特に横パスをとられた時など)
4. ボールにつられず真ん中(ゴール)を守る
5. トップをマークし、4人のDFとマークの受け渡しを声をかけ合いながらしっかりとやる
サイドバック
1. サイドバックに最も近い選手をマークする
2. 基本的に縦を切って中に追い込むが、アタッキングエリアに侵入された場合は、外側に追い込む
3. マークの受け渡しをしっかりする
4. 逆サイドにボールがある場合は、しっかりフォアポストにポジションを取り、マークする。
5. ラインを合わせる
2ボランチ
1. 相手の攻撃的MFをマークし相手にスペースを与えない
2. カウンターの場合は1人はボールにプレスして、相手の攻撃を遅らせる
3. サイドバックが上がっている場合はリカバーする
4. ストッパーにボールが入ったらリカバーする
5. いつも攻撃と守備のバランスを考え、カバーリングして、穴埋めする
トップ下
1. 相手のボランチをマークする(予測し、インターセプトを狙う。ここでボールを奪う)
2. ウイングにボールが入ったら、カバーリングに入る
3. 相手ボランチをマーク(パスカット、振り向かせない)し、ウイングと連携し、プレスする。
4. 攻守の切り替えを速くし、ボランチとの距離をいつも9メートル以内に保つ
5. 中盤の5人の横の距離を狭くし、縦パスを入れさせない。また、お互いにカバーし合う。
ウイング
1. サイドバックをマークする
2. 縦を切って中へ追い込む
3. 絶対に抜かれない
4. 逆サイドにボールがある場合はフォアポストまでしぼりカウンターをうかがう
5. 縦にボールを入れられたらサイドバックのリカバーをする
トップ
1. 絶えずプレッシャーを掛け、ストッパーをマークし、コース限定
2. サイドにボールが入ったら、ストッパーへのバックパスを切る
3. ハーフラインまでは、ボールより後ろに下がる
4. センターサークルより後ろに下がらない
5. GKがのろのろしていたらプレッシャーを掛ける
※どうしてもクリアをしなければならない時は、相手のサイドバックの背後を狙ってクリアする



チーム目標の設定ミス

2011年のプレーモデルはどうだっただろうか。最初にチームの目標を書いたが、私の勤めていた高校サッカー部は、選手を集めて強化している部活ではない(そのような時もあったが)。いつも札幌市の大会を勝ち抜いて、全道大会に出場することを毎年の暗黙の目標としていた。

ただ、私としては、様々な文献から影響を受けて、本当に全道大会に出場するためには、目標を高く設定すると言う考えに執着していた。

全国大会に出場することを目標にしなければならないと考えていたのだ。何度もミーティングを重ね、選手を納得させ、全国を目指すことにしたのだ。

はっきりと言うが、これは私の失敗であった。選手が考える自分たちの能力からすると、全国大会は夢のまた夢(札幌地区予選を1つ1つ勝って行き、波に乗ってくると全道大会と言う目標が見えてくるようなチームであった)。それはわかっているつもりだった。私は、自分でこの高校に勤める最後の年と決めていたので、どうしてもチームを全道大会に出場させたかったのだ(2012年3月末に退職。4月からスペインのバルセロナに行きサッカーを学ぶことを決めていた)。

大きすぎる目標は、選手たちに入らぬプレッシャーを与え、フットボールを楽しむ可能性を阻む。その年の選手がそのようなプレッシャーを感じていたかどうか定かではないが。

学びを結果に変える:アウトプット大全」の著者である樺沢紫苑は、「高すぎる目標」について、本の中でこのように述べている:

脳科学的には「高すぎる目標」では、ドーパミンが出ないのです。ドーパミンは、モチベーションの源。目標達成するために必須の脳内物質です。
ドーパミンは、簡単すぎない、難しすぎない、一生懸命がんばればなんとか実現できそうな目標を設定したとき、最も分泌されます。

このことをもっと早くに知りたかった。勉強不足であった。



攻撃と守備の曖昧さ:

これはこの2011年に限ってのことであったのだが、ゲームモデルの攻撃と守備の局面が曖昧になり、攻撃のタスクのところに守備のことが書いてあったり、フットボールの4つの局面「攻撃、守備から攻撃への切り換え、守備、攻撃から守備への切り換え」が曖昧になってしまった。

2011年のゲームモデルは新しいことを試そうと思い、かなり試行錯誤した。いつもなら、2つの局面を意識して、攻撃と守備に分けて、攻守の切り換えはそれに付随する形を採っていたが、今回はこのようになってしまった。

少しだけ我ながら、褒められるところは、プレーモデル(ゲームモデル)を構造化しようとしていたことだ。コンセプトがあって、その下にサブコンセプト、またその下にサブ2コンセプト(サブサブコンセプト)、そして、個人のタスク(攻守5つづつ)がある。ゲームモデルを構造化しようとする意図はなかったが、本能的にゲームモデルはこのようなものだと感じていたのだと思う。

選手個々の攻撃と守備の5つのタスクは、選手がプレーをする上での原則として、非常に機能していたと思う。試合前に個人のタスクを何度も確認した覚えがある。

この2011年のチームは能力的には高い選手がほとんどいなかったが、私個人として、最もハイレベルなフットボールを展開することができたと考えている。その自信を胸にスペイン(バルセロナ)に渡ったのだ。

以上、高校教員時代のゲームモデルである。次回からは、ゲームの構造化について書きたいと思う。


メールアドレス:sakamotokei68@gmail.com

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