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温泉紀行(湯治番付西の横綱:俵山温泉 町の湯、白猿の湯)

年明け早々どうにも気分がすぐれない。

こういう時は温泉に限るのだが、さて、どこに行ったものだろう?

年末に購入した全国温泉大全(著:松田忠徳)をペラペラとめくってみると、温泉を番付した「湯治場番付」で西の横綱にランク付けされた温泉が県内にあるという記載を見つけた。

山口県長門市にある俵山温泉がその温泉なのだが訪れたことはまだない。

浸かったことのない横綱級の温泉、今年の温泉初めとしては申し分ないと思われた。

Google Mapで俵山温泉までの道程を確認したところ車道の幅が狭く運転に難儀しそうだったため、車を使わず公共機関を利用していくことにした。山陽本線で小月駅まで出たあとバスで俵山温泉を目指すプランだ。

当日は俵山温泉に15時ごろ到着する便で向かうことにした。

ちょうど3連休だったので多少の混雑を覚悟していたが乗り合わせたバスで俵山温泉に降りたのは私を含めてわずか2名だった。

ひっそりとしたメインストリート

昭和から取り残されたようなどこか懐かしい雰囲気の通りを歩き宿泊する松屋旅館に向かう。気さくな女将さんに迎えてもらい部屋で小休憩した後、早速旅館の向かいにある共同浴場「町の湯」に行ってみることにした。

自慢の町の湯

町の湯はPH9.8のアルカリ性単純温泉であり1号浴槽では自噴する「町の湯源泉」を加水、加熱することなく100%掛け流している。

浴場に入るとほのかな硫黄の香りが漂ってきて、これこれと思いながらまずは掛け湯をしてカラダの汚れをしっかり落とす。

湯に入る準備が整うと1号浴槽の無色透明な湯に片足を入れてみる。

ぬるめでちょうど良い塩梅だ。

トロトロとした湯に肩まで浸かり足を放り出す。

いやー、極楽極楽。

滞在中はお客さんの出たり入ったりはあったが混雑することもなく、ゆっくり湯を満喫することができた。

それにしてもいつも行っている近場の循環式温泉の湯とはまったく別物でここまで違うのかと感心してしまった。

宿の女将さんの話では国民皆保険の制度が始まってから長期湯治客は随分少なくなってしまったらしい。病院での治療が受けやすくなった結果、病院で治療できなかった場合に湯治に行くという流れに変わってしまったようだ。確かに街の通りには旅館がたくさん立ち並んでいたが現在も営業しているところは少ないのではないかと感じた。

翌日はもう一つの共同浴場「白猿の湯」に行ってみた。

露天風呂もある白猿の湯

白猿の湯はPH9.9のアルカリ性単純温泉で1号浴槽は「川の湯源泉」を加水、加熱することなく100%掛け流している。ただ、男湯と女湯を常時かけ流すには湯量が不足しているらしく交互に掛け流しているようだ。私が浸かっている間も湯は湯口から流れたり止まったりしていた。

町の湯と白猿の湯、どちらも天然の極上湯だが、営業中は常時湯がかけ流されている町の湯の方がカラダに「効く」と感じた。

今まで特にこだわりを持たず近場のアクセスしやすい温泉施設に行っていたのだが、俵山温泉を経験してしまったことで全国にある泉質や源泉掛け流しにこだわった温泉地を巡ってみたいという気持ちがムクムクと膨れ上がってきた。「温泉は生もの」と松田先生の著書にもあったのだがまさにその「違い」を実感してしまったというわけだ。

帰宅後、次の温泉旅行の計画を練り始めたことは言うまでもないだろう。

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