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「共に暮す」を物理的な距離を超えて実現する

要点

離れて暮らす親を見守るためにやっていることの紹介である。一人暮らしの親を守るためには暮らしぶり(状況)を共有することが必要だとわかってきて、それをどのように実現しているかについて紹介する。「共に暮す」という体験を(物理的な距離を超えて)どのように実現するかが鍵となる。

高齢者は本当のことをうまく言えない、言わない

高齢者は本当のことをうまく言えない。あえて言わないこともある。このことに気づいてから、親の見守り方(介護)について、今までの自分の考えを改めることになった。

親に電話をすると、つい、「困っていることない?」「欲しい物はない?」と聞きがちだ。その言葉どおりに受け止めて、介護する側は足りないものを補おうとする。だけど、このコミュニケーションには2つの問題がある。

1つ目は、介護される側が自分の気持をストレートにうまく言語化できない問題。認知能力の低下などによる。

2つ目は、意図的に、本当のことを言わない(言いたくない)問題。介護される側のバイアスがかかっていることを意識する必要がある。例えば、同じ事実を伝える時においても、私への言葉と、私の兄弟に投げかける言葉にも差がある。相手によって言い方だったり、気持ちののせ方を変えているというのは、わかる。まあ、そういう時は私にもあるのでわかる。だけど、介護する側としたら、少し状況把握が難しくなる。何がどれだけ困っているかが理解しにくい。

もちろん言いたくないことを無理に聞き出す必要がないものもある。それはいい。だけど、例えば「部屋は暑くない?」「エアコンは夜はつけっぱなしにしてる?」「水をちゃんと飲んでる?」などについて、「やっている」と答えていることがじつは「やっていなかった」としたら?

このように、温湿度管理や食事管理など、健康に(場合によっては命に)影響が出るようなものは事実をどうにかして把握し、サポートする必要を感じていた。

親の暮らし(状況)を把握するためにテクノロジを使ってやったこと

以下のことを段階的に実施していった。

着信する電話の状況を把握する

迷惑電話のブロックと、通話の記録、着信を知らせるメール通知などを実施した。

見守りカメラで暮らし(状況)を把握する

実家内の親の導線上に見守りカメラ(Wi-Fi)3台を設置し、インターネット経由で状況を把握できるようにした。双方向の通話も可能なカメラのため、見守る側からの発話が可能となり、同じ家の中でゆるくつながり続けている(ような)環境を作り出せている。

温湿度のリモートコントロール(SwitchBot)

最近、このSwitchBot製品群を導入した。具体的には、温湿度計を2個(リビングと寝室、Bluetooth接続)、SwitchBotハブミニ(インターネット接続)の2種類をまずは導入。

SwitchBotハブミニには、家電機器のリモコンの制御ができるため、実家内のエアコンやテレビに命令を出せるように設定した。これにより、部屋の温度(26℃~28℃)、湿度(約50%)を目標にし、それを上下にぶれ始めた場合、(見守りカメラ越しに会話しながら)(インターネット経由で私が)エアコンの設定温度を上下できるようにした。

高齢者は体感温度でエアコンの温度設定やOFF/ONをやりがちなのだが、それが原因で熱中症になるリスクが高い。この仕組により、リモコンの設定ではなく「部屋が何度なのかをインターネット越しで見守る側が確認できる」ことと、「インターネット越しでエアコンの温度の上下を操作できる」ことで、(離れて暮らしていても)期待する温湿度環境に誘導できる。

https://www.switchbot.jp/

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まとめ.「共に暮す」を物理の壁を超えて実現する

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昭和の時代には2世代・3世代が同居するというような暮らし方があったとするならば、たしかに(何も考えなくても)暮らしの共有というものは叶っていたのだろう。

しかし、今は違う。暮らし方が大きく変化した。親が自立できなくなったからといって、その家に子供が同居して親の世話をするという状況は減っているし、もっと難しくなる。その子供にも家族があり、生活があるからだ。

そうなった時に「共に暮らしているような感覚」を物理的な距離を超えてどのように実現するのか、というのが大きなテーマになると思う。

今回、私が実践しているのはインターネット経由で、カメラ・マイク・センサーを使って現場の状況を知り、共有し、それを元にコミュニケーションを取るというものだ。これらを使うことで、24h共に暮らしているような、そんな感覚を得ることができつつある。

もちろん、何かあれば現地に駆けつける(1h以内)。週末はおおむね、実家に出向いて本人と顔を突き合わせて会話する。

「共に暮らしているような感覚」に近づけようとあれこれやり始めてから、少しづつ自分の気持ちが楽になってきた。親の状況を把握できることで、介護する側の気持ちが落ち着くのだ。安心感が増したからだと思う。

まだ道半ばではあるが、「共に暮す」を物理の壁を超えて実現するというテーマにチャレンジし続けたいと思う。

以上。




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