非常事態のリモートワークなのか、働き方の選択肢なのか
リモートワーク/テレワーク、在宅勤務について考えた。「生産性を落とさない」という視点で考えなければ、それはただの一時しのぎの策にすぎない。「働き方の選択肢を増やす」ということを狙うべきであり、そのためには「生産性を落とさずに働ける」を目標にするべきという主旨である。
言葉の定義
リモートワーク/テレワークは「職場から離れた環境で仕事をすること」。在宅勤務は「自宅という場所に特定して、職場から離れた環境で仕事をすること」と理解し、記事を書いている。
非常事態のリモートワークか、働き方の選択肢か
自社の組織では、残念ながら前者だ。非常事態時(BCP発動時)の限定的な施策のつもりでいる(表向きは違うが、実態としては、という意味)。職場で働けない状態になった時に避難先として捉えている。
これが何が残念かというと「非常事態として捉えるならば生産性は落ちても仕方がない」と(会社としては)定義できてしまうからだ。縮退運転という扱いである。「生産性を落とさずに在宅勤務を行うには?」という話題がまったく上がらないのが現状である。「いつかBCPは解かれる」と思っているから。
この場合の在宅勤務は「働き方の選択肢」としてのものではない。
つまり「いつでもどこでも働ける」という環境を社員ファーストで(会社が)提供するような話ではない。自社の場合は、そういう方針であることがわかったので、少し残念な気持ちでいる。
「働き方の選択肢を増やすことで(社員が)手に入れられるものは大きい」ことが実感としてあるので、情シスとしてはそこに突っ込んでいくしかないだろうと考えているところである。
リモートワークで落ちる生産性
インフラの配備(端末、ネットワーク)は必要だが、それだけでは職場で働く場合と比べ、生産性は(何も工夫をしなければ)必然的に落ちると考えている。
例えば、以下のような問題について会社が方針を出しておらず、準備ができている人とできていない人の差が大きい。
<リモートワークになることで生産性が落ちる可能性がある項目>
・仕事の関係者と対面して自分が欲しい答えを引き出すことができない。
・紙で保管されているファイルにアクセスできない。
・建物に付随する設備を使う業務がある場合、操作できない。
・コミュニケーション性能が落ちる場合がある。情報の質、量の差がある。(対面コミュニケーションと、音声通話・ビジネスチャットとの比較)(ケースバイケース、個人のスキル差も大きい)
パッと思いつくものを羅列したが、この中で「建物に付随する設備を使う業務がある場合」だけは、その業務がその場所に固定されているため難しいが、それ以外の要素は事前の準備や、社員同士の事前の調整で解決できると考えている。現に、私の日常の仕事ではリモートワークでは支障は今のところ起きていない。
リモートワークで生産性を落とさない下準備
私がリモートワークでも生産性が落ちないように個人的に工夫していることは、以下。
・紙でしか扱えない書類の全廃
・自分仕事を遂行していくうえで、手足となって動いていただける方との信頼関係の構築とコミュニケーション円滑化への配慮
・インフラの冗長化(特にネットワークインフラ)
書き出そうと思って書いたけど、あたりまえのことしかやってないことに気づく。けっきょく、仕事を進めていくうえで大事なことは、共に働いている人(仕事メンバ)との連携が必要であり、その連携には日ごろから信頼関係が必要である。
まとめ
(信頼関係が確立されたうえでの)人との連携がとれていて、インフラが確立されていれば、対面しなくても仕事は前に進めるし、生産性は落とさずにできるし、働き方の選択肢が増えて精神衛生上メリットが出ることもありえるというのが、実践したうえでの私の実感である。
せっかくのチャンスだ。会社は(在宅勤務を)BCP発動時の体制とだけとらえているのかもしれないが、部署単位でもいいから、働き方の選択肢としての準備や工夫、意識改革、組織の運用ルール改革をやるべきだ。
参考リンク
これは非常に良記事。大事なことが詰まっている。特に、ソニックガーデンの倉貫氏のお話が刺激になる。仮想オフィスでも“ザワザワ感”を可視化するというアプローチに感激した。そうそう、そういうことなんだよ、と。
以上。
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