withコロナをWhy-What-Howで考える
要旨
コロナ影響下の中で、事業継続に貢献することを求められる情シスが何を考え、何をなすべきかをまとめた。
その議論は誰目線?
情シス内でも「新しい働き方への提案」という謎テーマの議論が始まっているが、どうも話のゴールが見えない。議論しがちな論点は在宅勤務時の不満点の羅列。
従業員視点では、自身の仕事のパフォーマンスを出すために足りないもの(会社にあって自宅に無いもの)に意識が向かっているのだろうが、経営者の視点は違う。事業継続だ。
(私の組織では)情シス内での議論のゴールは経営者への提言であることがわかっており、経営者の視点で物事を見極める必要がある。
経営者は何を見るか?
事業継続。どのような状況下であっても、業績が落ちない。生産性が落ちない。
経営者「働き方を多様化させるのは賛同。でも、固定費は増えないようにしてね?追加で投資が必要になる部分があるなら、生産性も同時に上げてよね?」ということだろうか。
「固定費は増えないように」というのは、例えば、出社率の低いビルの設備のネットワークの契約を絞るとか、ビルの面積を減らして賃料そのものを減らすとか。その分を、ネットワーク越しに散らばった環境からインターネットアクセスするための固定費にあてるとか。そうやって、リソースの再配分を考える必要がある。
「生産性も同時に上げてよね?」これ、難易度が高い。でも、これからの時代、それをやるしかない。時代が大きく変化している。
少なくとも「会社が従業員に自宅仕事用に机と椅子を買ってあげれば良い」という「足りない何かを足せば済む」という単純な話ではない。
従業員が離れていても「今までどおり仕事ができる」ではなく、
「今まで以上に生産性が上がる」ことを経営者は期待しているし、そういうビジョンを元に投資をし、実行していこうと考えているだろう。
Why-What-Howを整理する
まだまだ思案中だが、以下の3つが「ビジョン(あるべき姿)」と「そのために何をするか」の一例として考えている。ビジョンは3点とも共通。
【テーマ1】コミュニケーション/情報共有
Why:あるべき姿
緊急事態下(働き方が多様化)においても、事業継続できる。業績が落ちない。生産性が落ちない。
What:そのために何をするか
コミュニケーション、情報共有が円滑に行える。
How:どのような手段でWhatを実現するか
(1)端末
(2)ネットワーク
(3)アプリ(クラウド含む)
(4)運用(人のスキル)
(5)アナログ情報をデジタルで補完する
特記事項:
(1)~(3)はインフラと呼ばれているものをイメージしており、対象者に配布しインフラとしてのパフォーマンスが適切に出せることがゴールになる。(4)は運用設計とそれを必要な人に浸透させることがゴールであり難易度が高い。(5)はリモート会議が中心になっていく時に、身体性をデジタルにどうのせるかという話であり、未知の領域である。こちらも難易度が高い。
(事例)Microsoft Teams、疲れず・反応しやすいビデオ会議「Together mode」 - Impress Watch
【テーマ2】情報へのアクセスのしやすさ
Why:あるべき姿
緊急事態下(働き方が多様化)においても、事業継続できる。業績が落ちない。生産性が落ちない。
What:そのために何をするか
・セキュリティを担保しながら情報へアクセスしやすくする
・インターネットを直接使えるようにする
(これからはインターネットで仕事ができるようにする)
How:どのような手段でWhatを実現するか
(1)端末
(2)ネットワーク
(3)アプリ(クラウド含む)
(4)運用(人のスキル)
(5)情報を守るための新しいアーキテクチャへのシフト
特記事項:
(5)は、例えば、社内のオンプレサーバでファイルを共有している状態から、Microsoft 365上にマイグレーションすることで、そこにある情報をインターネットからアクセスできるようになる。当然、セキュリティを担保することが前提である。
【テーマ3】オフィス空間
Why:あるべき姿
緊急事態下(働き方が多様化)においても、事業継続できる。業績が落ちない。生産性が落ちない。
What:オフィス空間は「集中して作業する場」と「コミュニケーションする場」に再定義する。オフィスが「会社の敷地内のどこか」ではなくなる。
How:どのような手段でWhatを実現するか
(1)端末
(2)ネットワーク
(3)アプリ(クラウド含む)
(4)運用(人のスキル)
(5)リモート作業時における什器、オフィス機器の拡充
(6)コミュニケーションする場の拡充
特記事項:
(5)は、例えば、社内のオンプレサーバでファイルを共有している状態から、Microsoft 365上にマイグレーションすることで、そこにある情報をインターネットからアクセスできるようになる。当然、セキュリティを担保することが前提である。
まとめ
何をなせば良いのかがあいまいで、全体をつかみにくい本件のようなテーマは、Why-What-Howの順に落とし込むのが良いと感じた。とくに経営層にHowを指定させるのではなく、情シス自らがWhyからHowを作り出し、推進していく姿勢が必要だと思う。今は、HowよりもWhyやWhatに頭を使い、情シスチーム内で意識を共有したい。
現時点で具体性のあるビジョンと提言をできている会社はここ最近の10年間内でテレワーク体制やそれに伴う社内改革にチャレンジし続けてきた会社。学ぶべきことが多く、そういう事例にふれることで刺激を受ける。最後に、目に止まった事例を2つ紹介する。
他社事例1
富士通が原則テレワークへ移行――、新常態の働き方「Work Life Shift」を推進 - クラウド Watch
富士通 執行役員常務 総務・人事本部長の平松浩樹氏は、「Work Life Shiftは、リアルとバーチャルの双方で、常につながっている多様な人材が、イノベーションを創出しつづける状態をつくることを目指す。働くということだけでなく、仕事と生活をトータルにシフトし、Well-beingを実現することをコンセプトにしたものであり、それを実現するために、固定的な場所や時間にはとらわれない働き方の実践と、社員一人一人の高い自律性と相互の信頼によって取り組んでいくことになる」と述べた。
他社事例2
【特集】わが社はこうやってテレワークしています【三井不動産編】 ~シェアオフィス「WORK STYLING」を活用。各種ツールで社内外連絡を円滑化 - PC Watch
同社が現在取り組んでいる長期経営方針「VISION 2025」では、「テクノロジを活用し、不動産業そのものをイノベーション」することを全社の重要施策に掲げ、ビルディング事業においては、「その先の、オフィスへ」を理念に、既成のオフィスビルの概念を超えた新たな付加価値を提案。社会的に働き方の多様化が求められているなか、誰もが自分のカラーを活かして働けるように、「COLORFUL WORK PROJECT」をスローガンとした取り組みも開始している。
以上。
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