【図解】農地転用許可制度について【青地・白地】
国内にある農地はなるべく良好な農業環境を保護することを目的として、農地以外のものへの転用に制限をかけています。
農地法では立地による基準を設け、なるべく生産性が低くて市街地に近い農地から転用され、大規模で優良な農地を一団として残していくように設計されています。
その農地の立地によりますが、許可を得、または届け出をすることによって農地以外の用途へと転用することができるようになっています。
農地転用は、農業上の土地利用のエリア分けをする農業振興地域制度と、個別の農地転用を規制する農地転用許可制度という2つの制度によって規制されています。
エリアごとに転用規制の強度が違ってきます。
■農業振興地域
市町村が将来的に農業上の利用を確保すべき土地として指定した区域のことで、農地転用は原則として禁止されています。
■農用地区域内の農地(青地)
市町村が定める農業振興整備計画において農用地区域とされた区域内の土地で、現況が農地のものを指します。
通称「青地」です。
10ha以上の集団的農用地、土地改良事業等の対象地、農用地の保全・利用のために必要な施設用地、地域の農業振興を図る観点から農用地区域に含める必要がある土地などを指します。
農用地区域からの除外申請をし許可されない限り、原則として農地転用は許可されません。
大変厳しい規制です。
■農用地区域外の農地(白地)
転用の可能性がある農地で、以下の通り4種類に分かれます。
農地法では、優良な農地がまとまって確保されるよう、市街地に近い農地や生産力が低い農地から転用されていくように基準を設けています。
■甲種農地
第1種農地に該当する農地のうち、市街化調整区域内にあり特に良好な営農条件を備えている農地です。
原則として転用は許可されません。
ただし、土地収用法26条の告示があった事業や公益性の高い事業への転用などは許可される場合があります。
■第1種農地
おおむね10ha以上の規模の一団の農地、土地改良事業の施工区域内の農地、近隣の標準的農地を超える生産をあげる農地を指します。
こちらも原則として転用は許可されません。
ただし、土地収用法対象事業等の公益性の高い事業への転用、農業関係施設への転用など一定の要件を満たせば許可される場合があります。
■第2種農地
市街地の区域内または市街地化の傾向が著しい区域に近接する区域、市街地化が見込まれる区域内にある農地を指します。
周辺のほかの土地では事業の目的が達せられない場合や農業用施設を建設する場合、公益性の高い事業を行う場合など内容によっては許可されます。
■第3種農地
市街地の区域内または市街化の傾向が著しい区域内の農地を指します。
こちらは原則として転用は許可されます。
■市街化区域内の農地転用は届出のみでOK
市街化区域内にある農地については農地法4条・5条の許可は不要となり、各市町村の農業委員会への届出のみで転用が可能です。
⇩⇩⇩市街化区域・市街化調整区域についてはこちら⇩⇩⇩
■その他の法令の許可が必要になる場合も
好き勝手に市街地化が進むのを防ぐため、都市計画法に基づく開発許可が必要な開発行為(宅地造成等)を行う場合は、都道府県知事の許可が必要とされています。
このように農地転用の許可を得ただけでは行えない行為もあります。
■最後に
以上のように、ほとんどの農地はその転用を制限されています。
かといって全く転用ができないわけでもありません。
用途や理由によって許可される場合もありますし、私もこれまで何度も転用される農地を見てきました。
ただ、実際の運用方法や判断基準については市町村ごとに微妙に違うこともありますので、自分で進めるのが難しい場合は行政書士へご相談ください。
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