美意識って何なの?経営でアート思考が必要なのか。
はじめに
最近アート思考にハマって、たくさん本を読んでみたり実践してみたりしているが、まだまだ奥が深く迷宮に入り込んでいる。。。今わかっている範囲で記載していく。アート思考を身に付けたい方、VUCA時代でもうまく経営したい方などの役に立てば嬉しい。
なぜ、アート思考(美意識)が必要?
3つの理由
①論理・理性は限界
②変化にルールが追い付いていない
③自己実現的消費(自分らしい生き方)へ
1つずつ説明していく。
「①論理・理性は限界」については、まず論理から導かれる答えは1つで、正解がコモディティ化していると言える。つまり、既にレッドオーシャンで論理では差別化できない。更に、VUCA時代に昔の方法論を適用させようとしても、昔ほど単純ではなく関係する要素が増えすぎて方法論も限界だということ。そこで、今の時代の風潮としては勝つためにスピードをあげて、掛かるコストを少なくしようとしている。つまり、みんなスピードをあげてコスト削減したら差別化はできない。もちろん、今スピードが遅い会社はまずはスピードを上げたり、アジャイルに取り組める文化醸成は必要だと思う。ただ、それだけで競争優位性を構築できるわけではない。スピードやアジャイルはあくまでベースを整えるだけで、その先を考える必要があると思う。そこに創造力や構想力がないと先を考えられず競争優位性はない。
「②変化にルールが追い付いていない」については、例えばドローンができてから様々な場所で使われ問題になってから、「小型無人機等飛行禁止法」という法律ができたことを思い出してほしい。先に変化した方に合わせるのではなく、後出しじゃんけんのように、後で法律でNGが出される可能性がある。しかし、変化が早く常に先を動いていく会社は、法律が決まるまで待っていることはできない。そこで、各会社の美意識が問われる。法律がないからグレーゾーンも何でもOKではなく、社会や人のために何が正しいのか?を自ら問いながら変化していく必要がある。
Googleでは「Don't be Evil(邪悪になるな)」というルールが存在したり、AI倫理委員会のようなものを設立していたり、自分たちで正しさを考えて動いている。
「③自己実現的消費(自分らしい生き方)へ」については、まずは「マズローの欲求五段階説」を見てほしい。ウクライナのように戦争がある地域では、生理的欲求や安全の欲求さえ満たされていない(早く終戦してくれることを願っている)が、日本は豊かになり、社会的→承認→自己実現欲求へと変わってきている。世界的にもだんだん豊かになり、自己実現欲求へと変わっている。そんな自己実現欲求を満たすには、感性を刺激するような自分らしい価値を提供する必要がある。そこに、果たして論理が貢献できるだろうか?
経営におけるアートとは?
経営で必要な要素は3つある。全てのバランスが重要だが、日本はサイエンス・クラフトを高く評価する傾向にあるそう。
・サイエンス(理論)
・クラフト(実行)
・アート(美意識、感性)
ここで、本当に経営にアート必要なの?と疑問に思う方がいると思うので、経営でアートのバランスも取れている会社の例を書く。
Apple
アート|スティーブ・ジョブズ
サイエンス|ジョン・スカリー
ソフトバンク
アート|孫正義
サイエンス|北尾孝(野村証券出身)
ウォルト・ディズニー
アート|ウォルト(弟)
サイエンス|ロイ(兄)
いかがだろうか。なんか必要そう!と思える企業ばかりではないだろうか。アートを重要視できない会社がたくさんあるのは、しょうがないことでもあるそう。なぜならば、アートvsサイエンスでは必ずサイエンスが勝ち、アートvsクラフトでも必ずクラフトが勝つ。アートは感性・美意識なので、説明ができない。「なんとなく美しいから」という理由では、分析結果や豊富な経験則を基に反論されたら、何も言えなくなる。そのため、全員に理解してもらうことは難しいだろう。なぜならば、アートとサイエンス・クラフトには大きくアカウンタビリティ(説明責任)に格差があるからだ。
感じたことはないだろうか。なぜ会社はすぐに数字を求めてくるのだろうか?実績があるかどうかを気にするのだろうか?当たり前になっているので疑問にも思っていなかったが、確かに違和感がある。変化が早く誰も答えが分からない時代に要素が多すぎて正確な数字を出すことはできない(もちろん数字で想定しておくことは大事)。更に競争優位性を狙うのであれば、事例があるものでは遅すぎる。失敗はNGだけど、イノベーションを起こせ!は矛盾している。それなのに、なぜそれを求められるのかというとサイエンス・クラフトで固めておくと、失敗したときの保険や言い訳に使えるため、日本はその傾向にあるそう。それはリーダーシップの放棄とも言えるし、本当に本人が「イケる!」と思っているか疑わしい。
「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」松浦静山
もちろんサイエンス・クラフトが不要なわけではなく、論理や理性を使っても分からない問題においてはアートで意思決定すべきだという話である。
アート・美意識を鍛えるには?
ずっと、どうすればアート思考ができる人になれるのだろうかと疑問だった。前回読んだアート思考の本では、まず美術展に行ってみた。
新たに追加で鍛えるための方法は下記3つ。
・哲学に親しむ
内容を見るのではなく、考えるに至った気付きや思考過程、世界や社会への向き合い方が重要だそう。哲学は疑いの歴史。前提や当たり前を疑い、問いを立てることに繋がりそう。
「すぐに役立つ知識はすぐに役立たなくなる」by小泉信三
・文学を読む
オウム真理教の人は偏差値が高いエリートだったが文学に親しんでいないそう。文学を読み誰の生き方に共鳴するか考えることが美意識向上に繋がるらしい。
・詩を読む
リーダーシップはコミュニケーションが重要で人を動機付け、1つのチームにして同じ方向を見させる必要がある。人の心を動かすのは言葉の力が重要。また、インプットをただアウトプットするだけではなく、噛み砕いて理解したり、疑問を持って解釈したりと、詩を読むことは知的活動のクオリティを上げることにも繋がるそう。
個人的に何に取り組むか宣言する。比較的、若いころは文学を読むのが好きだった。他に親しんでいないのが哲学と詩のため、まずは哲学を考えてみたり、詩を読んだり、詩を作ったりすることから始めてみようと思う。
終わりに
まだまだ分かっていないことも多いが、まずは動いてみようと思う。また、当書籍を読んで、社内に役割として存在しないがCDOになりたいと思った。そのために、これからも考え、動き、続けたい。
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