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霧島はるか
2024年2月6日 19:19
2「こんにちは、神父さん」私が声をかけると、神父さんは庭いじりの手を止めふりかえり、朗らかな笑みを浮かべた。もちろん、子供の私に悟られまいと気を遣ってくれているのだろうけど、それでも、普段と変わらない笑顔を浮かべてくれたことに、私は内心安堵のため息をこぼした。「こんにちは杏子(あんず)さん、学校お疲れ様です」言いながら、神父さんはむくっと立ち上がる。そうすると、私はたちまち彼の影に覆わ
2024年2月21日 23:40
あと少し。あと少し。あと少し。額にじっとりと汗が滲むのを感じながら、杏子は心の中で呟き続ける。放課後の学校。テスト期間中の校内は、ひっそりと静まり返っていた。そんな校舎の影にすっぽりと覆われた教員用の駐車場。まばらにとまった車の脇を、そろりそろりと、杏子が進む。息を止めているのももう限界だった。とにかくこれを片付けてしまわなければ。神経をとがらせ、一歩、また一歩と踏み締めるようにして歩み