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#日常

35ミリ

きっと誰でもいいのだろう
嘔吐しきれなかった憂鬱を
一緒に噛みしめてくれるのなら
きっと誰でもいいのだろう
優しく溢れる陰鬱を
一緒に舐めあってくれるのなら

苦し紛れで歩みを続けて
鋭く虚栄をまき散らす
さすような冷雨に似た黒髪
永久凍土のなれの果て
君と僕は同じだね
なんて言ったら怒るかな

どこ吹く風で歩みを続けて
漂う虚構に身を任せる
酔ったまなこで見つめる街は
いつか観た35ミリの淡い夢

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憂鬱キャラバン

高架下をくぐり抜け
フィルムの中にひとっ飛び
井の頭線はスタッカート
跳ねて響いて過ぎていく
池のほとりを過ぎてみて
水の香りの残る道
川沿い歩いて久我山へ
憂鬱振り切り逃げてみよう
現実振り切り逃げてみよう
ふかした煙が漂って
消えていくのはお空の彼方
逃げよう逃げよう目をつぶろう
耳をふさいで鼻をつまんで
でないと近道したくなる

逃走劇の結末の
終点意外と早かった
北に逃げると聞いたけれど

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