見出し画像

就職

愛農ポークの後脚のロースト。スネの部分がおいしい。繊維が入り組んでいで僕の健康な歯が噛むごとにいろんな音を楽しませてくれる。ゴリっ、とか、ミシっとか。また食べたい、もう食べたい。

1人の高校生を面接したときの話。父親は飲食店をやっている。家では酔っ払ってる姿しか見たことがない。ある日、人手が足りないとのことで皿洗いの手伝いに駆り出された。初めて仕事している父親は僕が知ってる父親ではなく、すごくカッコよかった。その後、跡を継ぎたいという思いが日増しに強くなり、継ぐなら父親を超えたいと思うようになり進路に悩んだ。中学3年生のときである。

父親には師匠がいる。その師匠から食べてみろと豚肉を出された。あまりにもおいしくて感動した。それが愛農ポークだった。師匠からいろいろ話を聞き、ここしかないと愛農高校を受験することにした。

3年生になった彼は今夏、サカエヤでアルバイトをした。アルバイトというより料理人の研修と同じように働いてもらった。

さすが愛農生。礼節を重んじる精神に、すぐにサカエヤに馴染んだ。即戦力として。こんな子が食に関わる仕事に就けば日本の未来もまんざらじゃないかもと思った。

その彼がサカエヤで就職したいと希望してきた。実際に働いて表ではなく裏を体験することで自分の道を決める。こういう若者が増えてほしい。

サカエヤには、優秀な大学生がたくさんアルバイトしています。あまりにも接客がすばらしいので、レストラン紹介しようかと言うと、すでに就職先が決まっていると。聞けば誰もが知ってるような大手企業ばかり。本人が行きたいのか親孝行なのか。とりあえず名のあるところに就職すればいいだろうということなのか。なんとももったいないと思うのは、その子達を見れば誰もがそう思うだろう。僕が学校経営者なら、教育からごっそり変えたいと思う。

僕は、飲食店にかなり寄った目線なので、大手でもいいじゃないか、その子たちの選択の自由でしょうというご意見もあろうかと思いますが、若者を見ると、この子、料理人になればいいのに、とか、サービスに向いてるのに、と、つい思ってしまうのです。

ありがとうございます!