「12人の怒れる男」
2022年10月某日鑑賞
「12人の怒れる男」
監督:ウイリアム・フリードキン
原作:レジナルド・ローズ
1997 アメリカ🇺🇸
1957年にシドニー・ルメット監督で撮られたものではなく、
DVD化されているのは1997年のもののよう。レンタルで観ました。
いま、頭の中が #沖縄 のことでいっぱいで、
返還前の沖縄の本を読んでいるのですが、
これの返却期限が迫っていて、
仕方なく観ましたら、
なんとも傑作!で、
まさに今観てよかった作品でした。
民主主義って、多数なら強行できる社会なのだっけ?
この密室の、蒸し暑くて居心地の悪い部屋の中の時間を一緒に過ごした気持ちになりながら、
ハラハラと、切実に、この個性ある12人の紳士(?)達の議論の行方を見守りました。
被告の若者は父親を刺し殺したのか。
陪審員は12人、
有罪11人、無罪1人。
その圧倒的多数と1人とで始まる議論、
それがジワジワと、さざなみのように、時には竜巻きの様に、
彼らの意見が変化して行きます。
12人はアメリカらしく、
肌の色もルーツも様々に見えるし、
職業、社会的地位も年齢も様々。
被告人は貧しい地域に住む、
「育ちの悪いガキ」
彼が有罪だと思う理由をそれぞれが主張してゆくのだけど、
陪審員達の意見を聞くうちに、
それは被告人そのものの存在ではなく、
「アンコンシャス・バイアス」(無意識の思い込みや偏見)
によるものや、
個人的な苦い経験や価値観と紐づけて、
そのほこさきを「被告人」に投影していたり、
中には「早く終わらせてメジャーリーグを観に行きたい」
とか、
仕事の続きをしなきゃとか、で、
「絶対あいつが殺したやろ」
って最初みんなが感覚的に思ってるっていう、
「一般人が裁くのこええ!」っていう状況。
そしてみんなイライラしてる。
とにかく蒸し暑い部屋でクーラーも壊れているのに、
男が12人もギュウギュウにいるだけで早く出たくなりそうな画面だw
でも粘り強く、
1人の若者の人生、命がかかっているのだという理由で、
話し合おうと言い続ける人がいる。
それを侃侃諤諤、
はじめはみながその意見の違う1人を激しく否定し、
嘲笑い、議論継続を拒み、論破して終わらせようとする様が、
残念ながら最近すごく見ているような既視感なのだけど🥲
アメリカ人て議論ができる人々と思ったら大間違い、
自分のカチコチの主張で弱きものを叩き潰そうとするクソジジイめ!
と思いながら観る…
そして…
(そういうカチコチの奴が何人もいるのだけど)
みどころは彼らが自分の変化に気付いてからのそれぞれの姿だ。
誰でも自分の過ちや変化を受け入れるのは難しく、
恥をかくような気がするし、
主張を曲げることはアイデンティティの危機とも感じて怖いものだ。
自分の理論が崩壊している事に気付いても、
それを覆せない男達の苦しさに、
それぞれの背景が見えてくる。
12人の意見が一致しなければ評決にならない。
最終的にどうなるかは、
書いちゃったら台無しだから書きませんけどw
でもこの短い時間に一人一人の人間像がすごく立体的に浮かび上がって、
俳優も演出も脚本も本当に見事!
そして、どんな生まれ育ちで、
どんな宗教や教育によって知識と信念を持つ人であっても
諍いを越えて次なる道を見つけることが出来る可能性を見せてもらった気がしました。
これ舞台でも観れたら凄いな!
実際に舞台化も多いよう。
#ショーマストゴーオン幕を下ろすな が最高だった #東京サンシャインボーイズ #三谷幸喜 が、
お得意の #シチュエーションコメディ としてこれをリメイクした
#12人の優しい日本人
(1991年当時日本には裁判員制度はまだなく、
「もし日本に陪審員制度があったら」で作られた)
これも昔に観て面白かった記憶があったので一緒に借りたので、
これの後続けて観たのですが、
疲れのせいか、途中で寝ちゃって🤣
また後で見返します。
いやぁ日本人優し過ぎて、
議論出来なすぎて、
っつうか意見も責任も持つの嫌い過ぎて!
本家観た後じゃ流石に寝るわ!
と思っちゃうけど、
三谷幸喜のはコメディとして
またこれが日本人だったらという盛大なアイロニーとして楽しもう。
また書けたらレビュー書きます🤣
弱者を切り捨てる社会と、
弱者の小さな声の理由を、背景を想像する社会、
忙しく流れてゆくそれぞれの人生の中で、
声の小さなものを踏みつけて歩いていないか、
私自身に向けて問いたい。
命を尊ぶ人を
嘲笑う、という地獄。
自分の弱さと無知を認め、
頭が悪くても出来る範囲で学びたいし、
変化を受け入れられる人間になりたい。
もう中年でも。
この映画でも老人も変化してた。
いつだって学んで考え直すのは可能だってことだと思う。
#12人の怒れる男
#ウイリアムフリードキン
#レジナルドローズ
#映画 #Movie #映画記録 #映画鑑賞
#民主主義 #議論 #ディベート #ディスカッション
束縛があるからこそ、私は飛べるのだ。
悲しみがあるからこそ、私は高く舞い上がれるのだ。
逆境があるからこそ、私は走れるのだ。
涙があるからこそ、私は前に進めるのだ。
[マハトマ・ガンディー]
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