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好奇心の芽を育てるための旅行

6月18日〜21日、スイスのバーゼルまで旅行してきました。目的は初めてのスイス、そしてアートバーゼル。イベントの存在を知ったのが6月頭だったので行くか悩みもしたのですが、折角のヨーロッパ在住ということで、急遽行くことに。

私の住むロンドンからバーゼルまでは、飛行機で片道2時間弱の直行便で行くことができます。日本から行くことと比べたらとっても気軽。
されど、物価が高いで有名なスイスに、こんなに思いつきで飛び立って良いのかな〜と行く前は悩みました。プライベートな旅行にまとまったお金と時間を使うことへの怖さが自分の中にあることを認めて、許して、別の考え方に改める必要があるとはずっと思っていました。

夫と祖母に電話でそのことを相談してみると、2人とも「せっかくなんだし、行って来なよ」と背中を押してくれる。家族がだれも「学生なんだから、お金の無駄遣いはやめておいたら?」みたいなことを言ってこないのがちょっと意外でした。

祖母に相談したとき、彼女は「あのね、お金と時間と体力の3つがそろわないと旅はできないのよ。おばあちゃんは、お金も時間もあるけど体力がなくなっちゃったから、もうヨーロッパへは行けない。だけど、あれだけ沢山ヨーロッパに行ったからもう満足しているの。スイスまでたった2時間で行けるんでしょう。なら、お金も時間も体力もある時に、沢山見ておきなさい。」とキッパリ言ってくれました。

私と父方の祖母とは年齢も60歳くらい離れていて、祖母は戦時中の日本を知っているものの、生まれた時からずっとお嬢様・お金に困ったことのない人生なので考え方がとにかく「豊か」。
対する私は、その祖母とは血を分けていない母親からの質実剛健であるべき美徳を教え込まれて育ったので、私の物欲は「わがまま」として教えられることも多くありました。

そんな風にそれぞれ違った価値観を持った家族の姿を見てきたうえで、改めて大人になって自分なりの豊かさを再定義していくなかで、私が変化してきた印として、祖母の言葉が初めて心に響きました。

豊かでいる覚悟があるか。
その精神性を持ち合わせることが豊かになるための一番の条件のように感じます。

そういうと「いや、そりゃお金持ちになれるんだったらなりたいに決まってるじゃん!」というツッコミが入ってしまいそうですが、私が思う豊かさへの覚悟とは、「金持ち」という一言で片付くものではありません。相応のお金を受け取る対価に値する「自己価値」を見つける力、認める力、すなわち人間力のようなものです。自分という存在に疑いを持たない心を育ててはじめて、豊かになるための準備が整うのだと思います。

私の祖母は産まれた頃からずっと豊かさを享受してきたからこそ、当たり前のようにそれが出来る人。そして私は、今後天的にそれを習得しようとしている人で、私が変化したから祖母の言葉に重さを感じとることができました。

アートのフィールドではない私がスイスで何を学べるんだろう?ということも判断に迷うメインの理由だったのですが、旅行してみて思ったのは、自分の好奇心の芽が育てられるならなんでもいいってこと。

好奇心をどんどん膨らませなさい。
そして、自分の感性をどこまでも信じてあげなさい。

このふたつが、今回の旅で得た新しいスローガンです。

ロンドンに最初に住み始めてから3年半が経とうとしているのですが、この街や出会った人たちのおかげで、私は私でいることを心から楽しめるようになったことに気が付きました。

「誰みたいになれたら正解なんだろう?」
「自分は他の人と、他のデザイナーと比べてどのくらいちゃんと出来てるだろう?」
などと常に相対的な評価でがんじがらめになっていた心が、気付いたら自由になっていたこと。

そして、まだまだ自由になれると感じること。

そういうエネルギーでここから先デザインと向き合っていく人生って益々たのしそうです。自分自身とパートナーとしてもっと信頼関係を築くために旅をしたり、自然やアートに触れたりしていきたい。

アートバーゼル、バーゼル市内の美術館もとても刺激的だったので、それはまた次の記事に書きたいと思います✍🏼

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