見出し画像

Red Pill or Blue Pill

「これは最後のチャンスだ。先に進めば、もう戻れない。青い薬を飲めば、お話は終わる。次の瞬間、君はベッドで目を覚まし、いつも通りの生活に戻ることができる。あとは、好きなようにすればいい。赤い薬を飲めば、君は不思議の国にとどまることになる。このウサギの穴がどこまで深いのかを私が見せてあげよう!」

上記は、映画マトリックスに出てくる名シーンの一つ。

主人公のネオがまさにマトリックスの世界にリクルートされる際に、最後の選択とともに2つの錠剤を差し出されモーフィアスに詰められるシーンで出てくるセリフがこれです。

そもそも「転職って、そこまで大袈裟なこと?」と言いたいのはよく分かりますが、そうかどうかは一旦置いて、私は面接の際いつもこのシーンを思い出します。特にキャリアの中途採用となると、尚更です。

先日、当社で内定承諾を決めたキャリア採用者から1通のメールが届き、急遽夜に会いに出向いてきました。休暇日の土曜の夜ということもあり、本人は恐縮している様子でしたが、私からすればよくあることです。

自分も転職経験者でありかつ、同じような経験をしたことから、いま彼に何が起きているのかは手に取るように分かります。

転職を決めてきた人たちの心理状態は、まさにどっちの選択が正しいのか?一瞬本当に訳がわからなくなり、もう一度自分の選択は正しいということを確認しにいきたくなるというのが、そのほとんどであったりします。そんな際、モーフィアス的な凄みを利かせて「Red Pill? or Blue Pill?」と問うのかというと、もちろんそんなことはしません笑

実際のリクルートのシーンにおいては、このやり取りは意外に大事な作業の一つであると思って見ています。これがあって、もう一段山を越えてくると、そこからは本当の決心のときがきて安定期に入り今度は確実に山を登り詰めたと実感することができるようになってくる採用者と面接者の共同の作業となってくるからです。

さて、そんな際、私は面接者とどのようにして向き合うのか?というと、やっていることは至ってシンプルなことだったりします。とにかく、話をよく聞くということです。

そして最後に言うことも、だいたい同じことを話をするのも定番だったりします。それは「その恐れと不安といまは一緒にいるときだ」ということを教え込みます。

自分が不安定な精神状態にある。将来のことが不安だということを再認識させるのがこの作業です。ここで更に追い込んだり、余計に考える問いを投げかけたりなどは禁物です。ただ一緒にその時を過ごす。これがとても大事な作業となり、二人にとってとても大事な信頼関係を築く時間と変わっていきます。

と、ここまでで、何がいいたいのかをまとめると、不安であることはけして悪い状態ではないということです。むしろ、不安がない状態で物事が進んでいるときの方が、なにかおかしいと感じるときなのではないか?と考えるべきなのかもしれません。

転職者でいま不安の中にいる人にとって、何か少しでも参考になるお話であれば幸いです。





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?