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小説感想

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#海外文学

アル中探偵が主人公のハードボイルド「八百万の死にざま」は、社会の中で自己規範をいかに守るかを教えてくれた小説だった。

 先日「八百万の死にざま」を久しぶりに読み返した。これも自分が影響を受けたものに確実に入る小説だ。

「八百万の死にざま」は、アルコール中毒に苦しむ探偵マット・スカダーがキムというコールガールから「足を洗いたいから、ヒモ(売春の元締め)と話をつけて欲しい」と依頼されるところから話が始まる。
 スカダーはヒモであるチャンスと話をつけ、キムに「話はついたから君は自由だ。もう心配しなくていい」と伝える。

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翻訳作品における訳者同士の解釈違いの面白さについて。

翻訳作品における訳者同士の解釈違いの面白さについて。

 先日、五年前に書いた記事がハテブにホッテントリ入りした。
「蠅の王」に興味を持った人が、X(旧Twitter)で紹介してくれたのがきっかけのようだ(ありがとうございます!)
 記事を読んでくれたことをきっかけに、「読んでみようかな」「新訳が出たの知らんかった。久し振りに読んでみるか」という人が少しでもいてくれたら嬉しい。
 「蠅の王」は、自分が影響を受けた小説10冊に入る本で、これまでも隙あらば

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