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御代替わりの儀式──践祚、大嘗祭そして改元まで

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平成の御代替わりでの議論は徹頭徹尾、政教分離がテーマでした。そして令和の御代替わりもまたしかりでした。天皇がなさる儀礼には宗教性があるということなのですが、それは如何なるものなの…
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#改元

「昭和天皇の忠臣」が語る「昭和の終わり」の不備──永田忠興元掌典補に聞く(「文藝春秋」2012年2月号)

「昭和天皇の忠臣」が語る「昭和の終わり」の不備──永田忠興元掌典補に聞く(「文藝春秋」2012年2月号)

 昭和から平成への御代替(みよが)わりから20年あまりが過ぎた。今上陛下は78歳(当時)。推古天皇以後では、江戸期の霊元天皇と並ぶ、歴代第4位の御長寿となられた。歴代天皇は若くして退位されており、75歳を超えてなお皇位に就かれているのは、昭和天皇と今上天皇以外にはない。

 陛下はまだまだお元気だが、ご高齢なうえにガンを患われ、療養中だ。15年には前立腺ガンの手術をお受けになり、20年には不整脈を

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所功先生、いまさらの「政府批判」の真意──もしかして矛先は男系男子継承維持派に向けられている(2018年9月24日)

所功先生、いまさらの「政府批判」の真意──もしかして矛先は男系男子継承維持派に向けられている(2018年9月24日)

(画像は新元号を発表する菅官房長官。官邸HPから拝借しました。ありがとうございます)

 新元号論議について、書きます。

 報道によると、9月22日、京都の大学を会場に開かれた、元号がテーマの公開シンポジウムで、敬愛する所功京産大名誉教授が、新元号の事前公表について「ルール違反」と指摘したとされます。先生が政府を批判されるとは、驚き桃の木です。

 記事によると、所先生の指摘は以下の通りです。

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5つの「改元日」。プラスとマイナス──日本だけの無形文化財を後世にどう伝えるべきか(2018年9月30日)

5つの「改元日」。プラスとマイナス──日本だけの無形文化財を後世にどう伝えるべきか(2018年9月30日)

▽1 「二重権威」問題が避けられない政府の事前公表案

 政府は、来年5月1日に皇太子殿下が践祚(皇位継承)されるのと同時に改元するため具体的な準備を進めています。行政機関の情報システム改修には1か月を要するとされ、1か月前の4月1日に新元号を公表することを菅官房長官が会見で明らかにしたのは今年の5月でした。

 当初の予定では新元号の公表は今年夏とされていました。けれどもこれだと今上陛下と皇位を

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「皇室の伝統」は国民主権主義と対立するのか──朝日新聞の「新元号」関連企画を読む(2019年4月21日)

「皇室の伝統」は国民主権主義と対立するのか──朝日新聞の「新元号」関連企画を読む(2019年4月21日)

5年前の今日、午前0時をもって、皇位の継承が行われました。元号は平成から令和へと改まりました。本来はお祝いの日なのに、混乱した議論ばかりが続き、なんとも暗い気分に苛まされたことを思い出します。
ここに1本の拙文を転載し、2度とあってはならないと肝に銘ずる次第です。(令和6年5月1日)

▽1 いまごろ決まった「賢所の儀」

 先週15日の月曜日、宮内庁で第6回大礼委員会が開かれ、践祚の式(賢所の儀

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