金利が0%に近づき資本主義は終わりを迎える-『資本主義の終焉と歴史の危機 水野和夫著』

Polis読書会2021年10月17日読書会
課題図書『資本主義の終焉と歴史の危機 水野和夫著』

参加費無料 参加申し込みは下記より。 ​
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1:08~  金利の意味、金利0%の意味
3:25~  16世紀イタリアの金利革命
7:48~  19世紀~現代までの先進国による資本主義の延命
11:43~ 資本主義の弊害
14:26~ 本当にフロンティアがなくなったのか?
15:52~ 将来の社会は集積から分散、保有から共有、生産から活用へ


本書は資本主義が終わりに近づき、近い将来に政治・経済システムが革命的に変動することを示唆している。

金利は資本利潤率を表す。資本利潤率とは資本をビジネスに投資するとどの程度のリターンが得られるを表し、資金需要に比例する。

ところが現代は先進国では金利が0%に近づき、特に日本と欧州ではマイナス金利になっている。これは、既に国土が十分に開発されており、資金の有益な投資先がないことを示している。

金利の低下は先進国だけなく、新興国でも金利低下がみられる。このままでは、近い将来に世界中で金利が0%に近づき、資本の蓄積をドグマとする資本主義が終焉に向かうことを示唆している。

歴史を見ると、16世紀のイタリアでも金利が2%を割り込んだ時がある。当時の経済活動は地中海沿岸が中心であり、この地域が十分に開発され『山の頂上までワインのブドウ畑が広がっている』状態だったという。

このため、資金需要が落ち込み、人々は新たな投資先を求めて、新大陸、アジアへフロンティアを探し求めていった。その過程で、荘園制の崩壊、資本主義の発達、教会の権威の失墜と既存の価値観の崩壊、社会・経済システムの大転換が起こった。

翻って現代を見てみると、既に地球上にフロンティアがない。しかし、先進国では資本主義を継続させようと必死の努力が見られる。後進国からの資源搾取、グローバリゼーションによる電子・金融空間への資本蓄積、中央銀行による紙幣印刷など、先進国では資本主義の維持のために全力を尽くしてきたが、金利は0%近辺に張り付き、万策尽きた感がある。

先進国内でも上記の副作用ともいえる格差の拡大による国の分断、社会不安、さらには幸福感の低下がみられる。このような状況で本当に資本主義を維持する必要があるのだろうか?

16世紀と現代を比較して、資本主義の終焉について議論をした本書を解説する。

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