読書会を開催しているサイトウ

沖縄県読谷村に移住して、仲間たちと知識労働をしています。 既存の資本主義を抜け出して『…

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沖縄県読谷村に移住して、仲間たちと知識労働をしています。 既存の資本主義を抜け出して『集積ではなく分散、所有ではなく共有、生産ではなく活用』の社会が良いと考えています。 月に1回読書会を開催していますので、もしよければ参加をどうぞ。

最近の記事

カンボジア 政府レポート 2022年の国内消費電力の電源構成比と2023年予測

2023年1月にカンボジアのMinitsry of Mines and Energyから2022年の国内電力事情に関するレポートが発行された。こちらの記事では2022年のカンボジア国内の再生可能エネルギーを含めた電源構成比と消費電力量、2023年のそれらの予測を抜粋して紹介する。今回、参照したレポートは下記からダウンロード可能。 Salient Feature of Power Development in the Kingdom of Cambodia Until Dec

    • 宗教改革から見る自由からの逃走『参加する読書会 第3章 自由からの逃走 エーリッヒ・フロム著 』

      中世ヨーロッパが人々を孤独に導いた社会的背景フロムは現代の社会学的様相を観察する際に、15世紀、16世紀のヨーロッパが様々な類似点があるということで考察している。 中世ヨーロッパについて、宗教改革の前を封建制度の時代、その後を資本主義が発達した近代と区分すると理解がしやすい。もちろん、これらの経済制度の移り変わりは漸移的であり、場所によっても移り変わる時期にむらがある。 この時の社会の移り変わりを、フロムは先の章で述べた幼児が母親との『第一次的絆』から解放され、自立した存

      • 人はなぜ、自分から自由を投げ捨てるの?『第1-2章 要約 自由からの逃走 エーリッヒ・フロム著 』

        ●第一章 自由-心理学的問題か?エーリッヒフロムがこの本を書いた背景、フロムの問題意識について考えていきます。 『自由』という言葉がキーワードです。 近代ヨーロッパや近代アメリカでは『自由』こそが最も重要な価値観の一つであり、その価値観のために人々が血みどろの戦いをしてきました。絶対王政支配からの解放、教会による価値観支配からの解放、アメリカ独立戦争による宗主国からの解放など、個人が自分で選択する自由を得るために市民は活動してきました。 しかし、この自由を求めていく流れ

        • 21 Lessons ハラリ著 第Ⅲ部 絶望と希望 要約

          第10章 テロ、第11章 戦争『パニックを起こすな、冷静になれ』 クラウゼヴィッツによると、『戦争とは国家の政治目的を達成するための手段』です。この定義に従うのであれば、現在は旧来の戦火を交えた戦争は起こりづらいと考えられます。なぜなら、そこから得るものがないからです。今日の国際政治による他国との競争とは、要はポジション取りに他なりません。自国が相手国よりも優位なポジションを取るために、日夜政治家や官僚が汗水を流している(と信じたい)。そして、今日におけるポジションの優劣は

        カンボジア 政府レポート 2022年の国内消費電力の電源構成比と2023年予測

          21 Lessons ハラリ著 第Ⅱ部 政治面の課題 要約

          こちらは月曜日~金曜日まで開催しているライブ読書会で読む箇所の内容を整理するために作成をした個人的なメモになります。記事タイトルの本の理解の助けになれば幸いです。 ライブ読書会は本を用意してYoutubeライブに接続すれば、誰でも気軽に参加することができます。みんなで本を読むために本の内容について理解が深まり、さらには読書の習慣まで身について行きます。詳細については記事の最後をご参照ください。 ・第5章 コミュニティ私たちは人間的な孤独に耐えられません、しかし、何かしらの

          21 Lessons ハラリ著 第Ⅱ部 政治面の課題 要約

          ”自由を得たいという内的な欲望のほかに、おそらく服従を求める本能的な欲求がありはしないだろうか?” E・フロム

          【フロム著 自由からの逃走】P13 ”自由を得たいという内的な欲望のほかに、おそらく服従を求める本能的な欲求がありはしないだろうか?” この命題に対して、私はあると思う。 なぜなら決断を下すことは不安であり、孤独を感じる行為だからである。 『自由』とは本質的に無数の選択肢を与えられ、その中から常に自分の行動を決定することを強いられる状態である。自由の度合いが大きくなればなるほど選択肢が与えられる。言い換えると、自分にとって最適な選択肢を選ぶ機会が与えられる。 上記の状態に

          ”自由を得たいという内的な欲望のほかに、おそらく服従を求める本能的な欲求がありはしないだろうか?” E・フロム

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          金利が0%に近づき資本主義は終わりを迎える-『資本主義の終焉と歴史の危機 水野和夫著』

          Polis読書会2021年10月17日読書会 課題図書『資本主義の終焉と歴史の危機 水野和夫著』 参加費無料 参加申し込みは下記より。 ​ https://pro.form-mailer.jp/fms/4641702d235478 1:08~  金利の意味、金利0%の意味 3:25~  16世紀イタリアの金利革命 7:48~  19世紀~現代までの先進国による資本主義の延命 11:43~ 資本主義の弊害 14:26~ 本当にフロンティアがなくなったのか? 15:52~ 将来の社会は集積から分散、保有から共有、生産から活用へ 本書は資本主義が終わりに近づき、近い将来に政治・経済システムが革命的に変動することを示唆している。 金利は資本利潤率を表す。資本利潤率とは資本をビジネスに投資するとどの程度のリターンが得られるを表し、資金需要に比例する。 ところが現代は先進国では金利が0%に近づき、特に日本と欧州ではマイナス金利になっている。これは、既に国土が十分に開発されており、資金の有益な投資先がないことを示している。 金利の低下は先進国だけなく、新興国でも金利低下がみられる。このままでは、近い将来に世界中で金利が0%に近づき、資本の蓄積をドグマとする資本主義が終焉に向かうことを示唆している。 歴史を見ると、16世紀のイタリアでも金利が2%を割り込んだ時がある。当時の経済活動は地中海沿岸が中心であり、この地域が十分に開発され『山の頂上までワインのブドウ畑が広がっている』状態だったという。 このため、資金需要が落ち込み、人々は新たな投資先を求めて、新大陸、アジアへフロンティアを探し求めていった。その過程で、荘園制の崩壊、資本主義の発達、教会の権威の失墜と既存の価値観の崩壊、社会・経済システムの大転換が起こった。 翻って現代を見てみると、既に地球上にフロンティアがない。しかし、先進国では資本主義を継続させようと必死の努力が見られる。後進国からの資源搾取、グローバリゼーションによる電子・金融空間への資本蓄積、中央銀行による紙幣印刷など、先進国では資本主義の維持のために全力を尽くしてきたが、金利は0%近辺に張り付き、万策尽きた感がある。 先進国内でも上記の副作用ともいえる格差の拡大による国の分断、社会不安、さらには幸福感の低下がみられる。このような状況で本当に資本主義を維持する必要があるのだろうか? 16世紀と現代を比較して、資本主義の終焉について議論をした本書を解説する。

          金利が0%に近づき資本主義は終わりを迎える-『資本主義の終焉と歴史の危機 水野和夫著』

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          読書会記録:P・F・ドラッカー『イノベーションと企業家精神』第1部

          日時:2021年8月29日 10時~11時 P・F・ドラッカー『イノベーションと企業家精神』第1部 参加者2名:サイトウ+1名 ●10:00~10:20:効率的に読書を行うための方法 ここでは割愛。 10:20~10:30:本書の内容について説明・本書を読むうえでの解説著者であるドラッカーについて解説 ドラッカーは『物事には必ず方法論が存在する』と信じているように見える。彼の代表作である『マネジメント』では、目標達成のために最適な手段として組織があり、その管理運営とし

          読書会記録:P・F・ドラッカー『イノベーションと企業家精神』第1部

          効率的な読書を行うための方法(効率的な学習にも適用可能)

          こんにちは、サイトウです。 今週末から社内で研修会を行うことになりました。 自分の会社は現在、年商2億円程度で社員数も10人に満たない会社です。会社組織は簡素なもので、創業者の2人が経営者兼業務リーダーとして業務を行い、残りの社員が実務を行うというもので、個人事業主の延長といった感じです。 しかし、将来的には会社規模を拡大するためには、マネジメントを実行できる組織を整える必要があります。 マネジメントを行うためには、マネジメントチーム(以下”経営層”)が自分の担当する業

          効率的な読書を行うための方法(効率的な学習にも適用可能)

          W.シュトレーク 『時間稼ぎの資本主義』を理解する際に役立つかもしれないメモ

          なぜ、政府は国民のために税金を使わないのか? なぜ、格差が拡がっているのか? なぜ、銀行の連中は給料が高いのか? これらについて、理解を助ける一冊なのがW.シュトレークの『時間稼ぎの民主主義』である。 世界を覆う3つの危機2021年現在、世界のどこかで必ず『経済危機、銀行危機、国家債務危機』のどれかが報道されているように感じる。 特に本書が上梓された2012年当時は、ユーロ危機、ドイツ銀行の破綻危機、イタリアやギリシャの国債のデフォルト等、様々な問題があった。最近の日本

          W.シュトレーク 『時間稼ぎの資本主義』を理解する際に役立つかもしれないメモ

          民主主義 vs 資本主義の勝者は?‐『W.シュトレーク、時間稼ぎの資本主義』

          ●現在、世界中の大部分で採用されている政治経済体制は『民主主義的資本主義』である。本来であれば、民主主義と資本主義は緊張関係にある。なぜなら、民主主義が優勢な環境では資本主義の資本家は少数であり、市民が大部分を占める。 このため、市民側が選んだ為政者により資本家の規制、資本の再配分を強制される恐れがあり、資本側にとって安心できない。一方、資本主義が優勢な環境では、資本家が利潤を最大化するために、あらゆるコストを削減する。このコストには環境を保全する費用、労働者(市民側)の賃

          民主主義 vs 資本主義の勝者は?‐『W.シュトレーク、時間稼ぎの資本主義』

          政治と経済から読み解く平成時代-令和時代の予測

          こんにちは、読谷村の隠遁者サイトウです。 元号が平成から令和に移行する際に、『令和時代はこうなる!』という予測記事が量産されました。人は先が見えないと心細く、行き先を照らす明りが必要なのでしょう。もちろん、私も令和以降の未来予測記事を多く読みました。 しかし、新型コロナウィルスの感染拡大が起こり、いきなり大部分の令和時代の予測記事が外れたような印象を受けます。ただし、知識層の中の幾人かは『21世紀は感染症の時代になるだろう』と予測をしていました。 2004年の中国南部の

          政治と経済から読み解く平成時代-令和時代の予測

          日本はこれ以上ガンバって働かなくていい - 経済指標『金利』から読み解く

          『成長戦略』という言葉をニュースでよく聞くと思います。 少なくとも日本の場合では『成長戦略』というと、今日より明日、今年よりも来年、我々よりも子供、孫の世代は『経済』を成長させるという文脈で使われますね。日本政府でも成長戦略会議なるものが開催されていて、内閣官房のウェブサイトでも成長戦略会議が2週間に一度行われていて、日本政府は経済成長に大きな関心があることがわかります。 世界各国も毎年『GDP成長率』なるものを発表して、自分たちの頑張り具合を経済成長率として発表していま

          日本はこれ以上ガンバって働かなくていい - 経済指標『金利』から読み解く

          オリンピック敗戦から始めよう

          2021年8月9日、東京オリンピック2020の閉会翌日。今回の東京オリンピックは様々な面で話題となる大会だった。 オリンピック開催までにIOCへの会場環境の虚偽報告、会場の招致に係る贈賄容疑、競技選手たちへの配慮を欠いた会場・選手村の品質、史上最高額の大会費用、大会会場の建設に係る利権のばらまき、JOC幹部大会関係者のオリンピック精神の欠片もない人種差別、女性蔑視発言などなど、不正と差別と嘘のオンパレード。あるコメンテーターによれば、今回のオリンピックは『差別の祭典』だとい

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          自分の言葉で語ることは重要だと思う

          私自身が、自分を内省して、どこかで聞いたことのある誰かの言葉ではない、自分自身が重要だと思うことは『自分の言葉で語り、自分の行動を納得したうえで行う』ということである。

          自分の言葉で語ることは重要だと思う