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苦手なものを克服するには

先日、友人と電話でお話しした際にこんな話題があがりました。

苦手なものを克服するにはどうしたらいいか?

発端は猫目が発した唐突なセリフ。

「ナメクジが苦手過ぎるのだけれど、どうしたらいいと思う?」


なぜこれを訊いたのか。猫目にもよくわかりませんが、ひとつは最近になって農業に強い関心を持ったという点があげられます。農業といっても全くの素人もいいところなのですが、それでも、土が大切という認識だけはありました。

いい土を探す。見つける。
健康な土をつくる。キープする。

土に触れる。

そう、すべての作物は土からはじまります。そこで自然と土に触れる自分の姿が脳裏に浮かびあがってきました。

土に触れる。

ということは
ひょっとすると

ナメクジもいるのではないか?
土からナメクジが出てくるのではないか?
出くわしてしまうのではないか?

そんな恐怖に背中がゾクゾクしました。そして事実、ひょっとするともなにもなく、農作業をしているとけっこうな確率でナメクジに遭遇することが発覚しました(Google調べ)。

土というより野菜などの葉っぱについているほうが多いみたいですが、とにもかくにもナメクジと、こんにちは状態になるということです。

ふう(いったん深呼吸して落ち着きます)。

ところで
皆さんは苦手なもの、ありますか?

黒光りするゴキブリが苦手ですか?
うねうね身体をくねらせる芋虫が苦手ですか?
なにかにつけてタックルを仕かけてくる山羊が苦手ですか?

猫目は生まれてこのかた(もちろん昆虫含む)ほとんどの生命体にたいして、苦手意識を持っていませんでした。

ただ、ひとつ。

ナメクジだけは例外です。

ナメクジというこの4文字を書くことでさえ、こうして手汗をかいてしまいます。

苦手と意識するようになった要因は、かれこれ十数年前。物心がついたころ、庭の金魚たちにごはんをあげるために履いたサンダル。

あのサンダルの中にナメクジが、おそらく左右2匹くらいずつ入り込んでいたんですね。それを足の裏で思いきり踏んだあげく(とてもヌルンとしていました)、今は温厚な父に連れ立って池まで歩いていきました。

まじで

まじで

気持ちが悪かったんです。

皆さんのおっしゃりたいことはわかります。

なぜ、サンダルのナメクジを父に報告して直ちに対処しなかったのか、ということですよね。

これにかんしては当時、単に父が怖かったからに他なりません。ただでさえ出勤前だったこともあり(朝の時間帯ってなにかとバタバタしてしまいますよね)、しかも雨まで降っていて天気はどんより、傍らには不機嫌そうな顔をした棒立ち状態の小学2年生の猫目。

「早くしなさい」

そう言われたかどうかは忘れました。もしかしたら、なにも言葉を発していなかったかもしれません。しかし無言の圧力というのは時に空中を舞う言葉よりも恐ろしく、凄みがあります。

まちがっても

「両方のサンダルにナメクジがいる気がするんだけど」

なんて言えませんでした。

そんなわけで猫目はそれ以来、ナメクジが大の苦手です。玄関ドアの下あたりにちんまりとナメクジが這っているものなら、たちまち硬直状態に陥り、ひたすらだれか家族が帰ってくるのを待っているしかありませんでした。

実際に小学生のころに何度か家の外で、母の帰りを待っていたことがあります。鍵を持っていたにもかかわらず忘れたと嘘までつき、ナメクジから全力で目を背けていました。

そして、現在。

猫目のナメクジ苦手意識は治まることなく、道の両側のブロック塀にナメクジを発見するがはやいか、道のど真ん中を歩かないと帰路につけないレベルまで重症化してしまいました。

このままではいけない。

そう思い、これまで幾度もナメクジを克服しようと試みました。

たとえば・・・

Google画像でナメクジを検索してひらすらナメクジの写真を眺めたり、ナメクジに近い容姿をしたウミウシや海ナメクジの動画を見たり(なんならダイビングでわざわざウミウシを探し求めました)。

さらに

短編小説の題材にナメクジを選び(吐き気に襲われながら)、さいごまで執筆したりとさまざまな方法で苦手を払拭しようと挑みました結果・・・

今、こうしてキーボードを使って「蛞蝓」と打てるほどにまで回復しました。

そうはいっても実物を目にするとフリーズに陥ってしまうのも事実です。しかも、どういうわけかナメクジにまつわる記憶が濃い。

雨風の強い日。ホームセンター屋上に停めていた車のフロントガラスにナメクジが貼りついていたこと。また、ナメクジが飛んできた(ほんとうに飛んできたんです!)こともあったりといかんせんナメクジからの攻撃がはげしくあります。

ほんらいナメクジは空を飛ばない種のはずです。見てのとおり翅は生えていないですし、地面を這っていても秒速1~4mmと非常にゆるやかに動いています。

だから、日常での被害といったら寄生虫やそれらに関連する病気くらいでしょう。

なのに!

なのに!


飛んできたんです。
ナメクジが。


右手の窓にベトンって。

しかも、そのまま硝子にベトっとはりついているんですよ。

なんだろうって興味津々で、それこそ窓に顔をはりつけん勢いで近づいて、それで正体が解かったときの恐怖といったら形容できません。

ここまで来たらもはやナメクジと縁があるとしか思えません(そもそも自分のサンダルだけにナメクジが入っていたのもおかしい)。

ただそれは必要以上に苦手意識を持っているからこそ、気がつき見つけてしまっているだけなのかもしれません。

ちなみに電話の友人は虫全般が苦手だそうです。たまにゴキブリの残像を見るといっていました。

なるほど。

たしかにゴキブリは速いですし、残像を見ることもあるでしょう。が、秒速1~4mmの生物にかぎってはあり得ない。それは残像などではなく紛れもない実物です。ナメクジ科・コウラナメクジ科・オオコウラナメクジ科の生物でちがいありません。

ふう。

ここまで長々とナメクジが苦手というお話をさせていただきました。今日、最もお伝えしたかったのは”苦手意識を克服すること”についてです。

どうしたら苦手なものを
苦手と認識しなくなるのか?

あれやこれや克服する方法を考えたすえに実行するも、ことごとくうまくいかず、果ては友人に急な「ナメクジが苦手過ぎるんだけど、どうしたらいい?」の質問。

その後AIに「苦手を克服する方法について」訊ねてみたところ、以下のような返答をいただきました。

苦手意識の正体を知る。なるほど。その点にかんしてはすでにクリアというべきでしょう。むしろクリアだからこそ困っています。

おっしゃるとおり。いきなり大きな目標を立てると失敗する確率が高くなり、自信が薄れていきます。

では、ちいさな目標を考えてみます。ちいさな目標をナメクジ克服にあててみると、まずはナメクジを呼吸荒げず直視できるようになることでしょうか。うーん。それすらハードルが高い気がしてならないのだけれど。

ほうほう。

肝心なことは焦らないこと、世の真理です。

毎日、少しずつナメクジを観察していればいずれは慣れてくる。そういうことなのでしょうか。

ありがたいことに周囲にこれほどナメクジにたいして慄いているひとがいないので比較することなく、自分のペースで取り組むことができそうです。

いや、これは納得ですね。とくに家族や友人などに話を聞いてもらうことは効果が期待できそうです。おかげで「ナメクジ」という単語を発することも少しずつスムーズになってきました。

以前は「ナメクジ」という単語を言葉にすること自体ためらわれ、瞬間、言葉を見失っておりました。

そして・・・

はい、これ!

これです!

まさに今回言いたかったことはここです!

もはや苦手があることは悪いことではないのでは、ということです。Gemini氏も言われているとおり、むしろ克服しようとする姿勢がすばらしいのではないか。

そもそも

苦手を克服する必要性はあるのか、否か。

じつは電話の友人が言ったんですよね。

「べつに克服しなくてよくない?」

と。

その刹那、猫目はア……たしかに……と心の中で反復しました。

農作業はぜひとも経験してみたいけれど、それはべつにナメクジ自体を好きになるのではなく、農作業中にナメクジに遭遇した場合の対処法について考えておくことこそが重要なのではないか?

なにがなんでも克服するぞという強い意識から、執拗にナメクジ苦手精神を追い払い、好きになるくらいに克服したいという一寸無理な問題に挑んでしまっていたのではないか?

克服するためにあれやこれや試した結果、ちょっと難しそうだと判断したのなら、やはりべつの方法(対処法など)を考えたほうが賢明です。


いかがでしょうか。

今回は物体(ナメクジ)にたいする苦手意識と克服のお話が中心でしたが、私たちが苦手と感じるのはモノだけでなく、場所や状況といった空間だったり、スポーツや勉強、営業といったコトだったりします。

その際、苦手意識を克服することはたしかに大切です。しかし、そればかりに気を取られてしまうと必要以上に疲弊してしまいます。

そもそも、どうして苦手を克服したいのか。

その点から考え向きあっていくのもありだと思います。ちなみに猫目の場合は苦手なモノやコトが1つあるごとに自然と視野が狭まってきてしまうと感じたからです。

今回でいうと、ナメクジが苦手だという事実ゆえに、農業に興味を抱いてもじっさいに体験することはできない。イコール農業にかんする視野が狭まってしまうというもったいなさを感じた、ということです。

と、いうことで。

せっかく農業に興味を持ったのだから、ナメクジを克服できなかったからといって諦めるのでなく、ひとまず軍手をはめてナメクジに接触しない方法を試みます。それでもナメクジに会ってしまった場合は深呼吸からの周囲のひとに救援を求められる環境づくりに徹していきたい。そのように思いました。

本日もさいごまで目をとおしてくださり、ありがとうございました!

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