増え続けるミックス犬・子犬たちのその後
本篇とまったく関係ないのだが『村上春樹』の本を図書館でお借りしてきた。題は『1Q84』これをIQ84つまり知能指数84と間違った解釈をしていたことをお詫び申したい。まだ冒頭しか読んでいない。しかし既にことはリアルに進んでいる。1984年の4月から6月にかけて。いったいこの本の中に何が起こっているのか。目次からして目を光らせる。センスしか感じない。
目次だけでお腹いっぱいな気持ちすらしてくる。正直いうと村上氏の書籍は短編しか手に取ったことがない。なので余計に興味が湧く。現在執筆中の物語に影響を与えるであろう素晴らしき依存性のある村上氏の文体に留意しながら、ちまちま読み進めていこうと思う。皆さん。こんにちは。
ようやく本題へと移ります。今日はお犬のお話です。
本日お話しいたしますミックス犬について。はじめに申します。本記事の後半部分は心配とされている事柄をまとめたものです。あくまで個人的な感想であること。そのことを前提として文字を綴っていきたいと思います。
雑種ではなく、ミックス犬
ミックス犬は別名「デザイナードッグ」または「ハーフ犬」「ハイブリッド犬」と呼ばれています。ここ最近でミックス犬の人気は右肩上がりです。お散歩をしているワンちゃんをよく見ると「おやおや? マルチーズと思いきやミックスちゃんだな」となることもあります。そんなミックス犬のことを「雑種だね」と言われる方もいます。
雑種とミックス犬はしばしば混沌され、その違いをよく知らないという方も少なくありません。昔は野良犬が町中をトテトテ闊歩していたと聞きます。野良犬の多くは、耳のピンと立った日本犬のようなイメージ。こちらは雑種である可能性が高い。
たとえば「柴犬」と「紀州犬」から生まれたお母さんがある雄犬との間に子供を授かる。お父さんは「柴犬」と「甲斐犬」のミックス犬です。このお母さんとお父さんとの間に生まれた子供がいわば「雑種」に位置します。ちょっと複雑ですよね。もう少し簡潔におまとめいたします。
雑種とは
2種以上の異なる品種の犬同士が交尾をして生まれたお犬。
ミックス犬とは
トイプードルやポメラニアンなど純犬種同士の交配によって生まれたお犬。トイプードルとポメラニアンをかけ合わせた子犬はミックス犬にあたり、「ポメプー」や「プーポン」などと呼称されています。
ペットショップで人気絶大
近年ペットショップではミックス犬が人気を博しています。ペット保険の大手である『アニコム損害保険』の「犬種人気ランキング」でミックス犬は3位。また『ブリーダーナビ』のランキングでは2位に輝いています。
昭和のお犬の御三家であるところの「マルチーズ」「ポメラニアン」「ヨークシャーテリア」を抜いてしまうほどの人気ぶり(1位は皆さんお馴染みトイ・プードルです)。ミックス犬が人気な理由は以下の通りです。
人気の理由
遺伝的な病気にかかりにくい(との見解がある)
理想の犬同士の子犬であること(ポメラニアンを飼いたいけど毛が抜けるのは嫌だな ⇒ プードル寄りのミックス犬『ポメプー』を迎えれば毛が抜けにくく飼い主の理想に近づく)
世界でただひとり(一匹)のオンリーワンな存在
成長した姿が予測されにくい(どのような成犬になるのか。その成長を楽しめる)
遺伝的な病気にかかりにくいというのは一概には言えません。獣医師によっては「ミックス犬は丈夫」と唱える方もいらっしゃいます。またその反対の意見もあります。
人気のミックス犬の多くには「トイ・プードル」の血筋が含まれています。トイ・プードルは犬の中でもダントツに毛が抜けにくく、また体臭も他の犬種と比べて少ない傾向にあります。そのためか人気のミックス犬のお母さんやお父さんにトイ・プードルが含まれていることが多いのです。いくつか以下に例を挙げてみます。
① 「チワワ」と「トイ・プードル」を交配させたミックス犬『チワプー』または『プーチー』は小柄な体型の子が多いです。チワワのくりくりとした瞳にトイ・プードルのもこもことした毛を有するミックス犬です。
② 「マルチーズ」と「トイ・プードル」のミックス犬である『マルプー』は真っ白なボディに抜けにくい被毛を兼ね備えたミックス犬です。
③ 「シュナウザー」と「トイ・プードル」をかけ合わせた犬種を『シュナプー』と呼びます。どちらかと言うとシュナウザー寄りの子が多いです。
その他にも『ヨープー(ヨークシャーテリア ✕ トイ・プードル)』『シープー(シーズー ✕ トイ・プードル)』『キャバプー(キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル ✕ トイ・プードル)』などなど。トイ・プードルとのかけ合わせで生まれたミックス犬は非常に多いです。
ミックス犬の種類は小型犬に留まりません。たとえば「プードル」と「ゴールデンレトリーバー」を交配し、生まれたのが『ゴールデンドゥードル』です。もちろんゴールデンレトリーバーは大型犬です。
ミックス犬。増えています。
これだけの人気のあるミックス犬。さまざまなミックス犬を生み出すブリーダーたち。もちろん中には真意に「新しい犬種をつくりたい」と日々真剣に犬の交配と向き合っている方も居られるでしょう。しかし。
需要があるから(人気があり、売れるから)ミックス犬をつくり出しているブリーダーが居るのもまた事実と思われます。言ってしまえばブリーダーもお仕事です。商売です。需要が無ければもろもろ成立しません。ミックス犬に人気がある限り、今後も増え続けるでしょう。
子犬を探すことのできるブリーダー総合サイトを拝見すると一目瞭然。人気のある犬種ほど頭数が多いことがわかります。(2022年現在)
子犬たちのゆくえ
ここまでミックス犬について見てきました。ここからは、ミックス犬のその後について見ていきたいと思います。ペットショップやブリーダーからお迎えされて行った子犬たちのその後・・・どのように成長するかわからないミックス犬はしかし、たとえ理想からかけ離れていたとしても一緒に暮らせば必ず愛情が芽生えます。
これからミックス犬をお迎え予定のあなた。「絶対に自分の理想通りに成長して欲しい」「理想通りでないと飼う意味がない」そうお考えの方へ一言だけ失礼いたします。
ぜったいに犬を飼わないでください。
先日電車の中の広告ポスターに目が留まりました。ACジャパンの広告です。うるうる目のプードルの横に白の文字で『その一目惚れ 迷惑です。』と記されてあります。この言葉にどれほどの人が考えさせたことでしょう。
「小さいほうが可愛いから」「大きくなってしまったら嫌だ」「吠えない子がいい」「散歩しなくても平気な犬居ますか?」これらの事情はすべて人間の事情であり、犬の心及び生態を完全に無視したものです。
さて。ここで今一度テーマをくださったブリーダーさんが何を知りたかったのか。再度考えてみたいと思います。
ブリーダーさんは心配していました。ミックス犬の繫殖について。ミックス犬を繁殖しているブリーダーについて。もしもミックス犬が…………
売れ残ったら?
一般的にブリーダーたちは売れ残ってしまった子犬を手もとへ残します。その理由の一つとして「その子での繁殖が可能」だからというものがあります。ミニチュアダックスフンドの子犬(男の子でも女の子でも)が売れ残ってしまったとします。しかしその子は成長して繁殖をすることが可能です。
では、ミックス犬はどうでしょう?
冒頭(村上春樹でないほう)でも申しました通り、ミックス犬は純血種同士をかけ合わせた犬を指します。そうなると売れ残った子(ミックス犬)で新たなミックス犬をつくり出すことは不可能となります。どうしても雑種に部類されてしまう。それでは万が一にも売れ残ってしまった子犬たちはどうなるのか。それが本テーマの核となる部分であり、もっとも心配されている事柄です。
と、いっても猫目の情報量では真実にたどり着くことは困難を極めます。そこで書籍やインターネットの記事を拝読させていただきました。そこには「犬の引き取り屋」のお話が書かれています。犬の引き取り屋とは、文字通り、ブリーダーなどから売れ残った犬を引き取る業者のことです。これは合法ではありますが、実のところその後どうなってしまうのかはわかりません。実際に見たわけでもないので推測となってしまいます。
犬の引き取り屋の多くは犬を飼育するプロではないようです。ですので引き取られた子犬たちがその後どのうなるのか。残念ながらそこは不明です。ひょっとすると間違った飼育により悲惨な末路を辿っているかもしれません。
以下の記事は2015年の『朝日新聞』紙面に掲載されたものです。記者は大田匡彦さん。『犬を殺すのは誰か』という朝日文庫から出版されている書籍を書かれている方でもあります。
いちばんの対策としては「むやみやたらに犬をつくらない」こと。次に売れ残ってしまった子犬たちに対して、「ブリーダー自身が飼い主となる」ことが挙げられます。しかし全ての子犬の飼い主となることは物理的にも不可能と思われます。そこで次に考えられる良策として「里親を探す」こと。
今日では犬猫などペットの里親サイトは非常に充実しており、飼い主となる者への審査も厳しい。もう二度と捨てられないよう徹底して審査を行っています。新しい飼い主となるその人に犬を飼育する能力があるか否か。厳しい審査のうえで譲渡します。
犬の里親サイトを見てもらえるとわかるのですが、0歳(生後1か月など)から里親さんを待っている子犬たちが見受けられます。もちろんこれら全てがブリーダーというわけではなく、もちろん一般の方で「自宅で出産をした」や動物病院による「子犬を拾った」なども含まれています。
良し悪しの問題でなく
ミックス犬の繁殖が良いのか悪いのか。そういうことを問題提起しているのではありません。ミックス犬をつくるブリーダーはどうなのか。そういう否定でもありません。売れ残ってしまった子犬たちの未来をこれからどう切り拓いていくか。そのことをお話しています。
自治体が犬の「受け入れ拒否」を出来るようになったので今度は「犬の引き取り屋」へ子犬を放る。そういうすり抜けの方法では無く、もっと犬のことを真剣に考えていきたいです。当然ですが犬は生きものです。生きものをまるで物のように扱うのは止めていただきたい。
国全体で動いていきたい。個人ではどうしても限界があると思います。
そもそも日本は遅れています。ドイツを見てください。犬の天国ベルリンと呼ばれていますよ。犬への法律が手厚いことこの上ない。市民権まであるくらいです。犬の飼育環境にくわえてブリーダー業にも細かな規則を制定しています。日本でもようやく『動物の愛護及び管理に関する法律』が改正されました。令和3年6月のことです。去年です。よく改正してくれたと言う他ありませんが、それでも課題はまだ多く残ります。是非ともドイツを見習っていきたいものです。
本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。