#237 本番の緊張とストレスに、とことん対策していく!〜本の紹介と実践〜
皆さま、こんにちは!
今日のnoteは、はじめての試み。
書籍の内容を紹介、実践するという内容です。
ご紹介する本は、こちらです。
ドン・グリーン著、「本番に強くなる!〜演奏者の必勝メンタルトレーニング〜」。
タイトルだけ見ても、「おぉっ!」と興味をひかれるテーマですね。
もうお持ちの方や、「読んだことがあるよ!」という方もおられると思います。
ピアノを弾く人なら誰もが悩んだことがある、
・本番で緊張してしまう
・練習どおりに弾けない
・本番がこわい…
というお悩みに、とても理論的に、そして実践的なワークを通して向き合っていく内容です。
この手の本はいろいろ出ていまして、私も何冊か読んでいますが、この本はとても具体的で実践的な本でしたので、今回初めて、本の紹介という動画を撮ることにしました。
この本は以前、友人で素晴らしいピアニストでもある松本和将氏(@kazmatsuki)に教えてもらったのですが、それに加えて、
少し前にnoteの会員様から「過緊張について悩んでいて、改善したいです」というご相談を受けましたので、そのお答えにもなればと思います。
と言っても、ただの本の要約ですとオリジナリティに欠けると思いますので、一部、本で提案されている実際の練習・ワークをさいりえが実践している様子も動画で追加しています。
この本の内容と流れ
この本は、演奏家が舞台で弾く時やオーディションなどの緊張する機会で、どうすれば力を発揮できるか、ということについて書かれているのですが、
そのための準備として、
・自分自身の分析
・目的をはっきりさせた練習(これは主に、音楽的内容面での目的ではなくて、緊張問題をクリアするための目的、です)
・具体的なプラン
・最後に、本番3週間前からのスケジュール
が載っています。
当noteでは、ざっくりと内容に触れつつ、私が印象深く残ったことをとくに紹介、またいくつかの実践メニューは、実際にやってみたいと思います。
まずは、本の流れに沿って、大切なポイントや、とくに印象に残った点について。
第1章 演奏の前に
はじめに、自分の特性を知るためのチェックリストがあります。
そして演奏家が直面するストレスについて詳しく書かれています。
人前で演奏することは、大小かかわらず、多少のストレスを感じるものですよね。それが大切な本番になればなるほど、緊張感が高まるのは自然なことです。(もしも365日本番があればそれが日常になるのかもしれませんが…)
まずはストレスの身体的な影響(心拍数が上がる、呼吸が速くなる、胃液が増える・・・)について。
そして人間は大きなストレスを感じると、「闘う」「逃げる」という本能が働くそうです。
手が震えたり、汗をかいたり…というのは、その準備なんですね。
そして、対処しようとさらにアドレナリンが出てきて、力がこもる。演奏家の場合、筋肉のこわばりとなって現れることもありますが、本来はこれは避けたい事態です。
また精神的にも、ストレスがかかると思考がスピードアップして、非効率になるそうです。
・大失敗するんじゃないか?などという「悲劇的な発想」
・急に思いもよらないことが気になる「妙な発想」
・絶対うまく弾かなきゃ、という「結果への固執」
など・・・。本番中や本番直前に急に怖くなったり、そのくせ、全く関係ないどうでも良いようなことを思い出したり…というのは、このためなのかもしれませんね。
こうして読んでみると、ふだん緊張して自分に起こっていることは、人間として自然なことなんですね。
なんで手が冷たくふるえるんだろう、なんてこんなに急にこわくなるんだろう。なんでいつもみたいにスッと体が動かないんだろう…なんて自己嫌悪になりそうな時も、「人間だもの」「あたりまえの反応」と思えば、ちょっとは気が楽かもしれないですね。
第2章 7つのスキル
第2章では、良い状態で良い演奏をできるための7つのスキルについて書かれています。
ここでは全項目の細かな説明はしませんが、とくに印象にのこったポイントなどを以下にまとめておきます。
1. 意欲
音楽に対する、自分の内なる欲求や重要度について考えます。これは人によっても異なりますし、人生のタイミングによっても異なると思いますので、自分の状態を見極めるのに大切なステップだと思いました。
2. 平常心
この項目は、とても興味深かったです。「平常心」という言葉ではありますが、「冷静な状態」「なにも緊張していない状態」という意味ではなさそうです。
ここで大切なのは、
・自分にとって必要なエネルギーレベルを知ること
・そしてそのエネルギーレベルに近づける方法を身につけること
です。
人によって、緊張感が高い方がよく弾けるとか、落ち着いていたほうが弾けるとか、ベストな状態は異なります。
落ち着き過ぎているとつまらない、守りに入ってしまうこともあるかもしれません
また、コンサートではエネルギーを全開にして弾けるけれど、審査される立場となるオーディションやコンクールなどでは防衛反応がはたらいて過度に理性的になり、エネルギーが落ちた無難な演奏になる…という例も。
ここでも、自分を知ること、そして自分にとってベストな状態にもっていくことが大切だとわかります。
とくに面白いと思ったのは、この緊張、エネルギーレベルはトレーニングすれば自分で上げ下げすることができるし、それを練習に役立てられる、という点です。
3. 思考習慣
セルフイメージを高める。私もイメージトレーニングは重要だと思っているので、共感できました。具体的にイメージし、イメトレでの練習も間違ったらやり直すというのは徹底していると思いました。
4.感情マネジメント
演奏には勇気が必要。プレッシャーやリスクに向かって、闘う精神をもつということでした。
曲の冒頭や難所に、おそれて入らない。
トレーニング…曲の出だしだけに特化したトレーニングを行う。ためらわない!
5.注意力
これはぜひ、気が散るというお悩みの方や緊張しすぎるという方に、結界を張るかのように実践してみていただきたいことでした。
トレーニング…わざと視界に気が散るものを置いたりしつつ、やさしめの曲で、何も考えずに没頭して弾けるまで練習する。
6. 精神統一
集中しよう、と一言でいっても、とっても大変なことですよね。
集中し続けることはエネルギーが必要で、非常に難しい。本当に集中できるのはこどもなら0〜4秒、大人は4〜7秒だとか?じゃあこんな長い曲、どーすんねん!と思ってしまいました(汗)
トレーニング…短い曲を集中して演奏し、スコアを記録する。外に意識が出ちゃったら、戻す練習。
7. 回復力
ここでは、ミスに関することが書かれていました。
ミス=悪いものではなく、成長過程に現れるものだ!というのが面白かったです。何かチャレンジしているから、何か超えようとしているからその過程でミスが生まれることもあるのだと。
たしかにそうかもしれません。音楽的にチャレンジしようとしないで、ミスのない演奏になるとつまらないですもんね・・・
ミスそのものよりも重大な問題は、「ミスがミスを呼ぶ(連鎖)」など、ミスに対する「(自分の)悪い反応」です。
う〜ん、たしかに。一つのミスそのものよりも、そのことで動揺したり、集中が途切れてしまったり…というほうが問題ですよね。
トレーニング…すぐに回復する練習
ミスの直後に集中と落ち着きを取り戻す、すぐに音楽に戻れるか。
対策…大変な曲でも2回通して弾けるとか、エチュードなら予定よりも速い速度でも弾けるとか?過剰なくらい、準備しておく。
この項目では、そのほかに
・プレッシャーの中でゆとりをもてるか(流れに自然にまかせられる?それとも、反抗してこわばる?)
・自分に暗示をかけられるか。勇気が出るか、たたかえるか。被害者のようにふるまってはだめ。
などの点が書かれていました。
第3章 上級トレーニング
第3章では、第2章までの内容により実践的に取り組むプランが具体的に書かれており、とても面白かったです。
全体的に、エネルギーをわざと普段の練習の時に高めておき、それに慣れること、そして緊張で生まれてくるエネルギーの高まりに乗ってしまおう!という内容でした。
・心拍数を意図的に上げる。ぐっとエネルギーを上げておき、弾く直前にほどよくおさえる練習。
・プレッシャー下で無理にあらがわず、流れにのれるか?
ありあまるほどにエネルギーをアップさせておき、そのエネルギーにのる練習。
緊張してエネルギーが高まったから失敗するのではなく、エネルギーが高まるからこそベストな演奏ができる、という自分にもっていく。
エネルギーが高まるときの「ゆとり」を感じられればとても良い!
・これまでに勇気をだせた行動をメモしていく。そして自分の財産にする。
第4章 本番へのカウントダウン
第4章では実際に仮本番を設定し、20日前からのメニューという具体的なプランが書かれていました。
ここでは詳しいことは割愛します。
さいりえの経験と照らし合わせて、とくに印象に残ったポイント
ここからは、私がとくに印象に残った内容を書き出しておきます。
私の経験を含め、振り返っています。
(失敗談)意欲、エネルギーを上げる方法を知っていれば・・・!
数十年のピアノ人生の中で、いろいろな失敗の思い出がもちろんあります。
興奮しすぎてとか、集中できなくてとか、そういう失敗ももちろんあるのですが、逆に
すごくすごく大事な本番なのに、思ったようにテンション、エネルギーが上がらなかったという経験を思い出しました。
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ピアニストさいりえによるオンライン講座&小さなコミュニティ。 ピアノ練習やレッスンのポイント、さいりえ自身の練習内容やブログで書かない話…
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