教育にSDGsを持ち込む前に(2)

◆こんにちは。小学校教員のねこぜです。暑い日が続きますね。最高気温が37度とか、人間の体温と同じじゃないかと驚いてしまいます。これも気候変動の影響なのでしょうか。これが非日常的な、異常気象ではなく通常なんでしょうか。来年の夏はもっと厳しい状況になるのでしょうか。持続可能な社会について、本気で、真剣に考え、行動に起こしていかなければならないのではないでしょうか。


▷帝国生活様式
 グリーン・ウォッシュについて前回取り上げました。いかにも環境に配慮しています!と意図的に装う、或いは、無意識のうちに取り込まれる落とし穴。根底にある私たちの生活そのものを見直さなければならない。『人新世の資本論』の著者斎藤は、ドイツの社会学者が先進国のライフスタイルを「帝国生活様式」と定義づけたことに言及している。
 「帝国生活様式」とは、先進国の豊かな生活が成り立っている背景には、先進国ではない地域や社会集団から資源やエネルギーの収奪および代償を押し付けている構図があること指している。かつて欧米諸国が植民地支配を繰り広げた(日本もそれに乗っかった)帝国主義の構図が実はそのまま残っているのではないかという指摘である。国家的に独立したように見えて、先進国のために食料や衣服の生産を押し付けられている現状は容易に想像できるだろう。
 私たちはモノに溢れ、モノに困らない豊かな生活をおくることができる特権的な地位を維持しようとごく自然に加担してしまっている。エコバッグを買うことも、電気自動車に乗り換えることも。その生産や資源の消費は日本から遠く離れたところで、しかも低賃金で行われている。労働力も地球環境資源も先進国が搾取し続けている実態が不可視的だが存在していることを認識しなければならない。

▷教育現場でできること
 では、どうするか。消費者マインドが染みついている私たちはまず節電・節水であるとか地産地消といった「消費抑制行動」を想起しがちだ。これは子どもも例外ではないと思う。前回の記事で述べた提案文の学習においても子どもたちは、エコバッグにする、必要な分だけ買うなど消費面に目を向けた意見が多かった。
 斎藤氏は持続可能で公正な社会の実現の基礎となるのは「信頼と相互扶助」だと述べている。鷲田清一先生は「命に近い活動ほどお金が動かない、消費が少ない」それこそがよいコミュニティだと述べている。

 教室にはいろんな子がいる。どんな子にも得手不得手がある。信頼関係を築く、人との関わり方を学んだり、助け合ったりすることを学べるように支援することがまず一つ。もう一つは、これからの社会について、これまでの社会もだが私たちが正しい知識を身に付け、子どもたちに伝え、共に考えていくことだと思う。


◆最後までお読みいただきありがとうございます。これからの時代について考えることは、まさに正解のない問いだと思います。しかし、考えるためには思考材料と多様な知見が必要です。これからも学び続けていきましょう!

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