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1人1台端末×自由進度学習の可能性

◆こんにちは。小学校教員のねこぜです。先日、小学館せんせいゼミナール「1人1台端末×自由進度学習の可能性」というウェビナーに参加しました。ざっくり印象に残ったことはTwitterにアウトプットしましたが、こちらでもう少し補足しておこうと思います。よろしくお願いいたします。


1.はじめに

 「子ども主体」ということを突き詰めるほど、子どもは何に反応するか分からないという事態に陥る。陥ると言うと、マイナスなイメージをもたれるかもしれない。それこそが「予想通りに学習を進めたい」という指導者側の思惑である。この、何に反応するか分からない状況は、予想通りもありながら指導計画をこなしていくのとは違うだろう。
 哲学者レヴィ・ストロースの提唱したありあわせのもので何とかする「ブリコラージュ」的な学習とも言えるだろう。だからこそ、あえてモノやコトをそろえないでおく。完璧にしておくと自由度を奪われてしまうことも視野に入れて。

2.学年の枠、教科の枠を超えて

 蓑手先生はHILLOCKというオルタナティブスクールを4月に立ち上げ、試行錯誤の只中にいる。かつては公立小学校や特別支援学校にいたことから公教育への理解も課題も感じている。
 都内にあるながら、徒歩30秒で公園に出られる環境を選び、ワイルド&アカデミックをコンセプトにしていると言う。自然環境はオンラインの発達とは異なる物理的な重要条件である。
 また、「深い学び」の深いとは、深さを示すディープではなく、本物の、真正のといったオーセンティックが妥当である。楽しければいいのではなく、たしかな学びをコンピテンシーベースで実現しようとしている。
 さらに、「個別最適な学び」を「ぼくはこうしてみたい!」に「じゃあ、やってみようか!」と答えられるものだとし、一人一人のウェルビーイングに焦点をあてた学びを目指している。ウェルビーイング、すなわち個人の幸せは人によって当然違うものである一方で、自分だけが幸せである世界というのも違う。そうした共通理解を子どもと共に確認しつつ、教育活動を展開していく。

①自由進度学習
 自由進度学習では、基本的に読み・書き・計算がメインとなる。読みでは、ひらがな、カタカナ、漢字さらには英語に取り組む子もいる。あの本が読みたいから、あるいはディズニーのキャラクターの名前が書けるようになりたいから、など生活していく中で必要感を感じながら自分で切り開いていく。うまく書けなくても、後から穴埋めしたり、修正したりすればいい話で、昨日の自分より今日の自分の方が進歩している、成長している、幸せになれるといった実感を伴えるようにしていく。教材スライドなどは教員がある程度用意しておくが、学びを進めていく上で、子どもがスライドを作成する側に転じ、好循環を作り出している。

②マイプロジェクト
 主には、工作や料理、実験などである。スクールタクトというアプリケーションを活用し、学校内SNSの要領で、周りがどんな取り組みをしているのか知れたり、やり取りしたりできる。毎時間「めあて+振り返り」のサイクルを回すことでPDCAが確実に行われる。マイプロ発表会として、保護者を招き、学びの過程や結果報告を子ども自身が伝えていく。

③免許制
 公教育であれば、はさみの扱い方や包丁の扱い方など、図工や家庭科といった教科の時間の中で、しかも学年も決められた中で一律に行われる。そうではなく、自由進度学習とも通じるところだが、料理で包丁を扱いたいから、工作で段ボールをカッターで切りたいから、といった必要感に応じて学んでいく。免許である必要性は安全面の確保にある。だからこそ、何を免許とするかの見極めは今後の課題だが、できるようになりたい子が自ら取得に動き、プロフェッショナルな意識を醸成していく。ここには憧れの感情も生み出され、人間的な関りも見えてくるだろう。

④評価
 評価と言ってもいろいろあるが、通知表のような所謂評定は行っていない。学期末に行うそれは、大人の都合でもあり、子どもは日々刻々と変わっていく。それは良くなることもあれば、逆戻りすることもある。二段飛ばしで急にできることもある。そこで、即時フィードバックである。スプレッドシートを教師・子ども本人・保護者で共有し、いつ・どんなことがあったのかを伝え合う。教師から「こんなことができました」という評価に対して、保護者はコメントを返すことができる。その反対も可能であり、双方向型の評価制度となっている。

 以上のような取り組みが、蓑手先生から語られた主な実践である。蓑手先生は「子どもを知識の受け手に終始させない」ために、子ども自身をコーチに育てる思いで活動している。


◆前半は、蓑手先生の実践について書きました。後半である藤原先生の実践については次回にします。最後までお読みいただきありがとうございました。

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