見出し画像

アクアリウム

今年の夏は暑い。
避暑地とされている北の大地でもきちんと暑い。
7月のど真ん中、夏生まれの自分は、誕生日が来る頃からバテ始める。食欲はないし寝苦しいし。唯一よく食べられたのが桃モッツァレラだった。

北の夏は短い。
お盆を過ぎて数回の雨を経た空気は、急ぐようにぐっと涼しくなる。秋雨が待ち遠しい。

暑いし体調も崩すけど、夏らしさは好きだ。
例えば、ファッション。ノースリーブとかショートパンツを着てラフに出かけられるのは気持ちがいい。
例えば、海。海水浴はしないけど、海辺に座って水面を眺めたり波音を聴いたりする。水平線はどこまでも遠く続いていて、その先の世界や人々を想像させてくれる。

2023/08/15
抜群に広くて青い海にて

海に果てはないのだと、昔の人に教えてあげたい。この先のどこまでも世界は続いていて、どこにいても誰かどこかと繋がっているんだよと。
昔は海を見て感傷的になっていたけど、今はちがう。ひとりじゃないんだなぁ、とそんな風に思う。

海自体も好きだけれど、そこに暮らすいきものたちのことがとても好き。夏は必ず水族館に行って、動物や魚たちに会っている。
最初はくらげに惚れ込み、さまざまなくらげの生態を調べてはうっとりしていた。

AOAO sapporoにて

ふわふわと漂うこの美しいいきものに毒があるなんて。気高さすら感じる生き方がすばらしい。さらには、自ら光を放つものもいるし、若返りをするアンチエイジングなくらげも存在しているというのだから、くらげ界は実に奥が深いのである。

水の中を気持ちよさそうに泳いでいるいきものたちを見ていると、だるいとか暑いとか言ってる場合じゃなくて。無心になって眺めていられることが、なによりのヒーリングになっていたことに気づく。

この日は、夕飯に桃モッツァレラどころかチーズバーガーを食べた。ジャンクな味を欲するほどに、心が元気になっていた。

地球にも環境にも、へこたれそうになったときにはまたここへ来よう。涼しげな仲間たちがそっと寄り添ってくれるはずだから。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?