親子ボードゲームジャム in 東京 を開催しました(2022年8月6日、7日)
2022年8月6日(土)、7日(日)に東京大学の中山未来ファクトリーをお借りして、『親子ボードゲームジャム2022 in 東京』を開催しました。このnoteでは開催の経緯や、当日の様子を報告します。
1年越し、念願の開催
もともと、親子ボードゲームジャムを東京で開催するという計画は昨年度の初めから立てていたものでした。
昨年度の開催の予定も子どもたちの夏休みに合わせる形でしたが、ちょうどその頃緊急事態宣言が出され、やむなく開催を延期せざるを得ませんでした。
その後、2022年の春休みにも開催を模索しましたが、これもちょうど流行り病が増えたときで頓挫。
都合2度の開催延期を受けての3回目の正直での開催でした。
計画自体はすでに前年度に立ててありましたが、東京大学での活動制限の緩和を受けて会場を変更し、今年こそ!と計画が走り出したのは6月頃でした。
みなさんご存知の通り、6月ごろはまだまだ新型の影もない頃でしたが、7月も中旬を迎えると、急速に感染者が増大し、「今年もダメなのでは?」と不安を抱える日々でした。
予想を超える反響
「今年こそ開催するぞ!」と決めて、参加者の募集を始めたのが7月1日でした。開始早々、4組の親子の方から参加申し込みの表明があり、なんと次の日の午前中に予定していた定員からの申し込みでいっぱいになりました。
その後、追加の募集はあるかどうかお問い合わせをいただくなど、募集開始前に持っていた「参加者が集まらなかったらどうしよう」という不安などどこふくかぜという感じでした。
告知をしたチャンネルが奏功したということとともに、告知用のフライヤーも爽やかで「楽しそう」「興味深い」と思ってもらえたのがよかったのだと思います。
逆にボードゲーム界隈からはほとんど注目されていなかったので、ここはもっと上手にしたいです。今後の課題ですね。
なんとか開催した1日目
先に書いたのですが、開催日は感染者数のピークを迎えると目されていたまさにその日でした。
飲食は伴わないイベント、会場の収容人数も上限までは余裕があるとはいえ、開催にはすごくナーバスになりました。
とはいえ、十分な対策を講じて、「えいやっ」という開催になりました。
前日ギリギリまで緊張で大変だったのは言うまでもありません。
始めてみると、参加した子どもたち、保護者のみなさんのたくさんの笑顔が溢れる会となりました。
1日目は、「ボードゲーム」にあまり触れていない子どもたち、保護者のみなさんがたくさん参加されていることを前提として、できるだけたくさんのメカニクスに触れてもらうためにボードゲームをプレイしました。
「ニムト」に「ハゲタカのえじき」に「ウミガメの島」に・・・
いわゆる軽量級に当たるゲームではありますが、「宝石の煌き」や「キングドミノ」など軽量級から中量級と言われるレンジのゲームもプレイしてもらいました。
子どもたちは、豊富なゲームとの出会いに新鮮に驚き、歓声を至るところであげていました。
参加者の皆さんは、もちろんお互いに知り合い同士ではありません。それでも、ボードゲームを介してコミュニケーションを取ることで、すぐに打ち解け、子ども同士はもちろん、保護者と保護者でも親密になることを目にしました。
いやぁ、本当にボードゲームって素晴らしいですね!
また、子どもたちが親交を深めている間、ちょっとだけ真面目な話を保護者の皆さんに。
主催者側のこのワークショップのねらいは、「子どもたちの創造性を育てる」ことです。
そのため、「創造性」そのものについてや、「創造性を育てる関わり」に関して保護者のみなさんに話しました。
普段の親子の関わりの中で十分に意識されていることもあったかと思いますが、改めて学術的な側面からどういった関わりが子どもたちの「創造性」につながるかをお話しさせていただきました。
もう1つ。あくまでも集まっていただいた親子はボードゲームデザインの専門家ではありません。そのため、これまでサイコロ塾で行ってきた「ボードゲーム制作ワークショップ」の経験から、ボードゲームデザインの手法をご紹介しました。
とはいえ、2日目には心強い仲間(ボードゲームデザイナー仲間)が参加してくださるので、あくまで一例として示させていただきました。
どんなことを話したかは、ぜひ下のnoteを覗いてみてください。
1日目、参加者みんなが緊張の中、ボードゲームを介して少しずつその緊張がほぐれていきました。
17時の終了時には、「ボードゲームを体験して知る」「お互いに顔を知り合う」という目標が達成できていたかなと思います。
怒涛の勢いで進んだ2日目
さて、ある意味でこのワークショップの本番は2日目のボードゲーム作りです。
ゲームジャムでは、参加者同士で即席のグループを作り、さまざまな経験や背景を持つ人々が協力してテーマに応じたゲームを作ります。
子どもたちはもちろん、保護者のみなさんもボードゲーム作りの専門家、というわけではありませんので、今回は、各グループに強力な助っ人としてボードゲームデザイナーの方に参加していただきました。
前日の様子や、年齢などを考慮して4つのグループを作り、1グループ3〜4組の親子に学生のファシリテーターとボードゲームデザイナーの方というチームを組み、いざゲーム作りをスタートしました。
ゲーム作りの進め方は、チームによってさまざまでした。
今回のテーマは「新しい家事」でしたので、子どもたちに「家事」に関するイメージを聞くところからはじめ、前日に遊んだゲームの面白かったところを分析していき融合させる作り方をするチームがありました。
一方で、「あれ?また、初めましてかな?」となってしまった子どもたち同士のグループでは、とにかくもう1回ボードゲームを遊んでみよう!というところから始めていました。
するとどうでしょう?あっという間に子どもたち同士の距離が近づいて、少しずつ自分の意見を言うように。
そして、開始2時間を過ぎる頃には、4つのグループすべてで大体のゲームの方向性が決まっていました。
あとから話を聞いたところ、やはり前日に多くのボードゲームを子どもたちが体験できていたことが大きく作用したということでした。
こうなればあとは、ゲームに使用するものを準備したり、細かいルールを整えたり・・・で終わらないのが素晴らしいです。
既存のゲームとの差別化をはかるルールを加えることにチャレンジしているチームや、リモートでも遊ぶことができるようにゲームのルールを新たに考えているグループもありました。
こうして、もともとの終了予告時刻16時30分を前に、グループ間で相互試遊会を開催することができました。
自分たちの作ったゲームを他の人たちがどういうふうにプレイして、どんな感想をもらえるか?子どもにとっては、これも大きな体験です。
試遊会の直後には、「もうこのゲーム改造したい!」と言ってくる子どももいました。自分たちの作ったものに思い入れをしっかり持ってくれたのだなと思いました。
「おもしろい」「楽しかった」と言われた経験は何よりの栄養になったのではないでしょうか。
試遊会の時間を1時間30分ほど取って、お互いに作ったゲームをたっぷりとプレイすることができたのはとてもよかったと思います。
それもこれも、かなり早い段階で各ゲームの大枠を決めていったことが大きかったです。
各グループの親子が積極的に活動にコミットメントしてくれたのはもちろんのことですが、進め方こそ違えど、形にしていく手腕にゲームデザイナーのプロの技を見た気がしました。
本当にありがとうございました!
さて、最後にちょこっとだけ、今度は子どもたちも含めたみなさんにこのワークショップで目指したかったことをお話ししました。
よく書いていることですが、「ボードゲームをデザインするワークショップ」は、他の「何かを作るワークショップ」と、「ルールに触れる体験ができる」という点にその違いがあります。
「ルール」が意味をなす過程をデザインしていくことで、子どもたちが自身の生活体験の中で、変えるべき、見直すべきルールに出会った際の態度を形成していくことができるようになっていくこと、それこそが創造性の発露になるのではないかと思っています。
本当のところ、このワークショップが子どもたちにどれくらい作用したかどうかは、今後、実証研究などで示していく必要がありますが、少なくとも、このワークショップに参加したみなさんが笑顔で最後の時間を迎えられたこと、事後のアンケートで「また超参加したい!」と子どもが言ってくれたことは、大成功の証だと感じています。
作成したゲームについて
作成したゲームは、今回もWEB上で公開しています。
今回は、東京大学情報学環藤本研究室のHPであるLudix labのページにて公開予定です(公開しました!)。
子どもたちから、「持って帰りたい」の声がたくさん上がったこともあり、ゲームデザイナーの方も公開可能なPDFにすることに尽力してくださりました。
どのゲームも本当におもしろいです。これだけのクオリティのものがこんな短時間でできるのだと本当に驚きを隠せないです。
ご家庭のプリンタでカードデータを印刷していただければ、ほとんどのゲームを遊ぶことができますので、ぜひともプレイしてみてください!