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新規事業創造に大切なリーダーは指導者ではなく「始動者」

先日、新聞の記事に「青山社中」筆頭代表・朝比奈一郎氏のインタビューが載っていました。
そこに書かれていたのが、リーダーについての話。
端的に書きますと、日本は「リーダー=指導者」、米国では「リーダー=始動者」だということ。
もう少し説明しますと、日本では「部下に慕われて仕事を円滑に進められる人」を良きリーダーと呼ぶのに対して、米国ではそれは管理職が担うマネジメント業務であり、リーダーとは「時に部下に嫌われたりしても、リスクを取って新たな取り組みを始め、自ら動いていく人」と指すとのこと。
だから、「リーダー=始動者」となるわけです、漢字で書くと。

賢者の優しさブレーキ

私、会社員時代も新しいことをやるのが好きでして、フリーになってからも企業さんの新規事業の開発のアドバイザーやコンサルなどをやらせていただくことが多いのですが、その開発と実現において上手くいくこともあれば上手くいかないこともあります。
自分の力不足をひとまず横に置いておいて、うまくいかなかった時のことを考えますと(ちなみに、ここでは開発とその実現についてであり、事業成績の話ではありません、その手前の話です)、大体、小見出しに書きました「賢者の優しさブレーキ」がどこかのタイミングで発生しています。
ただ、このブレーキ自体は別に悪いものではないです。
新しいアイデアを進めていくと、前例がないものですから、発案者はついつい自分が思い描くグッドストーリーに沿って思考を展開してしまいがち。
そこに対して、別の角度から考えて(会社全体のことなども)その発案者が失敗の実績を作らないようにと、賢明かつ優しさ故のマネジメントは必要です、組織ですから。
でも、一点問題なのは、ブレーキを踏んで終わりということが多いということです。

アクセルを踏ませる、ハンドルを切らせる

車を運転していて、横断歩道があればブレーキを踏みます。
安全のためには当たり前なことです。
でも、そのまま止まっていたら道路はつかえてしまいます。
だから動かないといけない、正しい車線で。
ハンドルを握り、アクセルを踏まないといけないのです。
必要なのはブレーキを踏んだ後に、ハンドルを握りアクセルを踏むことです。
会社的(リーダー的)にいうと、ブレーキを踏んだら、適切なアクセルの踏み方とハンドルの切り方も提示しないと不十分ということです。
誤解を恐れずにシンプル&極端に言いますと、始動者を生み出す指導者というか組織環境が整っていないと、なかなか新規事業は生まれにくいと感じます。

「リーダーシップ」と「マネジメント」は相互に関係しながら明らかに別物

リーダーを育てると言いながら、実はマネージャーを育てている(マネージャーを育てること自体はとても大切です)スタンスでは、いつまで経ってもリーダー=始動者は生まれてきません。
一方、これはあくまで私の持論ですが、始動者は育てるものではありません。
ある意味、勝手に育つものです(始動者は個人の適性役割の一つですから、誰もがなれるわけではありません。それは指導者も同様)。
唯一必要なのは、育ちに従い適切な鉢替えや栄養分を与えてあげること。
リーダーシップとマネジメントを正しく認識し相互作用させて、始動者に事業開発をさせること。
それが新規事業開発の良きスタイルだな、とすでに組織人ではない身ながら思うのです。

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