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「ロイヤリティ」がライツビジネスを発展させる⁈

ライツを活用してビジネスを行う時に避けては通れないのが「ロイヤリティ」の存在。
この数値を幾つにするのかの交渉や、ここの費用を回収するためにどんな販売計画を立てたら良いのか?製造個数をどのくらいにしたら良いのか?などなど、ライツビジネスを行ったことのある方なら誰でも一度は頭を悩ませた経験があるのではないかと思います。
ですが、この「ロイヤリティ」の存在こそが、ライツビジネス発展の要となるのです。

和気あいあいとNOロイヤリティ

現在においては、当たり前となっているロイヤリティの支払いですが、それが「当たり前」になった歴史はまだまだ最近のことなのです。
というか、ご存知の通り世界においては「ライツ/ライセンス」という概念が当たり前ではない国は沢山ありますし。
先日ここで書いたトミカも、初期は車メーカーにロイヤリティの支払いはしていなかったそうです。
ただ、それは無許可でトミカを製造販売していた、ということではなく、作りたい車種があるとメーカーに赴いて相談。
するとメーカー側も快くデザインの詳細を教えてくれたり、時には図面を見せたりしてくれたそうです。
メーカーとしてもプロモーションになるし、という思いもあったのでしょうが、そもそも「ライツ/ライセンス」をビジネス(収益活用)するという思いが無かったのではないかと思います。
ある意味、牧歌的な時代であったのだと思いますが、「モノ作り屋」同士のシンパシーみたいなものがその根底にあったのかもしれません。

ちょっと余談ですが、何かの本で読んだのですが、プラモデルの最初のブームは戦艦とか戦闘機だったそうです。
そうなると、版元は旧日本海軍や空軍になるわけで、当たり前ですがプラモデルが世に出た時に既に存在していませんから、ライツ使用許諾もロイヤリティの支払いも出来ない。
というか、そもそもそんな考え自体が無かったのではないかな、とも思います。

えっ、ロイヤリティってなに⁈

さて、話をトミカに戻しますと、ある日、トミーの法務部に某車メーカーから通達が来ました。
内容は「今後、弊社の車を活用したトミカを作る場合はロイヤリティの支払いをお願いします」
背景には、海外(特に北米)での日本車の販売の増加がありました。
海外市場への進出が加速するにつれて現地法人の立ち上げも進み、それに伴って海外のビジネス習慣の学習も進むわけです。
その中には「知的財産権」に関する考え方も。
勿論、正当な要求ですから、気持ち的な戸惑いはあったでしょうが、トミーはそのメーカーとロイヤリティ支払いの契約を結びます。
すると他のメーカーからも同様の話がきて、あっという間に全メーカーと同様の契約を結ぶことになりました。
ライセンスを受けてビジネスをする立場からすると、正直な話、勘弁して下さいよ〜、な話だな、と感じられるかと思いますが、実は、そうではないのです。

明快なビジネス契約がWIN-WINの発展を産む

全メーカーに対して、ロイヤリティを支払うことになったトミカシリーズですが、現在に繋がるその後の更なる発展は皆さんもご存知の通り。
それまでのトミーとして作りたいものをお願いに行く、というスタイルから、新車のキャンペーンでの活用など車メーカーサイドからのアプローチもアグレッシブになり、相互でWIN-WINの形を創り上げていく、という流れが生まれたのです。
今や「東京モーターショー」での限定トミカは大人気です。
明快なビジネスルールを作ったことで、相互がより積極的に堂々と発想や行動が出来るようになったのです。

“収益“の存在によって信用と信頼が生まれる

ビジネスルールとは、ズバリ収益の生み出し方と配分の仕方のことです。
ちょっと乱暴な言い方をすれば、根底的なところでは金額は関係ありません。
重要なことは相手が収益を得られる形になっているか否か?ということです。
これはライセンサーの立場でもライセンシーの立場でも同様。
お互いにこの根源的ポイントを意識している、ということが大切なのです。

WIN-WINの形をオフィシャルに規定して可視化する―――
そのためのツール・要素、それが「ロイヤリティ」なのです。


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