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物語のタネ その七『けもパンファイトクラブ #54』

吾輩は猫である。
名前は、もうある。
ピケ丸、である。
動物達の格闘技リーグ“けもパンファイトクラブ“ファイター
vs
恐竜たちの亡霊“ゴーストザウルス“。
地球生存権をかけた“哺乳類vs恐竜“の5vs5のサバイバルマッチ。
第1戦の勝利はゴーストザウルス側に、第2戦はけもパンファイター側に。
第3戦は、けもパンファイターが連勝!
が、第4戦ペケ丸は反則負け。
これで2勝2敗のイーブン。
ファイナルとなる第5戦。
吾輩の相手はティラノサウルスのキラー・ザ・デストロイヤー!

あらすじ

ガシーーーーン!

目の前でぶつかり合ったデストロイヤーの歯の音が、まだ耳の中にこだましている。
あの鋭い歯とバカみたいに強靭な顎で噛まれたら、我輩なんてひとたまりも無いな・・・。
とにかく奴の動きを分析しなきゃ。
事前情報が全く無いから、闘いながら。

まず、噛みつきには要注意。
一方、手は短くて小さいから、ここは大した武器にはならないだろう。
それ以外でいくと・・・
と、思ったその時!
我輩の右側から何かが⁈

ドバチーーーン!グゥワッ!

しまった、デストロイヤーの尻尾だ!

我輩の体がロープまで吹っ飛ぶ!
勢いついた我輩の体を受け止め、ロープが大きくしなる。
そのしなりを受けて、我輩の体がまた勢いよく飛ばされる!

と、再び目の前に、迫り来るものが!!

ドグワッ!ドボッッ!

デストロイヤーの極太の尻尾が再び我輩の腹にめり込む。
さっきよりも更に勢いがついて我輩の体が空を飛ぶ!
ロープを越えて客席に!
危ないーみんなどいてーーーーー!

ガシャガシャドシャーン!!!!

パイプ椅子の上に激しく落下。
イタタタタタ。
猫は高いところから落ちてもくるりと受け身を取れるものだが、こんな不意打ちだと無理だ。

きゃーーーーーー!!

観客たちの叫び声が聞こえる。
デストロイヤーがリングを降りて、太い尻尾で椅子を蹴散らしながらこっちに向かって来ている。
逃げ惑う観客たちの頭上をパイプ椅子が飛んでいく。
マズイ!倒れている場合じゃないぞ!
まずは起き上がらなければ。
イタタタッ!
胸から脇に激痛が走る。
アバラ、やられているなこれ。
しかし、ここで倒れていたらやられるだけだ。
逃げていても仕方ない。
攻撃は最大の防御なり、と言うではないか。
しかし、どんな攻撃をしたらいい?
わからんが、考える前に動け!とも言うな。

我輩は起き上がると、デストロイヤーに向かって猛然とダッシュ!
とにかく、あの極太尻尾に注意だ!
右方向からザザザザッパーンと波のようにパイプ椅子が迫ってくる。
我輩はジャンプしてその波の上を渡る。
その先にはやはりデストロイヤーの極太尻尾!
が、見える!
その動き。
さっきは不意打ちを喰らったが、分かっていれば見切ることは出来る!
我輩は尻尾の上にチョンと足を乗せると再び空中へ!

そして、勢いよく尻尾を振り回して、後ろ向きになったデストロイヤーの頭上に飛び降りた。

一瞬、デストロイヤーの動きが止まった。
そこを逃さず、我輩は体を大きく反らせると、上からデストロイヤーの鼻先に思いっきり猫パンチ!
人間界ではへなちょこパンチの代名詞となっているらしい“猫パンチ“だが、けもパンファイターの猫パンチは一味違うんだぜ!

グッゴウォーーーー!

デストロイヤーが叫びながら大きく頭を振る。
おっと!
振り落とされる前に我輩は飛び降りる。
痛い鼻を押さえたくても、その短い手では押さえられまい。

さて、次はどんな攻撃を・・・?
思い浮かばんが、我輩はリングに向かってダッシュした!


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