物語のタネ その七『けもパンファイトクラブ #43』

吾輩は猫である。
名前は、もうある。
ピケ丸、である。
動物達の格闘技リーグ“けもパンファイトクラブ“ファイター
vs
恐竜たちの亡霊“ゴーストザウルス“。
地球生存権をかけた“哺乳類vs恐竜“の5vs5のサバイバルマッチ。
第1戦はゴーストザウルス側に、第2戦はけもパンファイター側に。
第3戦は、カモノハシのグレートかもはしがユタラプトルのジャッキー・アーツに勝利!
これで哺乳類チームの2勝1敗に。

あらすじ

グレートの勝利に盛り上がる吾輩たち哺乳類チーム。
2連勝に会場のボルテージも上がって来ている。

第4戦は、ペケ丸だ。

短い腕をお互いの肩と思われるあたりにまわして、盛り上がっているグレートとハム星さん。
その向こうにペケ丸がガウンのポケットに両手を入れて、ジッと目を瞑って立っている。
この戦い、哺乳類にとっても一大事だけど、ペケ丸にとっては更に大きな意味がある。
伝説のチャンピオン・パンダー杉山さんと一緒にいるところをゴーストザウルス達に襲われて、パンダーさんは拉致され自分は重傷を負わされ―――。
本来なら、今はまだベッドの上にいないといけない状態だが・・・。

ストリートは勿論、「けもパンファイトクラブ」でデビューしてから連戦連勝のペケ丸。
その野太い根性とファイターとしてのプライドは本当にすごいや。
吾輩だったら100%ベッドの上で応援してるだけだろうから。
さすが我がライバル。
ペケ丸が吾輩のことをライバルと思っているかどうかは分からんが・・・。

しかし、心配なのはペケ丸の身体だ。
ペケ丸と一緒にやってきたお医者さんの発言と態度からすると、この会場にいること自体が奇跡なわけで・・・。

「おい、ピケ」

目を瞑ったままペケ丸が吾輩を呼んだ。

「ん、どうしたペケ丸」
「お前な」
「おう」

ペケ丸が目を開けて吾輩の方に顔を向け、そして1歩2歩と近づいて来る。
やがて吾輩の目前まで来るとグイッと顔を突き出した。
鼻と鼻が触れちゃうくらいに。

「タオル投げたらぶっ殺すからな」
「へ⁈」
「わかったな」

思わず頷いてしまう吾輩。

「よし」

と言ってニヤリと笑うペケ丸。

「ま、俺が勝つから関係無いけどな」

吾輩は3回頷く。
そうだよペケ丸。
それでこそペケ丸だ。
吾輩は再び、今度は4回頷いた。

「哺乳類vsゴーストザウルス、第4戦を行います。選手はリング上へお願いします」

リングアナウンサーからコールがかかる。

「それじゃあ、行ってくるわ」

ペケ丸がリングに上がる。
ゴーストザウルス側はどんなヤツが相手なのか。
吾輩は青コーナーに視線を移す。

あれ?誰もいない。
もしかして棄権?

「青コーナー、ゴーストザウルスチーム、選手お願いします」

リングアナウンサーが催促する。

「もう、居るぜ」

ん?
声が聞こえた。
しかも、上から?

皆一斉に頭上を見上げる。
すると、リングを照らす照明にぶら下がる1つの影が!
ここからだと、逆光になってシルエットしかわからない。
まるで巨大なみの虫のような・・・と思ったら、徐々に何かが開いていく。

ん⁈翼?
鋭く長い嘴のようなものも。
その付け根のあたりに、赤く光るもの・・・目だ!

「プテラノドン」

ハム星さんの声。

プテラノドン⁈





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