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今、ドリフターズを

先日、我々世代には、もうグッと来ちゃう本を読みました。
「ドリフターズとその時代」(篠山敬輔著 文春新書)
“ドリフ“の本ですよ。
子供の頃、とにかく土曜夜8時が楽しみだった。
そう、「8時だョ!全員集合」
視聴率50%超えのお化け番組。
本の中にも書かれていますが、30%台だと、うーん…となり、20%台後半だと、やばい!という感覚。
時代は違うとは言え、凄いです。
そういえば、「ドリフの大爆笑」も好きだったなー。
“威勢のいいお風呂屋さん“サイコーですね。
そんな国民的!人気者であったドリフですが、しっかりとした評伝は出ていなかったようで(同時代のクレイジーとかその後のツービート/ビートたけしなどは結構出ていますが)、これが初の「ドリフ解析」本になると思います。

僕たちはドリフのことを何も知らなかった⁈

本の中では、メンバーそれぞれの生い立ちやドリフがどうやって人気者になって行ったのかなども細かく書かれています。
詳細は是非お読みになって頂ければと思いますが、あくまで私がではありますが、「俺、ドリフのこと何も知らなかったんだ!」と思いました。
知っているのは「全員集合」や「大爆笑」のドリフの“作品“であって、それを創り出しているドリフそのものについては、実は何も知らなかった。
どんな思いと哲学であの笑いを作り出していのか?
それは、エンタメ創りに携わる人にとってはとても勉強になる内容です。
是非、読んでそれぞれ自分で感じて貰えたらいいな、と思いますが、今回は私がグッと来たことをちょっと紹介してみたいと思います。

コミックバンドはバンドの進化形

ミュージシャンが“アーティスト“と呼ばれるようになった今、“コミックバンド“という呼び名に、何かちょっと脇道感・変化球感を感じる人は多いのではないでしょうか。
正直、私もそうでした。
というのも、コミックバンドで面白いと感じたバンドに正直会ったことが無かった(これ、多分に偏見・思い込みがあったからでもあるのですが)のです。
ですが、当時、ミュージシャン/バンドがお客さんを盛り上げるステージをどう創るか?を追求していった形の一つが“コミックバンド“だったのです。
つまり、最先端&最上級のスタイル。
だから、本当に実力のあるミュージシャン/エンターテイナーでないと出来ないトップクラスのスタイルなのです。
そして、そこにはシンプルで愚直に「お客さんに楽しんで貰うにはどうしたらいいのか?」を追求する姿がありました。

目の前の1000人を楽しませる

「全員集合」の視聴率50%。
当時の日本の人口が1億1,000万人ちょっとですから、単純計算で5,000万人以上の人がブラウン管の向こうでドリフを観ていたわけです。
でも、ドリフは目の前の会場の1,000人を楽しませることに集中する、が哲学だったそうです。
目の前のお客さんの“楽しい!“の熱量が、ブラウン管を通じてお茶の間に伝わるのだと。
これは、きっとドリフが“バンド“だったからではないかと。
「全員集合」は“ライブの生中継“だったんですね、ドリフにとって。
今で言えば、毎週YouTubeでライブ配信をしているようなものですね、コンサート会場から。
しかも、同時接続5,000万人で!

テレビならではの笑いの誕生

ある意味“舞台中継“であった「全員集合」に対して、その後、萩本欽一さん&ひょうきん族が“テレビならではの笑い“を生み出して対抗していきます。この辺りの話もとても面白いので、是非読んで頂ければと思います。
私がテレビ界に入った時には更にテレビならではの笑いはバリエーション含めて大きく成長していまして(今になって分かることですが)、それを自然に受け入れながら自分も育って来たわけです。

そして、今、ドリフに学ぶ

最近、「今後の自分のエンタメ創りは“場“創りです」ということを、ことある毎に言っていますが、今回この本を読んで、更にその思いを強くしました。
「目の前の人がどうしたら楽しんでくれるのかを愚直に考える」
そんなドリフマインド⁈が、三つ子の魂百までも的に、自分にもきっと染み付いているのではないか、ということ信じて更に精進していきたいと思います。

さて、まずは、「8時だョ!全員集合DVD BOX」見直そうっと!

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