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物語のタネ その七『けもパンファイトクラブ #41』

吾輩は猫である。
名前は、もうある。
ピケ丸、である。
動物達の格闘技リーグ“けもパンファイトクラブ“ファイター
vs
恐竜たちの亡霊“ゴーストザウルス“。
地球生存権をかけた“哺乳類vs恐竜“の5vs5のサバイバルマッチ。
第1戦はゴーストザウルス側に、
第2戦はマンドリルのドリル藤岡が強烈な回転式正拳突きでアンキロサウルスのホルク・ハーガンに勝利。
これで1勝1敗のイーブンとなった。
そして、第3戦。
カモノハシのグレートかもはしvsユタラプトルのジャッキー・アーツの戦い。
グレート有利な試合展開だったが―――

あらすじ

コーナーの金具に受け身も取れないまま思いっきりぶつけられたグレートの体が、ズルズルとリングにずり落ちる。

「おいおい、一発で倒れられたら面白くないだろ」

アーツはそう言うと、むんずとグレートの頭を掴んでリングの中央に引きずり出した。
そのままグイッと腕を上げてグレートを立たせる。

「早く立てよ。ん、立ってたのか。短足過ぎて立っているのがわからなかったぜ、ひひひ」

グレートの目に怒りの炎が!
と思ったその瞬間。

アーツが手を離して強烈な回し蹴りがグレートの首?いや左肩?―カモノハシの体型、その辺りが曖昧なフォルムだな―に、ぶちかまされた!

蹴られた勢いでロープまで吹っ飛ぶグレート!!

さらに、ロープの反動で戻ってきたグレートに、アーツはトンッとその場でジャンプすると空中で体を捻って一回転!

ローリングソバット!!

アーツのソバットを胸に受け、再びグレートの体がロープへ。
後頭部を最上段のロープにぶつけ、バタリッ!と前に倒れた。

「なんだよ、短足過ぎて、ロープから戻るのに時間かかんな。ソバットのタイミング、ずれちゃったじゃねえかよ。ひひひ」

短足も時に役に立つこともあるんだな・・・
いや、そんなことで喜んでいる場合ではない。
倒れたグレートを見ると、短足という言葉に反応してか、その目は怒りの炎で燃えてはいるが、体のダメージがすごいのだろう。
その嘴は歪んで見える。

「やっぱり短足野郎は、そうやって地べたに這いつくばっている姿が似合うよ。ひひひ」

ゴーストザウルスの奴ら、どいつもこいつも性格が悪いけど、このアーツはまた格別に悪いな。
その一言一言、聞いているだけでムカムカする。

しかし、強い・・・。
グレートの闘争心は全く衰えてはいないように見るが、この先、一体どうやって闘ったらいいのか・・・。

「さて、お遊びはこれまで。そろそろ本物のランバージャックであの世に行ってもらうとするか。ひひひ」

本物のランバージャック⁈

吾輩はハム星さんの方を振り返る。
と、既にChugleで検索を終えたハム星さんがドヤ顔で、
「ランバージャック。人間界の人気格闘技イベントK-1のスター、ピーター・アーツのニックネーム。その由来は彼の得意技である豪快なハイキックと彼の父が木こりであったことから、と言われている」
「木こりが斧で木を切り倒すようなハイキックだ」

ペケ丸が後を続ける。

「人間のアーツと違って、こっちのアーツの足には本物の斧の刃が付いている」

アーツの後ろ足に付いている鋭く巨大なカギ爪!
あれはまさに斧の刃だ!!

コーナーマットをズタズタに切り裂いたあの爪が超高速の回し蹴りでグレートの首?肩?あたりに突き刺さったら・・・。

リングに視線を戻すと、アーツがグレートの頭をむんずと掴んでその体を起こそうとしている。
抵抗しようにもダメージによって力が出ないのか、ズルズルと立たされるグレート。

アーツの目が残酷に光る。

吾輩はタオルを握りしめた。


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