「シーナ&ザ・ロケッツ」から感じた、『かっこいい』と『テレビ』

先日、映画「シーナ&ロケッツ鮎川誠〜ロックと家族の絆〜」を観に行ってきました。
これは2023年春に開催されたTBSドキュメンタリー映画祭で上映された「シーナ&ロケッツ鮎川誠と家族が見た夢」をもとに、所縁ある人物へのインタビュー映像や秘蔵の未公開映像を加えて再編集したもの。
ナレーションはバンドのファンでもあった俳優の松重豊さん。
製作はRKB毎日放送。

鮎川誠、かっこいいとはわかっていたが…

このドキュメンタリーは、揺るぎないロック哲学とロック教養を持った鮎川誠というギタリストの音楽人生であると同時に「生活とロックはイコールという世界」に生きた彼と家族の日常の物語でもあります。
これがまた何とも、しみじみと胸を打ってくるのです。
「人生とは何だ?」「エンタメとは何だ?」「はたまた生きるって何だ?」と色々な思いが湧いてきます。
それについては、人それぞれ是非ご覧になって感じていただければと思います。
が、そんな「人それぞれ」ではなく、観たら絶対に誰もが感じることは、「おい、鮎川誠って、マジでかっこいいんだな!」ってことではないかと思います。
ホント、びっくりしますぜ、きっと。
「シーナ&ザ・ロケッツ」日本のロックを代表するバンドです。
勿論、その存在はずっと知っていましたし、かっこいいとわかっていました。
彼らを語る時に、その生き方やロック人としてのスタンスがセットで語られることが多いですが、乱暴な言い方をすれば、そのようなことを抜きにして、純粋にかっこいい。
ビジュアルが。
えっ?こんなかっこいい写真が撮れる被写体って日本にいたの?って感じ。
それを感じるだけでも、この映画、観る価値ありです。

テレビで演奏する「シーナ&ザ・ロケッツ」
そんな「かっこいい」は、写真は勿論、演奏シーンでも。
映画の中で「シナロケ」が演奏する場面はいくつも出てくるのですが、その中で深夜の音楽番組で演奏するシーンが出てきます。
今も音楽番組はありますし、人気アーティストが新曲のプロモーション他でスタジオライブで披露することは一般的です。
ただ、当時は今のYouTubeのように映像でプロモーションができるインフラがいくつもある時代ではなく、「テレビだけ」の時代。
故に、テレビに出るということはミュージシャンにとって今よりも一大事だったでしょうし、キャスティングする側にとっても貴重なオンエア時間=誰に出てもらうのか?は重大な決断だったと思います(これは今でも変わらないでしょうけど)。

そんな中で、当時の「シナロケ」。
かっこよかったでしょうけど、決して視聴率が獲れる存在ではなかったと思います。
でも、出しちゃう。
そこには、当時の番組ディレクターの「俺が日本の音楽シーンを牽引していくぜ!」な心意気を感じるのです。

昔と違い、「テレビってかっこいいよね」という価値観が今は一般的ではないのかもしれません。
それに、かっこいいかどうかは、あくまで他人が決めること、評価の一つだと思います。
だから唯一できることは「かっこつけること」。
ある意味、「かっこつけること」が当たり前の自然体である鮎川誠を見て、「エンタメって、かっこつけることが大切だよな」と思ったのでした。

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