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源氏物語をまた読み返す

源氏物語との付き合いはかれこれ35年ほどになります。日本の古典の代表格として名前くらいは子供の頃から知っていましたが、きちんと向き合ったのは高校の古文の授業。とはいえ全く手を出したこともなく、退屈な古文の教材の一つでしかありません。授業中には教科書よりも副読本「国語便覧」の絵や写真のページばかり眺めていた始末で、よけいに授業に追いつけなくなっていきました。

当時クラスで流行っていたのが、大和和紀先生の「あさきゆめみし」。言わずと知れた源氏物語の世界観を見事に漫画化した名作です。源氏を読むならまずはここから、という源氏物語の入り口ともいえる作品です。教科書はもちろん原文なので(注釈はありますが)いきなりその世界に入り込むことは困難です。まずは漫画で親しんでから現代語訳を読み、そして原文に挑むのが自然な流れといったところでしょうか。私がそうだったのですが。

女子校だったこともあり「あさきゆめみし」でかなり盛り上がっていたのを覚えています。「絵がキレイ」「結構キワドイ」「光源氏がヒドイ」など様々な感想が飛び交っていたのですが、いかんせん未読の私はついていけません。そんなところに後ろの席のAちゃんが登場人物から詳しく説明してくれて、コミックスも(当時出ていた分)全巻貸してくれました。結局のところすっかりハマってしまい、落ちこぼれかけていた古文の授業も楽しく受けることが出来るようになったどころか、大学でも源氏物語との濃い付き合いをすることとなりました。卒論作成の頃は寝ても覚めても源氏漬け。あさきゆめみしを貸してくれたAちゃんは今も親友です(別の記事でタイ料理を作ってくれた子です)。

のちにコミックスを全巻揃えたのですが、幾度かの引っ越しや片付けで処分してしまっていたようで手元にありません。ある日突然読みたくなって、これは買い直すよりも電子書籍の方が早いと思い即購入、一気読み。それどころか少なくとも3周はしました。繰り返して読むたびに気付きがあるほどコマの隅々まで微細に描かれているので本当に飽きないんです。

これは久々に原文読もうか、となったのですがブランクが長いし訳を先に読もうかと思っていたところ、kindleの「青空文庫」で與謝野晶子訳が全巻読めるんですね。これは読むしかないでしょう、ということで仕事が終わるなり読み耽っています。あ、ご飯くらいは作りますが(笑)

読み始めたらもう止まりません。どちらかというと遅読な私ですが結構なスピードで読んでいます。ストーリーが分かっているせいもありますが。読み始めて一週間、じっくり読む時間はなかなか取れないものの、巻十八「薄雲」まで来ました。藤壺の宮を思わずにはいられません……

このまま巻五十四まで突っ走ってしまいそうですが、そういえば宇治十帖は漫画でしか読んでいなかったかも知れません。卒論で取り上げたのは若菜~柏木巻だったので。そのあたりは後日にでも書くことにしましょう。

漫画で一通り読んだといっても、訳や原文で読むと盛り込み切れなかった部分もかなりあったんだなと改めて思います。それはもちろん致し方ないし、だからこそ新たな発見だったり思い出すことも多くて本当に飽きません。それにしても当時の人々ってよく泣きますね。歌を詠んで泣き、文を読んで泣きます。光源氏も相当泣いてます。どうなんでしょう、涙を流して泣くというよりも「泣きたいくらいに感情が揺れた」くらいのことも含まれるんでしょうか。知る由もない事ですが、しばし「もののあはれ」に浸りたいと思います。








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