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お父さん→社長→会長→親父

父が、退職しました。

社会人となり59年、起業して46年、私に社長を譲って15年。現在81歳の父は、一生懸命働いた人生に一つの区切りを迎えることが出来ました。幸い母も健康なので、父の退職を誰よりも喜んだのはその母でした。苦労の多い、もっと言えば借金の多い人生でしたが、何とか個人的な負債の無い形で退職できたことは、私にとっても親孝行ができた思いです。

さて
私は子供のころ父のことを「お父さん」と呼んでいました。
高校卒業後、上京して大学に進学、その後就職し数年働いたのち、一時体調を崩した父を心配した母から「戻ってきてほしい」と電話があり、退職して地元に戻り、父の会社に就職しました。
その時から、父のことを「社長」と呼ぶようになりました。そして社長を引き継いでからは「会長」に変わりました。
同居しておらず、父が社長から父親に戻る瞬間が殆どなかったため、面と向かって「お父さん」ないし「親父」と呼ぶ機会は20年来ありませんでした。

この間、遠方に住む弟は父を「親父」と呼び、父親っ子の姉や妹はなぜか「パパン」と呼ぶようになりました。

さて 私は父をどう呼ぼうか・・。
まぁ「親父」なんだと思いますが、20年のブランクは大きいなぁと感じています。父を親父に戻す瞬間を作っておけばよかったと後悔していますが、この20年間は私にとってもかなり必死な20年間でした。同じ会社で働くということは、実の父の「上司としてのスキル」を間近で見ていた訳で、そこに私情を挟み過ぎると目が曇りそうな気がしていました。

さてさて 明後日はお正月。
年始の挨拶までに反復練習しよう。「おやじ」「おやじ」「おやじ」

あ、母を「おふくろ」とも呼んでなかったなぁ。

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