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バレーボーラーのための学びのプラットフォーム構築のために:その3「バレーボール指導の現場に必要なものは?」

その1 「バレーボールとはどんなスポーツか?」
その2 「バレーボールは何が難しいか?」
その3「バレーボール指導の現場に必要なものは?」
その4 「学校体育のバレーから学べることがたくさんある」

その1,2に書いたように、バレーボールは遊べるようになるまでの道のりが長いという特徴があります。昔なら、「遊べるようになるまではひたすら修行するのが当たり前」でよかったのかもしれませんが、現代は、体験してみて楽しくなければ誰もやろうと思わないでしょう。それはバレーボールというスポーツの絶滅を意味するのかもしれません。それに、スポーツは本来楽しむものですから、最初から楽しめた方がいいことは言うまでもありませんね。

漫画やアニメの「ハイキュー!!」を見て、自分もあんなカッコいいことができると思って体験に来るというのは大きな勘違いかもしれませんが、そうやって来た子に「もっとやりたい!」と思ってもらえるなら、とても大切な仲間を得ることになるはずです。そのノウハウがあるとしたら、それこそ今バレー界がもっとも必要としていることなのではないでしょうか?

何も経験がなくても最初からバレーボールを楽しめる、「楽しみながら上手くなる」のはバレーボールには無理なのでしょうか?

バレーボールの特性として書いたとおり、競技においては「ボールを持ってはいけないし、落としてもいけない」「3回以内で返さなければならない」という制約がちょうどよい難しさとなっているわけですが、初心者にとってはそれが高すぎるハードルになってしまっているので、これらの制約を上手く外すことが「最初から遊べる」ためにはとても重要な鍵となります。

つまり、「キャッチあり(手で持って投げる)」「バウンドあり」「ヒット回数を増やす」などのルールをちょうど楽しめる程度に設定するわけです。
ボール、コートの大きさ、ネットの高さ、さらに人数の工夫も重要です。
ボールには小学校体育の教材をして使われているソフトバレーボールの他に、ビーチボールやキッズ用のバレーボール(スマイルボール)、さらには、ゆっくり落ちてきて、軽く、誰でもヒットできる風船も利用できます。
ビーチボールバレーは全国に定着し、統括組織として日本ビーチボール協会(JBVA)があります。(ビーチボールバレー公式サイト
※風船は専用のものもあり、協会(日本ふうせんバレーボール協会)も設立されています。

「ハイキュー‼」を見て「変人速攻が打ちたい」と思って体験に来る子はいますし、それ以前に、未経験者が一番やってみたいプレーはスパイクだと言われています。そんな子どもたちに最初から「スパイクの快感」を味わってもらうとしたら、ネットを低くしてジャンプしなくてもボールを叩き落とせるような状況を用意することは必須でしょう。そうした「スパイクから始めてゲームを発展させる」やり方(Smashbalがオランダで開発され、FIVBのホームページにも紹介されています

バレーボールを提供する立場として、第一に考えるべきことは「今持っている技術で遊べる」ように環境を整えることだと思います。

ところが、バレーボール競技経験者は、自分が大変な苦労をして身につけた「難しいこと」を教えようとする傾向があるような気がします。
しかし、新しい仲間を増やすためには「遊びながら、自分のできることを増やす」という視点で指導していくことが求められます。
そのためには、「正しい形」でやる必要はなく、バレーボールを遊ぶために役立つ動作の本質(原理)の感覚をつかめるように「遊び」の環境を整えることができればよいのです。
それを願って、「コーチングバレーボール」に「動作原理」を書いたのですが、それだけでできるようになるとは全く思っていません。それを「遊びながら上手くなる」に結びつけるのはこれから、ここで取り組んでいくことだと考えています。

その4 「学校体育のバレーから学べることがたくさんある」

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バレーボールに関する記事を執筆しています。バレーボーラーにとって有益な情報を提供することをコンセプトにしています。