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非線形的運動学習理論『エコロジカル・アプローチ』【1/5】

サッカー界で広がりを見せている非線形的運動学習理論であるエコロジカル・アプローチ。名前からも難解であるイメージが拭えない理論である。本記事では、Q&A形式でこの理論の全貌に近づいていきたいと思う。バレーボールを専門とする私の解釈を交えながら考察を深めていくことによって、バレーボール界でもこうした理論に関する知識が浸透し、バレーボール界がさらに発展していくことを期待したい。

エコロジカル・アプローチとは

Q. そもそも『非線形的運動学習理論』とは?
A. 線形的運動学習理論に反する形で生まれたのが非線形的運動学習理論である。従来、伝統的な運動学習に対する考え方は線形的であり、線形的運動学習理論が主流であった。この理論はプレーヤーはトレーニング時間に比例してスポーツが上手くなる(運動を学習していく)という線形的な考えに拠ったものである。

しかし実際のところ、スポーツ現場では違った現象が起こっていたのだ。このように理論と実践が一致しないという背景の元に、人間の運動学習はトレーニング時間に比例して向上するように単純に進んむ類のものではなく、停滞や下降、向上をランダムに繰り返し進むという考え、つまり非線形的価値観が生まれたのである。こうした価値観の誕生によって生まれたのが非線形的運動学習理論というわけである。

Q. 『エコロジカル・アプローチ』とは?
A. 非線形的運動学習理論の一つであるのがエコロジカル・アプローチである。「エコロジカル」とは日本語に訳すと「生態学的な」となる。そして「生態学」を説明するならば、生物と環境、または生物同士の相互作用を理解しようとする学問となる。つまり、エコロジカル・アプローチとはプレーヤーと環境、またはプレーヤー同士の相互作用を理解しようとする学問的アプローチをベースにした運動学習理論であると言える。

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