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ボール変化の原理を理解すれば、パフォーマンスは高まるか?

バレーボールにおけるサーブレシーブという技術を極めて困難にさせている原因。

それはボールの変化です。不規則に変化する無回転ボールや急速に落下していくスピンボール。時にはヒッターの意図を越えた動きをすることさえあります。

本記事では、こうしたボール変化の原理を探っていきたいと思います。

良いボールの条件

私がバレーボールを始めたとき、ボールは白球でした。それが、視認性を高めるためにということでカラーボールが採用され、さらに、時が経ちカラーボールのデザインが刷新されました。

そして、さらに2019年。ミカサ社がボールデザインをさらに変更し、FIVBの公認試合球として使われることが決定しています。

たかがボール。されどボール。

なぜこれほどまで、頻繁にボールが変更されてきたのでしょうか?色々と大人の事情もあるのかもしれませんが、開発者の「より良いボールを作りたい」という飽くなき探究心がこうしたニューボールを生んできたという事実も知っておくべきなのかもしれません。

まず、様々な球技スポーツのボールを製造しているミカサ社のボール製作コンセプトをみなさんには知っていただきたいと思います。

ミカサ社のボール製造コンセプト

ニューボール(V200W)の紹介動画をまずはご覧ください。

このボールを製作する上でのコンセプトは下記の通り、株式会社ミカサのHPにて紹介されています。以下、引用です(新しいバレーボールのデザイン発表 株式会社ミカサHPより)。

V200Wは視認性と空力特性を最適化するために18枚の特殊形状パネルを均一に配置しました。より正確なボールコントロールが可能となり、プレーヤーの技能をあますところなく引き出すことができます。コート上での選手の素晴らしいパフォーマンスはより観客を熱狂させることでしょう。マイクロファイバーを使用した表皮素材は、ディンプルシボと微細なシボ2種類のマルチパターン構造を採用しボールの飛行を安定させ、かつボールのクッション性能を上げています。また、汗がついてもボールを滑りにくくするナノ・バルーンシリカ コーティング加工により、競技中のボールの滑りを抑制します。

次に、こちらも球技スポーツのボール製造をしているモルテン社のボール開発担当者が語るボール製作コンセプトについて紹介したいと思います。

ミカサ社のボール製造コンセプト

モルテン社のボール開発担当者によるボール開発に関するインタビュー記事をご紹介します(引用元:引用元ボールはなぜ落ちたり、曲がったりするのか)※下記抜粋部分ではサッカーボールについて言及しています。

弊社の製品開発は「For the real game」をテーマにしており、選手の思ったところに思ったボールが届くことを目指しています。ブレ球は、蹴った選手にも予測不可能な弾道ですので、減らしていきたいと考えています。

良いボール=競技者が意図した通りボールコントロールができるボール

バレーボールを製造している2社のボール製造コンセプトは上記の情報から感じとっていただけたのではないかと思います。

ミカサ社とモルテン社。それぞれまったく違ったデザインのボールを製作していますが、大きなコンセプトとして『プレーヤーが意図した通りのボールコントロールが実現するボールを開発する』というものがあるように思います。

それでも意図せずに変化するボール

ボール開発者の涙ぐましい努力の上に生み出されているボールですが、それでもやはり競技者の意図した通り、完全にはコントロールできない状況が生まれます。その代表的な例がバレーボール競技における“変化球サーブ(無回転)”であったり、サッカー競技における”ブレ球”と呼ばれるものであったりするわけです。

これらのボール変化はプレーヤーの意図を超えた動きをすることが特徴であり、あえてこの特徴を利用したプレーをすることもあります。

こうしたことからも、プレーヤーはボールが意図を超えた変化をするその原理についてしっかりと理解しておく必要があるのではないかと思います。

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